380 / 399
第12部
第四章 招待……?③
しおりを挟む
その状況に、即座に反応したのは三人だった。
今代の《七星》の一人であるアルフレッド=ハウル。
元《九妖星》の一人、リノ=エヴァンシード。
そして、コウタ=ヒラサカの三人だ。
ここいるメンバーの中でも、別格に戦闘力が高い三人。
ただ、その中でも動いたのは、コウタだけだった。
この行動の差は、アルフレッドとリノが出遅れたというより、コウタが何も考えずに飛び出したためだ。
――この事態が何なのか。
二人と違って、それを考える前に、彼女の元へと跳んでいた。
「アヤちゃん!」
彼女の名を呼び、その腕を掴む。
そして足元の闇が広がる前に、アヤメを抱き寄せて後方に跳んだ。
「アヤちゃん! 大丈夫!?」
しっかりと。
アヤメを両腕で抱きしめて、彼女の無事を確認する。
一方、アヤメは、
「……コウタ君は、やっぱり優しいのです」
彼の腕の中で、アヤメは幸せそうに目を細めた。
――が、すぐに申し訳なさそうな顔をして。
「けど、ごめんなさいのです。後で叱ってください」
「え? 叱るって――」
と、コウタが眉をひそめた瞬間だった。
――フオン。
先程までアヤメの立っていた場所にあった闇。
それが、再びアヤメの足元で広がったのだ。
それは三セージルほど広がって、
「……ン?」
偶然にも、サザンⅩの足元まで届いた。
そしてその闇は、コウタとアヤメ、ついでにサザンⅩを呑み込み始めた。
闇はまるで蟻地獄のようであって、中心にいるコウタたちは早く沈み、端にいたサザンⅩが「……ン? ン?」と困惑しながら、中央に引き寄せられていた。
「コ、コウタ!?」
この事態に、愕然とした声を上げたのは、メルティアだった。
「――チイ! 犀娘! やってくれる!」
リノがすぐさま動き出す。アルフレッドも「コウタ!」と叫んでそれに続き、
「コウタさま!」「おい、コウタ!」
一歩遅れて、リーゼとジェイクも立ち上がる。
四人は、コウタの元に駆け寄ろうとするが、
「ダ、ダメだよ! みんな!」
すでに、腰まで闇に沈んだコウタが止めた。
「状況が分からない! 近づいちゃダメだ!」
次いで、コウタは叫ぶ。
「ジェイク! アルフ! メルを頼む――」
そう告げる途中で、コウタとアヤメは完全に闇の中に消えた。
「コウタ!?」
メルティアが青ざめる。
と、サザンⅩが闇の中央に来た。
その頃には、闇はサザンⅩの胴体より少し大きいぐらいの幅しかなかった。
後を追おうにも、幅が狭すぎる。
「サザンⅩよ!」
リノが命じた。
「コウタの後を追え!」
「……ム! リョウカイシタ!」
ゆっくりと沈むサザンⅩが答える。
が、ふと思い出したように、
「……ムム! コレハ! コノ、シチュエーションハ! アニジャヨ!」
零号に声を掛けた。
「……シャシンヲ! シャシンヲ、トッテクレ!」
そう告げた。零号は何かを察したように、「……ウム! 任セヨ!」と答える。
そうして、皆が唖然とする中、サザンⅩはゆっくりと沈んでいき、
「……アイル、ビー、バッ――」
と、言いかけたところで、頭まで沈んだ。
唯一、突き出た腕で親指を立てて、サザンⅩは消えていった。
その瞬間は、零号によって見事に写真に収められている。
「――コウタッ!?」
メルティアが、悲壮な声を張り上げる。
リーゼたちは、ただただ唖然としていた。
アンジェリカとフランは、事態が全く理解できずに目を丸くしていた。
けれど、そこで一人だけ動く者がいた。
「……ん。大丈夫。まだ行ける」
そう呟いて、スカートを両手で掴み、今にも閉じそうな闇の上に大きく跳躍する。
誰よりも小柄な幼女。アイリである。
全員が言葉を失っている中、小柄な幼女は姿勢を真っ直ぐに、勢いをつけて、まるで水面にでも飛び込むように、闇の中へと両足を差し込んだ。
そして、そのまま、本当に着水するかのように、ちゃぽんと消える。
闇が完全に閉じたのは、その数秒後だった。
数瞬の沈黙。
「「――アイリ!?」」
メルティアとリーゼが、仰天の声を上げる。
どうやら、アイリだけは、まだ後を追えると判断したようだ。
「あの状況で、コウタの傍に行くことを即断しおったか。やるのう。ロリ神め」
リノは、腕を組んで唸っていた。
「いやいやいや!」
ジェイクが闇の消えた場所に来て、手で触れた。
「何だったんだよ! 今のは!」
ジェイクは、リノに目をやった。
裏社会に生きた彼女なら、何かを知っていると思ったのだ。
しかし、リノはかぶりを振るだけだった。
「くそ。リノ嬢ちゃんでも知らねえのか。なら」
ジェイクは、アンジェリカとフランに目をやった。
先程の闇は、明らかにアヤメに関係するモノに見えた。
アヤメの友人である二人なら、何か知っているかもしれないと思ったのだが、
「え、あ、その……」
二人は、ブンブンとかぶりを振っていた。
彼女たちも、何も知らないようだ。
「コ、コウタさまは、アイリは一体どこに……」
血の気の引いた顔で、リーゼが呟く。
「まあ、コウタたちに身の危険はなかろう。どうやら、あの闇は犀娘が仕掛けたようじゃからな。しかし、これは……」
「……うん。そうだね」
リノの台詞を、アルフレッドが継いだ。
「これって、はっきり言うと誘拐だよね?」
全員が無言になった。
しばし、空気がシンとする。
そして、
「コウタアアア――ッッ!?」
青ざめ、涙目になったメルティアの声が響くのだった。
今代の《七星》の一人であるアルフレッド=ハウル。
元《九妖星》の一人、リノ=エヴァンシード。
そして、コウタ=ヒラサカの三人だ。
ここいるメンバーの中でも、別格に戦闘力が高い三人。
ただ、その中でも動いたのは、コウタだけだった。
この行動の差は、アルフレッドとリノが出遅れたというより、コウタが何も考えずに飛び出したためだ。
――この事態が何なのか。
二人と違って、それを考える前に、彼女の元へと跳んでいた。
「アヤちゃん!」
彼女の名を呼び、その腕を掴む。
そして足元の闇が広がる前に、アヤメを抱き寄せて後方に跳んだ。
「アヤちゃん! 大丈夫!?」
しっかりと。
アヤメを両腕で抱きしめて、彼女の無事を確認する。
一方、アヤメは、
「……コウタ君は、やっぱり優しいのです」
彼の腕の中で、アヤメは幸せそうに目を細めた。
――が、すぐに申し訳なさそうな顔をして。
「けど、ごめんなさいのです。後で叱ってください」
「え? 叱るって――」
と、コウタが眉をひそめた瞬間だった。
――フオン。
先程までアヤメの立っていた場所にあった闇。
それが、再びアヤメの足元で広がったのだ。
それは三セージルほど広がって、
「……ン?」
偶然にも、サザンⅩの足元まで届いた。
そしてその闇は、コウタとアヤメ、ついでにサザンⅩを呑み込み始めた。
闇はまるで蟻地獄のようであって、中心にいるコウタたちは早く沈み、端にいたサザンⅩが「……ン? ン?」と困惑しながら、中央に引き寄せられていた。
「コ、コウタ!?」
この事態に、愕然とした声を上げたのは、メルティアだった。
「――チイ! 犀娘! やってくれる!」
リノがすぐさま動き出す。アルフレッドも「コウタ!」と叫んでそれに続き、
「コウタさま!」「おい、コウタ!」
一歩遅れて、リーゼとジェイクも立ち上がる。
四人は、コウタの元に駆け寄ろうとするが、
「ダ、ダメだよ! みんな!」
すでに、腰まで闇に沈んだコウタが止めた。
「状況が分からない! 近づいちゃダメだ!」
次いで、コウタは叫ぶ。
「ジェイク! アルフ! メルを頼む――」
そう告げる途中で、コウタとアヤメは完全に闇の中に消えた。
「コウタ!?」
メルティアが青ざめる。
と、サザンⅩが闇の中央に来た。
その頃には、闇はサザンⅩの胴体より少し大きいぐらいの幅しかなかった。
後を追おうにも、幅が狭すぎる。
「サザンⅩよ!」
リノが命じた。
「コウタの後を追え!」
「……ム! リョウカイシタ!」
ゆっくりと沈むサザンⅩが答える。
が、ふと思い出したように、
「……ムム! コレハ! コノ、シチュエーションハ! アニジャヨ!」
零号に声を掛けた。
「……シャシンヲ! シャシンヲ、トッテクレ!」
そう告げた。零号は何かを察したように、「……ウム! 任セヨ!」と答える。
そうして、皆が唖然とする中、サザンⅩはゆっくりと沈んでいき、
「……アイル、ビー、バッ――」
と、言いかけたところで、頭まで沈んだ。
唯一、突き出た腕で親指を立てて、サザンⅩは消えていった。
その瞬間は、零号によって見事に写真に収められている。
「――コウタッ!?」
メルティアが、悲壮な声を張り上げる。
リーゼたちは、ただただ唖然としていた。
アンジェリカとフランは、事態が全く理解できずに目を丸くしていた。
けれど、そこで一人だけ動く者がいた。
「……ん。大丈夫。まだ行ける」
そう呟いて、スカートを両手で掴み、今にも閉じそうな闇の上に大きく跳躍する。
誰よりも小柄な幼女。アイリである。
全員が言葉を失っている中、小柄な幼女は姿勢を真っ直ぐに、勢いをつけて、まるで水面にでも飛び込むように、闇の中へと両足を差し込んだ。
そして、そのまま、本当に着水するかのように、ちゃぽんと消える。
闇が完全に閉じたのは、その数秒後だった。
数瞬の沈黙。
「「――アイリ!?」」
メルティアとリーゼが、仰天の声を上げる。
どうやら、アイリだけは、まだ後を追えると判断したようだ。
「あの状況で、コウタの傍に行くことを即断しおったか。やるのう。ロリ神め」
リノは、腕を組んで唸っていた。
「いやいやいや!」
ジェイクが闇の消えた場所に来て、手で触れた。
「何だったんだよ! 今のは!」
ジェイクは、リノに目をやった。
裏社会に生きた彼女なら、何かを知っていると思ったのだ。
しかし、リノはかぶりを振るだけだった。
「くそ。リノ嬢ちゃんでも知らねえのか。なら」
ジェイクは、アンジェリカとフランに目をやった。
先程の闇は、明らかにアヤメに関係するモノに見えた。
アヤメの友人である二人なら、何か知っているかもしれないと思ったのだが、
「え、あ、その……」
二人は、ブンブンとかぶりを振っていた。
彼女たちも、何も知らないようだ。
「コ、コウタさまは、アイリは一体どこに……」
血の気の引いた顔で、リーゼが呟く。
「まあ、コウタたちに身の危険はなかろう。どうやら、あの闇は犀娘が仕掛けたようじゃからな。しかし、これは……」
「……うん。そうだね」
リノの台詞を、アルフレッドが継いだ。
「これって、はっきり言うと誘拐だよね?」
全員が無言になった。
しばし、空気がシンとする。
そして、
「コウタアアア――ッッ!?」
青ざめ、涙目になったメルティアの声が響くのだった。
0
あなたにおすすめの小説
クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら
リヒト
ファンタジー
現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。
そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。
その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。
お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。
ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。
お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる