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6 身代わりオメガはもう、初夜から逃げられない?
翌夜。
再び初夜へと導かれるリュカ。
リュカが要望した通り、キリアンの寝室はいっそう豪華になっています。
絨毯やカーテンが取り替えられ、寝台はいっそう暖かに、柔らかく調えられています。
キリアンが笑顔で尋ねました。
「いかがでしょうか神子。この設えでご満足いただけますか?」
セラは困惑し、立ち尽くします。
ううう、どうしようセラが見付かったという知らせはまだ届きません。
「いいえ、駄目です!」
リュカは振り返り、キリアンを見上げます。
「我が国の初夜では、寝台に入る前に二人で甘い花蜜酒(シロップのようなお酒)を分け合って飲みます。それがないと初夜をするのは嫌です!」
初夜を回避するため、今夜もわがままを言ってしまいました。
キリアンは分かりました、明日までに必ず用意します、と答え部屋を出て行きました。
翌夜、花蜜酒がちゃんと用意され、リュカは三たび初夜に誘われますが、セラはやはり見付かっておらず…
「初夜の褥の周囲には、白檀を香らせてくれなくては嫌です」
「初夜の夜衣は真っ白ではなく、白銀の色で刺繍が必要です」
「初夜の枕元には、永久の愛の象徴である金剛石(ダイヤモンド)を一粒置く必要があります!」
毎晩、わがままを口にして、初夜を遠ざけます。
わがままにまるで慣れていないリュカは、毎夜罪悪感でドキドキしていました。
キリアンに申し訳なく思いました。キリアンは何も悪くないのです。
キリアンはリュカのわがままを「神子が言うのだから、要望通りに」とすべて聞き入れてくれますが、キリアンを敬愛する臣下たちはリュカに激怒します。
「陛下、相手が大国の王子で神子だからとこれ以上我儘に付き合う必要はありませんぞ」
「そうですとも。こちらは多額の支援金を積んでいる。立場は対等です」
「神子だからと傲慢が過ぎる!」
そんな風に、自分を糾弾する声をリュカの耳にも届いていました。
そして今夜。
寝台の傍で俯くリュカをキリアンは見下しています。
もうわがままも思い付きません。
けれど、初夜を迎えるわけにはいかない。自分は身代わりなのだから。
リュカはつらい気持ちでいました。わがままを言うのは申し訳ない。でも、彼をこれ以上騙すのも、とてもつらいのです。
寝台の傍で立ち尽くしリュカに、キリアンはそっと手を差し出しました。
「神子、こちらへ」
びくっと身を竦めたリュカに、キリアンは微笑します。
「ご安心を。何も怖いことは致しません。ですが、我が国の夜の姿をお見せしたい」
「……夜の、姿?」
何のことか分からずにいるリュカに、キリアンは穏やかに頷きました。
キリアンに城の外へと誘われました。馬に乗せられます。月光の下、馬は草原を疾走します。
キリアンは無言です。怒らせてしまったかもしれません。神子だからとあまりにもわがままばかりだと、嫌われたのかも知れません。
*--*--*--*--*--*--*--*
読んで下さりありがとうございます✨
次回、水曜日夜更新です。
良かったらスター、ご感想などもぜひお願いいたしますm(__)m
再び初夜へと導かれるリュカ。
リュカが要望した通り、キリアンの寝室はいっそう豪華になっています。
絨毯やカーテンが取り替えられ、寝台はいっそう暖かに、柔らかく調えられています。
キリアンが笑顔で尋ねました。
「いかがでしょうか神子。この設えでご満足いただけますか?」
セラは困惑し、立ち尽くします。
ううう、どうしようセラが見付かったという知らせはまだ届きません。
「いいえ、駄目です!」
リュカは振り返り、キリアンを見上げます。
「我が国の初夜では、寝台に入る前に二人で甘い花蜜酒(シロップのようなお酒)を分け合って飲みます。それがないと初夜をするのは嫌です!」
初夜を回避するため、今夜もわがままを言ってしまいました。
キリアンは分かりました、明日までに必ず用意します、と答え部屋を出て行きました。
翌夜、花蜜酒がちゃんと用意され、リュカは三たび初夜に誘われますが、セラはやはり見付かっておらず…
「初夜の褥の周囲には、白檀を香らせてくれなくては嫌です」
「初夜の夜衣は真っ白ではなく、白銀の色で刺繍が必要です」
「初夜の枕元には、永久の愛の象徴である金剛石(ダイヤモンド)を一粒置く必要があります!」
毎晩、わがままを口にして、初夜を遠ざけます。
わがままにまるで慣れていないリュカは、毎夜罪悪感でドキドキしていました。
キリアンに申し訳なく思いました。キリアンは何も悪くないのです。
キリアンはリュカのわがままを「神子が言うのだから、要望通りに」とすべて聞き入れてくれますが、キリアンを敬愛する臣下たちはリュカに激怒します。
「陛下、相手が大国の王子で神子だからとこれ以上我儘に付き合う必要はありませんぞ」
「そうですとも。こちらは多額の支援金を積んでいる。立場は対等です」
「神子だからと傲慢が過ぎる!」
そんな風に、自分を糾弾する声をリュカの耳にも届いていました。
そして今夜。
寝台の傍で俯くリュカをキリアンは見下しています。
もうわがままも思い付きません。
けれど、初夜を迎えるわけにはいかない。自分は身代わりなのだから。
リュカはつらい気持ちでいました。わがままを言うのは申し訳ない。でも、彼をこれ以上騙すのも、とてもつらいのです。
寝台の傍で立ち尽くしリュカに、キリアンはそっと手を差し出しました。
「神子、こちらへ」
びくっと身を竦めたリュカに、キリアンは微笑します。
「ご安心を。何も怖いことは致しません。ですが、我が国の夜の姿をお見せしたい」
「……夜の、姿?」
何のことか分からずにいるリュカに、キリアンは穏やかに頷きました。
キリアンに城の外へと誘われました。馬に乗せられます。月光の下、馬は草原を疾走します。
キリアンは無言です。怒らせてしまったかもしれません。神子だからとあまりにもわがままばかりだと、嫌われたのかも知れません。
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次回、水曜日夜更新です。
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