2 / 5
第2話
しおりを挟む
僕らはもう一度振り返り、そしてまた危うくキスしそうになって、一旦落ち着こうということで、ベンはお風呂に入り、僕は夕飯の支度をした。やがてベンがお風呂から上がり、僕がスープをよそってパンを並べたところで、奇妙な沈黙とともに夕飯が始まった。
「「さっきあのっ」」
被った。
「「そっちからどうぞ?」」
被った。
整理すると、僕は剣術と身体強化と火属性魔法を取得した。彼は鑑定と調薬と風属性魔法を取得した。そしてお互いキスは初めてだった、ということだ。彼は「どうして」といった顔をしていたが、心当たりはある。僕は5歳の洗礼の時に、キャンドルサービスというユニークスキルがあることを告げられていた。
「それがこれ、だと思うんだけど…」
「てかそれお前、超ヤバくね?」
そうなのだ。今、このチェルハ村で、ベンと二人きりの時に起こったから良かったようなものの、もしこれが間違って、王都でどっかのお偉いさんにでも知られようもんなら、どこか遠いところに売られて毎日キスまみれの生活だったかもしれない。いや、逆に危険分子だからって、誰も知らないうちに、内々に処分されるか…。
「た、頼む、ベン、内緒で」
俺がガタガタ震え出すと、ベンは宥めるように言った。
「誰がダチを売るかよ。だけどアレだな、こうなりゃ一生童貞かもな」
「ヒッ」
そうだ。この秘密を守ろうと思ったら、もうおいそれと他の人とはキスできないわけで…
「ま、そうなったら俺がベルを貰ってやっからよ」
「ベン~~~~~!」
僕は泣いた。
しかし、良かったこともあった。レベル1とはいえ、僕は剣術と身体強化を覚え、ベンの古い片手剣を譲ってもらって戦いに参加できるようになった。まだ身を守るくらいしか出来ないけど、その分ベンは自由に戦うことができる。攻撃に優れた火属性魔法も地味に優秀で、少ない魔力で確実に魔物にダメージを与えられる。これまで戦闘といえば、風属性のバフくらいしか役に立たなかった僕からすれば、とても嬉しいことだった。
ベンも同じだ。彼は鑑定と調薬を覚えたことで、僕と同じく薬草の採集と簡単なポーションの調薬が可能になった。魔物を解体する時にも、どこがどういう名称でどんな価値があるのか、よく分かるようになったという。彼は魔力が少なく、火属性の攻撃魔法よりも風属性のバフを積んだ方が身体強化と相性が良いからって喜んでくれた。事故チューではあったけど、お互いwin-winなアクシデントだったと思う。
そんなある日。
「なあベル」
「うん?」
就寝前。彼は剣の手入れをし、僕は王都の図書館で調べて来た製薬レシピを見返していた時。
「あのさ。こないだキスで、その、スキルとかいろいろ、あったじゃん」
「あ、うん」
蒸し返さないで欲しい。その黒歴史。
「その…キス以外は、大丈夫なのかなって」
「う、うん?」
生返事でどうにか流そうとしていた僕は、思わず顔を上げてしまった。剣の手入れをしていたと思っていたベンは、もう剣を鞘に仕舞い、思い詰めた表情で僕を見ている。
「お前さ。その、カノジョ出来ても、キスさえしなければ何とかなるって思ってね?」
「お、思ってる、けど…」
「それ、他のことでも感染っちゃったら、マズくね?」
「感染るって…あ」
兄上秘蔵の艶本には、「娼婦はキスをしない」って書いてあった。女の人の中には、キスだけを好まず、その先はOKって人がいるんじゃないかって、一縷の希望を持っていたのだ。だけど、キスだけじゃない。もしキスよりその先で、「キャンドルサービス」が発動しちゃったら、マズいことになるかも…。
「ベン、ありがと。今ベンが気付かなかったら、僕大変なことになってたかも」
「だろ。だからさ、ちょっと…試してみないか?」
「試すって、何を」
僕とベンは男同士だ。キス以上を試すって、一体何をどうやって。
ベンは僕の想像を超えて、遥かに物知りだった。男所帯の騎士団や警邏隊では、「そういう」関係がままあるらしい。
「男しかいない遠征なんか、手近に女なんかいないだろ。遠征先の女に手を出して襲う訳にもいかないし、毎度娼館に通えるほどのお大尽でもないし」
「そ、そっか」
僕は何も知らなかった。彼らはお互いを「抜きっこ」するんだって。プライバシーのない遠征生活の中、一人でこっそり処理をするよりも、人の手を借りた方が気持ち良くてスッキリするんだって。なるほどなぁ。
ベンが教えてくれた通り、僕らは二人とも裸になって、僕のベッドに入った。ベンは早速僕のペニスを握り、ゆるゆると扱き始めた。そして僕も促されるままに、彼のものにおずおずと奉仕を始めた。ああ、全然違う。僕のやり方よりもちょっと柔くてもどかしいんだけど、それがまたたまらない。ベンはベンで、僕が皮を使って先をコリコリすると、低い声で微かに喘いで、ちょっとセクシーだ。どちらからともなく腰が揺れる。ヤバい、イきそ、ってなった瞬間、彼は僕の腰をグッと引き寄せ、大きな手で二本ともまとめて握り込んだ。
「あ、あ、あっ…!!」
ヌルヌルした先っぽ同士が擦れて気持ち良くて、僕はあっという間に射精した。遅れて、ベンも僕の精液でぬちぬちと自身を扱いて、僕の腹に吐き出した。僕はうっとりとため息をついた。
しっかし、気持ち良かったな。人の手で扱いてもらうと、こんな気持ちいいんだ。てか、ベンのってデカくない?僕も人並みだと思いたいんだけど、彼のはこう、一回りか二回り太い。
「良かった。ちょっと恥ずかしかったけど、キスの時と違って何も起こらなかった」
「は?何言ってんの、これからだろ」
「これからって」
「だってお前、女とは抜きっこなんてしないぜ?」
「た、確かに」
じゃあ何で抜きっこなんて試したんだろう。そう思っていると、
「じゃあ今度、四つん這いな」
「「さっきあのっ」」
被った。
「「そっちからどうぞ?」」
被った。
整理すると、僕は剣術と身体強化と火属性魔法を取得した。彼は鑑定と調薬と風属性魔法を取得した。そしてお互いキスは初めてだった、ということだ。彼は「どうして」といった顔をしていたが、心当たりはある。僕は5歳の洗礼の時に、キャンドルサービスというユニークスキルがあることを告げられていた。
「それがこれ、だと思うんだけど…」
「てかそれお前、超ヤバくね?」
そうなのだ。今、このチェルハ村で、ベンと二人きりの時に起こったから良かったようなものの、もしこれが間違って、王都でどっかのお偉いさんにでも知られようもんなら、どこか遠いところに売られて毎日キスまみれの生活だったかもしれない。いや、逆に危険分子だからって、誰も知らないうちに、内々に処分されるか…。
「た、頼む、ベン、内緒で」
俺がガタガタ震え出すと、ベンは宥めるように言った。
「誰がダチを売るかよ。だけどアレだな、こうなりゃ一生童貞かもな」
「ヒッ」
そうだ。この秘密を守ろうと思ったら、もうおいそれと他の人とはキスできないわけで…
「ま、そうなったら俺がベルを貰ってやっからよ」
「ベン~~~~~!」
僕は泣いた。
しかし、良かったこともあった。レベル1とはいえ、僕は剣術と身体強化を覚え、ベンの古い片手剣を譲ってもらって戦いに参加できるようになった。まだ身を守るくらいしか出来ないけど、その分ベンは自由に戦うことができる。攻撃に優れた火属性魔法も地味に優秀で、少ない魔力で確実に魔物にダメージを与えられる。これまで戦闘といえば、風属性のバフくらいしか役に立たなかった僕からすれば、とても嬉しいことだった。
ベンも同じだ。彼は鑑定と調薬を覚えたことで、僕と同じく薬草の採集と簡単なポーションの調薬が可能になった。魔物を解体する時にも、どこがどういう名称でどんな価値があるのか、よく分かるようになったという。彼は魔力が少なく、火属性の攻撃魔法よりも風属性のバフを積んだ方が身体強化と相性が良いからって喜んでくれた。事故チューではあったけど、お互いwin-winなアクシデントだったと思う。
そんなある日。
「なあベル」
「うん?」
就寝前。彼は剣の手入れをし、僕は王都の図書館で調べて来た製薬レシピを見返していた時。
「あのさ。こないだキスで、その、スキルとかいろいろ、あったじゃん」
「あ、うん」
蒸し返さないで欲しい。その黒歴史。
「その…キス以外は、大丈夫なのかなって」
「う、うん?」
生返事でどうにか流そうとしていた僕は、思わず顔を上げてしまった。剣の手入れをしていたと思っていたベンは、もう剣を鞘に仕舞い、思い詰めた表情で僕を見ている。
「お前さ。その、カノジョ出来ても、キスさえしなければ何とかなるって思ってね?」
「お、思ってる、けど…」
「それ、他のことでも感染っちゃったら、マズくね?」
「感染るって…あ」
兄上秘蔵の艶本には、「娼婦はキスをしない」って書いてあった。女の人の中には、キスだけを好まず、その先はOKって人がいるんじゃないかって、一縷の希望を持っていたのだ。だけど、キスだけじゃない。もしキスよりその先で、「キャンドルサービス」が発動しちゃったら、マズいことになるかも…。
「ベン、ありがと。今ベンが気付かなかったら、僕大変なことになってたかも」
「だろ。だからさ、ちょっと…試してみないか?」
「試すって、何を」
僕とベンは男同士だ。キス以上を試すって、一体何をどうやって。
ベンは僕の想像を超えて、遥かに物知りだった。男所帯の騎士団や警邏隊では、「そういう」関係がままあるらしい。
「男しかいない遠征なんか、手近に女なんかいないだろ。遠征先の女に手を出して襲う訳にもいかないし、毎度娼館に通えるほどのお大尽でもないし」
「そ、そっか」
僕は何も知らなかった。彼らはお互いを「抜きっこ」するんだって。プライバシーのない遠征生活の中、一人でこっそり処理をするよりも、人の手を借りた方が気持ち良くてスッキリするんだって。なるほどなぁ。
ベンが教えてくれた通り、僕らは二人とも裸になって、僕のベッドに入った。ベンは早速僕のペニスを握り、ゆるゆると扱き始めた。そして僕も促されるままに、彼のものにおずおずと奉仕を始めた。ああ、全然違う。僕のやり方よりもちょっと柔くてもどかしいんだけど、それがまたたまらない。ベンはベンで、僕が皮を使って先をコリコリすると、低い声で微かに喘いで、ちょっとセクシーだ。どちらからともなく腰が揺れる。ヤバい、イきそ、ってなった瞬間、彼は僕の腰をグッと引き寄せ、大きな手で二本ともまとめて握り込んだ。
「あ、あ、あっ…!!」
ヌルヌルした先っぽ同士が擦れて気持ち良くて、僕はあっという間に射精した。遅れて、ベンも僕の精液でぬちぬちと自身を扱いて、僕の腹に吐き出した。僕はうっとりとため息をついた。
しっかし、気持ち良かったな。人の手で扱いてもらうと、こんな気持ちいいんだ。てか、ベンのってデカくない?僕も人並みだと思いたいんだけど、彼のはこう、一回りか二回り太い。
「良かった。ちょっと恥ずかしかったけど、キスの時と違って何も起こらなかった」
「は?何言ってんの、これからだろ」
「これからって」
「だってお前、女とは抜きっこなんてしないぜ?」
「た、確かに」
じゃあ何で抜きっこなんて試したんだろう。そう思っていると、
「じゃあ今度、四つん這いな」
59
あなたにおすすめの小説
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる