異世界転生派遣組織 ヒョンナコト・カンパニー

刺片多 健

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14 退治って何でしょうか?

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僕は、ヤッカイさんとキャサリンさんに気付かれない様に少し離れた所で
「・・・エレノアさん」と、小声で呼びます。

エレノアさんが僕の横に来ます。
『何?』

「さすがにこれは消してもいいですよね?」

『何言ってるのタツキチ!ダメに決まってるでしょ!』

「え?だって魔物の挟み撃ちですよ?」

『ダメよ!これ以上、目撃者は増やせないわ!』

「目撃者?」

『そうよ!あの変な男の人よ』
エレノアさんがヤッカイさんを指差します。

「変なって・・・
 でもハンサムですよ」

『顔は関係ないわ。
 とにかくこれ以上の干渉はだめよ!』

「でもエレノアさん。
 僕、さっき変な男、あ、いや、
 ヤッカイさんの攻撃に合わせて巨人を消しましたよ」

『ああ、あれはまだセーフよ』

「セーフって。
 それ、どういう基準なんですか?」

『だってあの変な男、気づいてないじゃない。
 たぶん、あの巨人が消えたのって、自分がやったと思ってるわよ、あの男』

「ええ、まあ、そのタイミングに合わせて消しましたから」

『それが2度も続いてごらんなさい。
 いくらあの男が変でも気づくわよ。さすがに』

「そうでしょうか?」

『そうよ』

「タツキチ!」
キャサリンさんが僕を叫びます。
「あなた何してるの!こっちに来なさい!離れると危ないわよ!」

「あ、はい」
僕はキャサリンさんとヤッカイさんの方へ移動します。

『ダメだからね!タツキチ!
 それにさっきキャサリンと手をつないでたでしょ!何なのよアレ!』
エレノアさんが僕の耳元で強めにささやきます。

何なのって言われてもですね。
キャサリンさんが僕の手を取って走り出したんですよ。
どうしろと言うんです?

綺麗な女性が手をつないできたんですよ。
まさか振りほどけとでも言うのですか?
僕にそんなこと出来るわけないじゃないですか。

僕はキャサリンさんとヤッカイさんの隣に行きます。
「で、どうするんです?
 スライムはもうすぐそこまで来てますよ。あ、ヘビもこっち来ました」

「たぶん、そろそろだ」
中腰に構えるヤッカイさんが言います。

「そろそろって何がです?」

「スライムのことよ」
キャサリンさんが大量のスライムの方を見ます。

「スライムがどうなるんですか?」

「いいから見てて、あの先頭のスライムを」

「先頭?
 あの青いスライムですか?」

「そうよ、よく見てて」

スライムの先頭に青くて他よりも少し大きいスライムが勢いよく押し出される様に迫ってきます。
大量のスライムは、僕たちの手前10メートルぐらいの所で、ピタッっと動きを止めました。

止まった・・・

と思った瞬間、先頭の青いスライム以外が、一斉に米粒ほどの大きさにしぼみました。
しぼんだ米粒状のスライムが一瞬で先頭の青いスライムに吸収されます。

袋につめた大量の粉を爆破した映像を逆回転させたような感じで、スライムが一つになります。
一つになった青いスライムは、地面に小さく跳ねて動きを止めます。

一つになった・・・

「元に、戻りましたね」
僕が呟きます。

「そうよ。これでもう安心よ」
キャサリンさんが胸をなでおろします。

いやいや、安心って・・・

「まだ、ヘビいますよ。そこにでっかいのが。こっち来てます」
僕が指差します。

「これだからシロウトは・・・」
ヤッカイさんが困ったもんだというジェスチャーをします。

「どういう事ですか?
 というか早く逃げた方がいいんじゃないでしょうか?ヘビ来てますよ」

「へッ!シロウトのお前はそこで、よーく見てろ!」
ヤッカイさんがゆっくりとスライムに近づきます。

巨大なヘビはピンと立ったシッポを高速で震わせ、僕たちへ迫って来ます。

バチバチバチ!

高速で震えるシッポが激しい音を立てます。

「あれ何の音です?」

「放電よ!カミナリと一緒よ!
 サンダースネークは尻尾からの電撃で獲物を狩るの!」

電撃?
シッポから?

それって感電しますよね?
ビリビリって。
あんなでっかいヘビからカミナリが発射されたら僕たち終わりじゃないんですか?

「これ・・・どうするんですか?」
僕がキャサリンさんに聞きます。

「あの男が対処するわ」

え?
ヤッカイさんが対処するって・・・
あの人、逃げるだけですよ?
相手を全く刺激しない低刺激魔法とか言う変な魔法しか使えないんですよ?

「どうやって・・・あっ」

僕は驚きます。
ヤッカイさんが、ピュ!と蒸留水で攻撃してくるスライムを避けると、ヘビ目掛けて蹴飛ばしたからです。

「え?スライムを蹴飛ばした・・・」

しかも鮮やかなクリーンヒットです。
僕の蹴った時よりも強いです。

蹴飛ばされたスライムは、一直線にヘビのシッポにぶつかってポンッ!と2つに弾けます。

ポンッ!ポンッ!ポンッ!

スライムが倍々に増えます。
カラフルなスライムが物凄い勢いで増えていきます。
あっという間にヘビはカラフルなスライムだらけになります。

「はじまるわよ!」
キャサリンさんが叫びます。

始まる?
何が?

「撤退だ!逃げるぞ!!こっちだ!!」
ヤッカイさんが叫びます。

逃げながら僕がキャサリンさんに聞きます。
「何が始まるんですか?」

「ヘビ退治よ!」

「だからどういう事ですか?」

「いいからタツキチ!早くあの岩陰に隠れるわよ!」

僕たちは岩陰に隠れます。
岩陰から少し顔を出し、ヘビの様子をうかがいます。

ヘビはスライムだらけになり、ピュ!ピュ!ピュ!と大量の蒸留水を浴びて、全身ビチャビチャになります。
そしてそれは巨大なシッポがブルブル!と震えて、バチバチバチ!!と放電した瞬間に起こりました。

ドッカーーン!!

という爆発音と共に、スライムが弾け飛びます。
カラフルな風船が放射状に吹き飛ぶ感じです。

「な、何です?
 なにがどうなったんです?」
僕が飛び散っていくスライムを見つめたまま聞きます。

「スライムの蒸留水は電撃に触れると爆発するのさ!」
ヤッカイさんが、どうだ、というハンサム顔で僕を見ます。

「爆発・・・ヘビはどうなったんですか?」

「吹き飛んだ」

「え?」

「自分の電撃で、自分を吹き飛ばしたってことだ!」

「スライムは何で爆発しないんですか?」

「奴らには耐性がある」

「そ、そうなんですね・・・
 でも・・・
 蹴飛ばしただけであれだけ増えたのに、こんなに爆発したらスライムはどうなるんですか?」

「さっきとは比べ物ならない増え方をするわね」

「え?」

「この洞窟すべてがスライムで埋め尽くされるわね」

「ああ。
 こりゃ、厄介なことになっちまったぜ」

ええ?
何、ひとごとみたいに言ってんですか。
あんたが蹴飛ばしたんですよね?
スライムを。



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