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もしも、糸が切れたなら
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私の手元の糸は物凄い量になっていた。毛糸玉みたいに丸めていたが、最近は編み棒を使わず手だけで編む方法でマフラーを編んでいる。これなら好きな時に編めるし、どうせ誰にも見えないし、いつかは手袋なんかも作れそうだ。
糸は相変わらず延々と続いていたが、最近は糸が引っ張られている様に感じる時があった。もしかしたら、ゴールが近いのだろうか?
そんな風に思っていたある日の事、私は告白された。
「好きです」
しかし、相手は大地ではなく、半年程前にフラれた事がある海斗だった。
「君、確か僕の事好きだろ? あれからずっと君の事が気になって、この気持ちが恋だと気が付いた。これで両思いだね」
「えっ! はあぁ!??」
そして海斗と付き合っているという噂はあっという間に広がった。
「あーあー、何でこうなっちゃうんだろう」
私は部屋で勉強の合間にグルグルと糸を巻き取っていた。
「私は付き合うなんて言ってないし、今はもう海斗の事は何とも思ってないのに、思っているとしたら・・・・・・」
脳裏に大地の顔が浮かんだ。最近はずっと大地の事ばかり考えている。この糸の先の人物が大地だという確信が欲しい。そう思う程だった。
「というか、今日はやけに糸が軽い・・・・・・えっ!」
私は信じられない物を見たという顔をした。そこには糸の終わりがあったからだった。
「嘘、糸が切れてる」
こんな形で糸が終わってるだなんて、運命の人はやはり大地ではなかったのだろうか? そう思うと急に泣きたくなってきた。
「神様! 何で糸が切れちゃったの?」
「うん? 呼ばれるのは久し振りじゃの。それはお前さん、身に覚えがあるんじゃないかの?」
身に覚え、それは海斗との噂、それしかなかった。
翌日、私は大地と話をしようとした。
だが、目も合わさず避けられ続けた。
だけれど、私は諦めなかった。
私は嫌がる大地を無理やり校舎裏へと連れ出した。
「何で避けるの?」
「お前には関係ない。俺に構っている場合か? 海斗と付き合ってるんだろ」
そう言う大地の小指には切れて短くなった糸が未だにそこにあった。ゆらゆらと揺れる糸の先が未練がましく居場所を求めている様にも見えた。
やっぱり、糸の主は大地だったのだ。
「期待しなければ良かった。お前は昔から友情しか求めていなかった。今になってこんなにも胸が苦しい」
「あ・・・・・・」
思い出した。小学生の時、大地にずっと友達でいてという約束をした。だから中学で大地はあんな事を? 糸が切れたのも私を諦めようとして?
でも、あの小指に糸が残っているのなら、大地にも気持ちが残っている筈だ。
だったら、私のする事は一つだ。
私は大地に口づけた。
「約束、破ってごめんね」
握った大地の手には結び直した私との運命の赤い糸があった。
糸は相変わらず延々と続いていたが、最近は糸が引っ張られている様に感じる時があった。もしかしたら、ゴールが近いのだろうか?
そんな風に思っていたある日の事、私は告白された。
「好きです」
しかし、相手は大地ではなく、半年程前にフラれた事がある海斗だった。
「君、確か僕の事好きだろ? あれからずっと君の事が気になって、この気持ちが恋だと気が付いた。これで両思いだね」
「えっ! はあぁ!??」
そして海斗と付き合っているという噂はあっという間に広がった。
「あーあー、何でこうなっちゃうんだろう」
私は部屋で勉強の合間にグルグルと糸を巻き取っていた。
「私は付き合うなんて言ってないし、今はもう海斗の事は何とも思ってないのに、思っているとしたら・・・・・・」
脳裏に大地の顔が浮かんだ。最近はずっと大地の事ばかり考えている。この糸の先の人物が大地だという確信が欲しい。そう思う程だった。
「というか、今日はやけに糸が軽い・・・・・・えっ!」
私は信じられない物を見たという顔をした。そこには糸の終わりがあったからだった。
「嘘、糸が切れてる」
こんな形で糸が終わってるだなんて、運命の人はやはり大地ではなかったのだろうか? そう思うと急に泣きたくなってきた。
「神様! 何で糸が切れちゃったの?」
「うん? 呼ばれるのは久し振りじゃの。それはお前さん、身に覚えがあるんじゃないかの?」
身に覚え、それは海斗との噂、それしかなかった。
翌日、私は大地と話をしようとした。
だが、目も合わさず避けられ続けた。
だけれど、私は諦めなかった。
私は嫌がる大地を無理やり校舎裏へと連れ出した。
「何で避けるの?」
「お前には関係ない。俺に構っている場合か? 海斗と付き合ってるんだろ」
そう言う大地の小指には切れて短くなった糸が未だにそこにあった。ゆらゆらと揺れる糸の先が未練がましく居場所を求めている様にも見えた。
やっぱり、糸の主は大地だったのだ。
「期待しなければ良かった。お前は昔から友情しか求めていなかった。今になってこんなにも胸が苦しい」
「あ・・・・・・」
思い出した。小学生の時、大地にずっと友達でいてという約束をした。だから中学で大地はあんな事を? 糸が切れたのも私を諦めようとして?
でも、あの小指に糸が残っているのなら、大地にも気持ちが残っている筈だ。
だったら、私のする事は一つだ。
私は大地に口づけた。
「約束、破ってごめんね」
握った大地の手には結び直した私との運命の赤い糸があった。
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