マウント師匠

猫板家工房

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「……――」「よっし来たぞぉ~……来た来た、あのいつもムカつくのにさぁ、さぁ一発だ。用意は良いな――」
 一度大人を通って来たという事もあり、私に嫌がらせを行える者などほぼいなかった。向こうでは気弱な女の子が精霊法の餌食になってる。この世界には魔法があり、剣があり、そして錬金術があって。

「おぃっ……じゃあアイツにもやろうぜぇ、次はあいつだ、いつも一番スカしたあの女にさぁッ――」「アァいや………っ。アイツは良いよ俺は」
「うん、俺もアイツだけはな……」
 あぁ……、、やっぱそうだよなぁ――。
 ほらみろ、いま絶対イジってたろ――って所も軽く回避してみせる力、白雪のような髪が似合ってしまう美少女は、あ、私ですよ、私。

「そう……、むしろ駄目よ。アナタ達来なさい。そこの散らかしたお水をお拭きなさいな」
 目線だけで怖がる男子たち、逃げる仕草もバレバレで。申し訳ないが精神年齢の違いで話が全く合わず成長を経る毎に無口になってって。しかもドンドンと風格ある女に、大人びた体になっていくし。


 長い白の髪は輝いて、ブルーの双眸のその片方へとかかる。
 白い肌、透けるような質感。
 この時はまだ知らないが最終進化形としてはその胸は大きすぎず、だが適度に相手を悶えさせて記憶に残す91センチ。力のGカップ。
 しかも威風堂々たる身長は165と万端で。
 少々男のカオが良くとも見下げる場合が多々あり、普通ならば尚のこと同格。逆に大きくともその程度では屈しない自信を持てた。

 精神年齢も芯から高くてもう先輩風の先輩風たる存在感だ。舐められ不敗は王者の風よ――。
「つっっよ――。なんだアイツ、あぁ……コブシもとか、いててテ……」「なんだよぉ~、滅茶苦茶じゃないか、本当にあいつの姉貴ぶんはさぁ――」ウゥゥ。
 そうしてね、そう、なにかしら……、このスキルは……。あまり見ないのよね……。
 ゲームはたしなむ程度だがスマホではよくやっていた、だから分かるのだ。そこに映されていたのは『X+7』という言葉。ただただそれだけ。
 子供たちへと静かに笑うと身の毛もよだつという顔をするの。
 4歳児の時点で神童。そう言われた。何せ一気に8レベルにまで至ったのだ。私が教育者、及び師匠として君臨した子のレベルに対しての+7の力。
 恐らくは弟子を取ったらその人物を基本に強さを割り増してくれるらしいの。
「そう……、そうしてレベルとは大体、年齢の半分もあれば普通である事。それで4・50才で順次ストップしてくのよ、弱体化していく」
 そういう意味では健全なら25レベルが最高であり。そして私はもう16歳並って事。

 そうだ、何もしなくてもこの力だ。必ず平均より高いのだ。これは正に先輩ヅラスキル、師匠と呼ぶがいいと――。

「師匠や、どうだいこの頃。ご学友とは」「そう……。はい、お父様。順調ですわ、とてもとても」
「そうなの師匠~、良かったぁ~。あぁそう言えばね、師匠、可愛いお服を買ったのね。絶対アナタに着せたいわ」ふふふ。
「良いなぁ良いなぁ、お姉ちゃん師匠はっ。もぅ……優秀過ぎるんだよぉ」
「まぁでも妹師匠は本当に可愛いからね、僕も兄として誇らしいよ、はっは――」
 くえっ……くえぇっ、シショウ、シショウ、シショウはサイコウダーー、くぇえええ!

 もう師匠としか世界が言わない、さすがは師匠の元に生まれし者、師匠の星。

 父と母も大喜びだ、この生家だってそこそこ小金持ちでちょうどいい感じ。特に何かを継げだとか、義務だとか、そういう決まりがある訳でもなくて。それで兄妹でも仲が良い。
 ただ行きつくのはこの師匠スキルの本質であり、「そう……、でもだけどもね、聴覚の能力値が微妙なのよね、この子……」

 どうやら私自身のほんの小さな事も相手次第らしく、そこはもう少しだけ融通が欲しかったろうか……。前までは得意だったピアノを閉じるしかないの。
 あと何よりスキルまでよく似た値に変わる事も。そうして連動して自分が巻き込まれるので「あ……、でもそうレベルアップしたのね、なかなか頑張ってる。よしよし……、次も甘やかさずに、もう少しだけ苦手の……」
 それから彼らを教え、導くのが楽しくなっていった、非常に。レベルアップの虜になってしまって。

 ではまず初級ダンジョンに入れてやり成長を促す。私はその間とりあえず自作のバランスボールを作って上で待機する事で。

「そう、私は……何をしましょうかね」ぷかぷかしながら本を読むワタシを大人達があら可愛いと見守る。
 でもその異世界のカノジョを魅了したのは、そう、この世界の法則だった。
 やはり完全に歴史もが違うのだ、そして肌で感じる空気感はもっと違う。

 読みふける。読みふける。

 いやぁ~、ありがとうねぇ師匠さん。アイズの母親ですだ~。今あの子はこの頃で一番のヤル気出てるよぉ、「こんにちわ、えぇ……」
 それでね、あんなに魔物も怖がってたのに……。アンタに出会ってから全然変わってぇ……。
「そう……、まぁ師匠ですから」「でもねぇ、それよりも長男だしさぁ、精霊律よりも体を鍛えてやって欲しいんだよねぇ……。どうせ未来は百姓しかないと」

 その言葉に無言でうなずく、読んでいく、やりすごす「そう……、モンスターに王様に、神に悪魔……ね。その存在は既に発見されており、有史以来から変わらないんだ」
 早々に大人達に褒められる事に飽きた私は一人一人と向き合う事に切り替えた。なにせここは我々よりも近い世界だ、この世界には生と死が溢れて流れ、人間同士が非常に近い。

 そうしてその焼けつくような光に晒されれば、どうあがいても死んでしまうと――。

「彼らの未来に対して私が辿るべき道は――」
 どうだろうか、どこに介入して良いのか。
 小学3年生に当たる年齢の時、私は数日にわたる徹夜をもってしてアスレチックを作り肉体改造と稽古が可能な場を作り。
 そうしてダンジョンを作った女となる。後に師匠一夜城とも言われ。

 それでも更に一人で黙々と施設を増改築し続けて……。

「すごいなぁ~、あれ、ギルドが舌巻いとったわ。まだ10歳じゃろ」
「でも大人でもメリハリがあると。ただでも商人の娘さんじゃろうにあの子は何になりたいんじゃ~~」
 師匠ヨ。
「でもあんなの必要かぁ……? あんなに鏡張り巡らせて気が狂いそうだが?」「しかもたくさん子供率いててもう子守でひしめいとるし、五月蠅いし、何がたのしゅうて生きとるんかぁ~」
 だから師匠なのヨ。さぁ私に合わせて踊りなさい。

「あの子達……、アレに乗せられて捨てられてるんじゃな。楽しそーにしとった幼い子供たちがなぁ……カラフルな大八車で運ばれてって」「それで笑顔なんよな、女がすごく。子供も遠足気分じゃし、でもダンジョンに捨てられとる、ざーーっと、悲鳴を上げてざーーーーーっとな」
 まるであれは悪魔か――。悲鳴が耳から離れんよ。
 いいえ、だから私は師しょ……、えぇまぁ、ビジュアルは考慮すべきかもとは――。なにかハーメルンだわね、絶叫が響くわね。私も高笑いしてるわね。

 ちなみに無理言っておじいちゃんに弟子になってもらった事もある。結構かなり優秀だった。小学生よりかは当然優秀、能力が高くて見渡せるしスキルも発芽しきってて。でも……やっぱり何かが違うって……。
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