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この婚姻は仕来りだから、国益のためだから、仕方なく結んだものだと王様は言いました。
オメガは弱いから嫌いなのだ、ずっと傍におくつもりはない。
だから、お前とは一年後に離縁する、と。
(あの人も、オメガが嫌いなんだ…)
オメガちゃんは一瞬、寂しく思います。
あんなにきれいな顔をした人に、嫌いだ、と言われるとやっぱり少し悲しい。
けれど、オメガちゃんは思い直します。
離縁なんて望むところです。
一年後には自由にしてもらえる。今は何より孤児院の子供たちのことが気掛かりでした。 毎夜オメガちゃんに子守歌をせがむ小さな子ばかりなのです。
その夜も、王様は居室を訪れました。 そしてやはり無言で安楽椅子に身を預けます。
王様はオメガちゃんと会話を交わすつもりすらないようです。
王様のオメガ嫌いは本当のようです。
『……あの』
それでも思い切って話しかけます。
そっちがこっちを嫌いでも、お互い様。
オメガちゃんは好きでここにいるのではありません。 だから遠慮をする必要はないのだと決めました。
『俺はこのまま、お勤めをしなくていいのでしょうか』
『大人しそうな顔に似合わず、率直な奴だな』
不愛想に、王様は言いました。
昨日と同じく、とても疲れた顔をしています。即位半年後の国王。多忙なのは想像するまでもありません。
父親を殺した一族に苛烈な罰を与えた一方で、この美貌の王様はたいそう有能だと知られていました。
『オメガは好かないと言ったはずだ』
『だったら! 俺を元居た場所に帰して下さい!』
『それは出来ない。仕来りを守り、早く後継ぎを持てとうるさい大臣たちをやり過ごさねばならない。一年経ったら義務は果たせるだろう、そうしたら帰してやる』
それから淡々とした口調で続けます。
『だいたい、発情期もまだのお前に触れても意味はあるまい』
オメガちゃんは真っ赤になります。
……気付かれてたんだ。
オメガちゃんは発情期の訪れがまだありません。
オメガは発情期が訪れなければ、子供を身籠ることはありません。
オメガは弱いから嫌いなのだ、ずっと傍におくつもりはない。
だから、お前とは一年後に離縁する、と。
(あの人も、オメガが嫌いなんだ…)
オメガちゃんは一瞬、寂しく思います。
あんなにきれいな顔をした人に、嫌いだ、と言われるとやっぱり少し悲しい。
けれど、オメガちゃんは思い直します。
離縁なんて望むところです。
一年後には自由にしてもらえる。今は何より孤児院の子供たちのことが気掛かりでした。 毎夜オメガちゃんに子守歌をせがむ小さな子ばかりなのです。
その夜も、王様は居室を訪れました。 そしてやはり無言で安楽椅子に身を預けます。
王様はオメガちゃんと会話を交わすつもりすらないようです。
王様のオメガ嫌いは本当のようです。
『……あの』
それでも思い切って話しかけます。
そっちがこっちを嫌いでも、お互い様。
オメガちゃんは好きでここにいるのではありません。 だから遠慮をする必要はないのだと決めました。
『俺はこのまま、お勤めをしなくていいのでしょうか』
『大人しそうな顔に似合わず、率直な奴だな』
不愛想に、王様は言いました。
昨日と同じく、とても疲れた顔をしています。即位半年後の国王。多忙なのは想像するまでもありません。
父親を殺した一族に苛烈な罰を与えた一方で、この美貌の王様はたいそう有能だと知られていました。
『オメガは好かないと言ったはずだ』
『だったら! 俺を元居た場所に帰して下さい!』
『それは出来ない。仕来りを守り、早く後継ぎを持てとうるさい大臣たちをやり過ごさねばならない。一年経ったら義務は果たせるだろう、そうしたら帰してやる』
それから淡々とした口調で続けます。
『だいたい、発情期もまだのお前に触れても意味はあるまい』
オメガちゃんは真っ赤になります。
……気付かれてたんだ。
オメガちゃんは発情期の訪れがまだありません。
オメガは発情期が訪れなければ、子供を身籠ることはありません。
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