クライン工房へようこそ!【第15部まで公開】

雨宮ソウスケ

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各部のあらすじ

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『第一シーズン』

【第1部】
 もと騎士である青年アッシュと、彼の義理の娘とも呼べる少女ユーリィは平和で有名なアティス王国に訪れていた。
 この国を第二の故郷とし、人が乗る巨人・鎧機兵の工房を開くためだ。
 しかしどうにか工房も開く事が出来た二人だが、客が一向にこない。
 そこで二人は街へ客を探しに赴くのだが……。

 アッシュは雄々しく宣言する。
「見てろよ。ここが俺の新しい戦場なんだ。俺は必ず勝ち抜いて見せるぜ!」
 そしてユーリィは呟く。
「……まさか、いきなり野たれ死ぬ危機がくるとは思わなかった」



【第2部】
 クライン工房にアッシュの旧友であるオトハ=タチバナが訪ねてきた。
 かつて戦場を共にした女性との再会を喜ぶアッシュ。オトハもまた少女のように恥じらいながらも喜んだ。
 しかし、そんな彼女にはある秘密の任務があって……。

 オトハは愕然として呟く。
「こ、これはまさか、あれか? あれなのか? 要するに私は戦利品として持ち帰られるのか? その、わ、私はお前の子を産めばいいのか……?」
 アッシュはもっと愕然とした。
「何だその発想!? 俺はどこの蛮族なんだよ!?」



【第3部】
 季節は夏。工房稼業も軌道に乗ったアッシュは初の休暇を取ってユーリィやサーシャ達と共に、リゾート都市ラッセルに向かっていた。
 目指す場所は蒼い海と白い砂浜だ。しかし、その頃、奇しくもアッシュと因縁ある男も休暇を取ってアティス王国に向かっていた……。

 サーシャは頬を染めて妄想に耽る。
(うふふ、そう! だって夏だもの! 海だもの! ここは積極的に攻めに入るべき! そ、そして、私はいよいよ大人の階段を……ッ!)
 と、そんな感じでサーシャの妄想がピンク色を帯び始めた時、
「……ちょっと、サーシャちゃん」
「ひゃああああああああああ――ッ!?」




【第4部】
 アッシュの元にかつての同僚達が訪れる。ミランシャ=ハウルとアルフレッド=ハウル。グレイシア皇国の騎士達であり、アッシュの親しき友人達だ。
 再会を喜びつつも唐突な来訪に訝しむアッシュ。すると彼らは二通の手紙を差し出した。
 アッシュは大きく目を剥いた。何故なら、それはとても特別な手紙で……。
 
 その鎧機兵を目の当たりにして、ロックは愕然と叫ぶ。
「お、おい、まずいぞエド! 明らかに別格っぽいのが出てきたぞ!」
『なななな何をッ! あ、あんなのただの見かけ倒しだ!』
「おもいっきり声がどもっているぞ、お前!?」




【第5部】
 グレイシア皇国から帰国したアッシュ達。
 しかし、久々に見た彼らの工房は何故か封鎖されていたのだ。
 呆然とするアッシュ達であったがそれは待ち構える事件の前哨に過ぎなかった。

「俺は楽しみを後にとっとくタイプなんだよ。あの嬢ちゃん達の容姿も気に入ったが、正直、あのおっさんの眼光の方がゾクゾクしたんでな。楽しみが増えたぜ」
 そして、その男はくつくつと笑ってから楽しげに言い放つ。
「男も女も中々のもんじゃねえか。いいねえ、この国が好きになってきたぞ」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


『第二シーズン』

【第6部】
 年の暮れに迫るアティス王国の建国祭にテンションの上がるアッシュ達。
 が、そこへある事件の一報が届く。それはサーシャに深く関わる事件だった。
 アッシュ達の間に緊張が走る。しかし、その事件の裏には静かに暗躍する者達がいた――。

 その少女は、静かに思い出す。
 かつて暮らした小さな村のことを。
 夢のように幸せだった日々を。
「ねえ、トウヤ」
 そして彼女は、遥か遠い地にいる『彼』に尋ねるのだった。
「あなたは今、何をしているの?」





【第7部】
 グレイシア皇国の名門であるハウル公爵家の長女、ミランシャ=ハウル。
 ある日、当主である祖父に呼び出された彼女は、あまりにも理不尽な事を命じられ、思わず家を飛び出した。
 そして行き場をなくした彼女が向かった先は当然のごとく――。

「うわああああん! アシュ君! アシュくぅ――んっ!」
 ミランシャはいきなり飛び出してきた。
 アッシュの首に両手を回し、そのまま彼にしがみついた。
「お、おい、ミランシャ!?」
「うう、うわああああああああああああん!」





【第8部】
 その日、一隻の帆船がアティス王国に向かっていた。
 その船に乗るのは一人の少女。遠い異国より帰国した少女だ。
 彼女は今回の帰国を楽しみにしていた。特に姉達との再会を。
 だが、懐かしい祖国で彼女を待っていたのは再会だけではなかった――。

「はあああ、グレイテストオオォ……」
 彼はタキシードに包まれた筋肉を膨れ上がらせる。
「デュ――――クッッッ!!」
 そして彼は笑う。
「フハハハハ! 今日も我が肉体は絶好調であるな!」
 その光景を前にして、ユーリィはアッシュに淡々と助言した。
「……アッシュ。少しぐらいなら友達を選んでもいいと思う」
「い、いや、ユーリィ。あいつは別に俺の友達って訳じゃねえぞ」
 と言って、頬を引きつらせるアッシュだった。





【第9部】
 青い空。広い海を背に、黒い犬を従え、その男はご満悦だった。
 およそ二十数年ぶりに踏んだ懐かしき故郷の地。
 心に浮かぶのは若きし頃の日々だ。
 かつての友人達は果たして健壮であろうか。

「おおおッ! 俺は帰ってきたぞ―――ッ!」
 人目もはばからず絶叫する男。
 人は彼をこう呼ぶ。
 ――夢追い人ロマン・チェイサーと。





【第10部】
 それは五年前の話。
 アッシュが傭兵であり、ユーリィと共に旅をしていた頃の話。
 森の国・エリーズ国にて彼らは一人の女性と出会った。
 麗しき美貌を持つ、戦うメイドさんと。
 そして彼女は今――。

「あ、あの……」
 腕の中に収まったメイドさんが少し不安そうな眼差しでアッシュを見上げた。
「も、もしかして、私はこのまま初めてを迎えるのでしょうか? で、出来ればシャワーぐらいは……」
「――メイドさん!? いやそれも違うからな!? メイドさんも話を聞いてくれ!?」
 青ざめた顔で絶叫を上げるアッシュ。
 そんな彼のスネをユーリィは不機嫌な様子で蹴とばすのであった。
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