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ペンダント 4
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お店の方へ行くと、おっとりとした柔らかい雰囲気の女性とキリッとしたキャリアウーマンという言葉がしっくりくる雰囲気の女性が対面に座り話していた。
サイドテールにした髪に優しい雰囲気のタレ目。かわいいかきれいかと言ったら多分きれいの部類に入るだろう。おっとりとした雰囲気がどこか育ちの良さそうな感じを漂わせている。
この人が花咲さん。僕の雇い主だ。
そしてもう1人のキリッとした美人が今回のお客さんというわけらしい。
僕は
「失礼します。」
と彼女たちに声をかける。
すると花咲さんがふわりと微笑んだ。にこりとかではなくふわり。
「あっ雪斗くん。」
花咲さんが言う。柔らかくきれいな声。
僕はこの声で名前を呼ばれるとどこかむずがゆいような気がいつもする。
僕も微笑み返し2人に間にある机に紅茶を置く。ついでに今回の修理の品だろう。机の真ん中に置いてあるペンダントを見た。
ベル型をした可愛らしいすりガラスでできた花。同じようにガラス細工と思われる緑の葉っぱ。これらが金属のチェーンにぶら下がっている。金属のチェーンをよく見ると留め具の部分が壊れていた。
「鈴蘭、ですか?」
つい僕が言う。
するとお客さんが言った。
「あら、分かるの?」
女性でいうと低めの艶やかな声だった。
「あっはい。姉が花好きだったので。」
僕が返すと女性は少しうつむき加減で言った。
「そう。私の親友と同じね」
「親友?」
僕が聞き返す。
女性は懐かしいそうに微笑んだ。
「そう。親友。仲よしで私にこれをくれた子なの。」
どうしてだろう。友達の話をしているはずなのにどこか辛そうな雰囲気があるのは。
「何かあったんですか?」
僕が言う。
女性はそのまま辛そうな懐かしいそうな表情のまま言った。
「いや。その親友亡くなったの。そのペンダントをくれた後にね」
「すみません。」
僕が謝る。
彼女は先程とは違う寂しさや懐かしさなどは全く感じさせない微笑みを浮かべた。
「いい子ね」
僕は照れ笑いを浮かべた。そして花咲さんを見る。
花咲さんは気難しい表情ペンダントを睨んでいた。
「花咲さん?」
僕が声をかけるとハッとした表情でお客さんの方を見る。
「申し訳ございません。少しぼーっとしてました。」
そんな言い方していいのか。
心の中で突っ込む。
お客さんはフフっと笑った。
「別にいいわよ。気にしてないから。」
「すみません。とりあえず、お茶でもいかがですか?
この紅茶美味しいですよ」
花咲さんが言う。
お客さんは困った顔をしながら言った。
「ごめんなさい。急ぎの用事があるの。
いつ頃取りに来たらいいかしら」
「そうですか。それは残念です。
でしたら一週間くらいしたらまたご連絡致します。」
「そう?よろしく頼んだわ。」
女性が立ち上がる。
花咲さんも慌てて立ち上がる。
「かしこまりました。
それではまた連絡いたします。本日はありがとうございました。」
花咲さんが頭を下げる。
「えぇお願いね」
女性はそう言い店を出て行った。
女性が出て行った後、花咲さんがポツリと言った。
「これ、本当に修理してもいいんですかね」
「どういうことです?」
僕は聞き返す。
「いえ、何となくそう思って」
その言葉で僕は悟った。花咲さんはこのペンダントからなにか感じ取ったんだ。多分花咲さんには分かっている。彼女のあの辛そうな顔の意味が。「亡くなった」その一言に隠されている言葉の意味が。
だがしかし。それとこれとは関係ない。仕事をしてもらわないと困るのだ。
だから僕は言った。
「とりあえず、仕事して下さい。修理してから考えても遅くないんじゃないんですか。彼女を前に向かす方法なんてあとでもどうにかなりますよ。きっと。」
僕が言うと花咲さんはまたふわりと笑った。
「そうですね。ありがとう、雪斗くん。」
「いえ、別に」
僕は慌てて花咲さんから目をそらす。
ほんとにあの笑顔は反則だ。
サイドテールにした髪に優しい雰囲気のタレ目。かわいいかきれいかと言ったら多分きれいの部類に入るだろう。おっとりとした雰囲気がどこか育ちの良さそうな感じを漂わせている。
この人が花咲さん。僕の雇い主だ。
そしてもう1人のキリッとした美人が今回のお客さんというわけらしい。
僕は
「失礼します。」
と彼女たちに声をかける。
すると花咲さんがふわりと微笑んだ。にこりとかではなくふわり。
「あっ雪斗くん。」
花咲さんが言う。柔らかくきれいな声。
僕はこの声で名前を呼ばれるとどこかむずがゆいような気がいつもする。
僕も微笑み返し2人に間にある机に紅茶を置く。ついでに今回の修理の品だろう。机の真ん中に置いてあるペンダントを見た。
ベル型をした可愛らしいすりガラスでできた花。同じようにガラス細工と思われる緑の葉っぱ。これらが金属のチェーンにぶら下がっている。金属のチェーンをよく見ると留め具の部分が壊れていた。
「鈴蘭、ですか?」
つい僕が言う。
するとお客さんが言った。
「あら、分かるの?」
女性でいうと低めの艶やかな声だった。
「あっはい。姉が花好きだったので。」
僕が返すと女性は少しうつむき加減で言った。
「そう。私の親友と同じね」
「親友?」
僕が聞き返す。
女性は懐かしいそうに微笑んだ。
「そう。親友。仲よしで私にこれをくれた子なの。」
どうしてだろう。友達の話をしているはずなのにどこか辛そうな雰囲気があるのは。
「何かあったんですか?」
僕が言う。
女性はそのまま辛そうな懐かしいそうな表情のまま言った。
「いや。その親友亡くなったの。そのペンダントをくれた後にね」
「すみません。」
僕が謝る。
彼女は先程とは違う寂しさや懐かしさなどは全く感じさせない微笑みを浮かべた。
「いい子ね」
僕は照れ笑いを浮かべた。そして花咲さんを見る。
花咲さんは気難しい表情ペンダントを睨んでいた。
「花咲さん?」
僕が声をかけるとハッとした表情でお客さんの方を見る。
「申し訳ございません。少しぼーっとしてました。」
そんな言い方していいのか。
心の中で突っ込む。
お客さんはフフっと笑った。
「別にいいわよ。気にしてないから。」
「すみません。とりあえず、お茶でもいかがですか?
この紅茶美味しいですよ」
花咲さんが言う。
お客さんは困った顔をしながら言った。
「ごめんなさい。急ぎの用事があるの。
いつ頃取りに来たらいいかしら」
「そうですか。それは残念です。
でしたら一週間くらいしたらまたご連絡致します。」
「そう?よろしく頼んだわ。」
女性が立ち上がる。
花咲さんも慌てて立ち上がる。
「かしこまりました。
それではまた連絡いたします。本日はありがとうございました。」
花咲さんが頭を下げる。
「えぇお願いね」
女性はそう言い店を出て行った。
女性が出て行った後、花咲さんがポツリと言った。
「これ、本当に修理してもいいんですかね」
「どういうことです?」
僕は聞き返す。
「いえ、何となくそう思って」
その言葉で僕は悟った。花咲さんはこのペンダントからなにか感じ取ったんだ。多分花咲さんには分かっている。彼女のあの辛そうな顔の意味が。「亡くなった」その一言に隠されている言葉の意味が。
だがしかし。それとこれとは関係ない。仕事をしてもらわないと困るのだ。
だから僕は言った。
「とりあえず、仕事して下さい。修理してから考えても遅くないんじゃないんですか。彼女を前に向かす方法なんてあとでもどうにかなりますよ。きっと。」
僕が言うと花咲さんはまたふわりと笑った。
「そうですね。ありがとう、雪斗くん。」
「いえ、別に」
僕は慌てて花咲さんから目をそらす。
ほんとにあの笑顔は反則だ。
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