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ep.6

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「このつがいの印はね。一回行為が始まったら互いが満足するまで交われるように、どちらかがまだ続けたい場合は相手を発情させる仕組みになっているんだ」
「っ、あ……」

 中にあるオリヴェルさまの昂りが硬いままだと気づく。
 行為は一回で終わるかと思ったのに、まだ続きがあるなんて――

「私の愛をもっと思い知ってもらわなくちゃね」
「ふ、あ……」

 拘束されている私は、逃げることができない。
 けれど、オリヴェルさまの愛を受け入れられると考えたら本望だと思った。

「この気持ちいいことを、またオリヴェルさまとできるなんて、嬉しいです……っ」
「エイラ……っ! こんな印を勝手に刻んだのに怒ってないの?」
「怒ってなんかいません。むしろ幸せだと、思います。――もっと、もっとオリヴェルさまと繋がっていたい……」
「――……っ」

 どうしてか驚いているオリヴェルさまに向けて、私は満面の笑みを浮かべ、想いを紡ぐ。

「大好きです。愛しています、オリヴェルさま」
「ああ、幸せだ。私も愛しているよ、エイラ」

 再び抽挿が始まる。こうして、互いが満足するまで発情は続き、気が済むまでずっと、ずっと愛し合った。

 長い行為を終えたら、約束通り「もう勝手に死のうとしない」と誓い、拘束は解かれた。

 その後、一緒に湯浴みをして、拘束していた時にはできなかった体勢で、また行為をしたのは言うまでもない。





 ◇





 骨の髄まで愛し合った私たちは、それから互いの話をたくさんした。

 どうやら公爵位を持つ人間は、代々王位継承権を受け継ぐらしい。
 オリヴェルさまは竜の血を強く受け継ぎ文武両道で、周りが国王に相応しい人物だと持て囃した。
 その結果、国王からもその地位を脅かせまいと、様々な嫌がらせをしてきたのだとか。

 そのため私と出会ってすぐに口説きたかったのだが、監視があったため待遇改善しか働きかけられなかったと深く謝られた。

 そして何度も正規の手順を重ねて、ようやく私に求婚できて、それが受理された時。国王の命令があったメイド長は、私を解雇した。まさかそんな背景があったとは、私は夢にも思わなかった。

 今回のことで堪忍袋の緒が切れたオリヴェルさまは、私と一緒に王都から公爵領へ拠点を移した。

 ――今後公爵領は、王国から独立してティッカネン公国となる。

 私はこれから、オリヴェルさまの妻として、公妃として支えていく。
 学ぶべきことは途方に暮れるほど多いけれど、虐げられていた日々を思えば、愛する人のために努力することは幸せなことだった。

 亡き王弟の娘とはいえ、長年虐げられていた娼婦の血を引く私が、果たして公国民に受け入れられるか不安だった。
 心配していた通り、始めは反発もあったが、オリヴェルさまと共に公国に尽くすことで次第に受け入れられた。

 そして数年後、愚かにも王国が公国に進軍し、攻め入ってくる事件が起こる。
 しかし結果は公国の圧勝。国王とメイド長などは処刑され、王国は公国の配下となった。

 それから私は五人の子宝に恵まれて、生涯オリヴェルさまに愛されて幸せに生き続けた。





 ◇





 ――エイラ・ティッカネン公妃。

 長く繁栄するティッカネン公国史上、最も寵愛された公妃だとその名が歴史書に刻まれることになるのは、まだ先の話だ。



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