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ちょっと休憩
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☆カードショップ 【シャングリラ】店内
五月はK(休憩)をとるため、店内へと戻る。1日に来店したお客が月影支店史上最高記録に達したらしく。店長に長々と感謝の意を示され、だいぶ休憩の時間は減ってしまったが。
「や、やっと休憩に入れるー……」
『いゃあ、お疲れ。サツキ。大盛況だったねぇ』
SDドラゴンフォームに戻った龍太郎から、飲み物を受けとる五月。【当たりかハズレか分からない!? おみくじドリンク】と書かれた珍品だ。
「ありがとう。龍太郎。……って。お、おみくじ? なんか凄いマニアックな飲み物買ってきたね」
『ちょっとしたゲームをそれ1本で出来るんだ。只、飲んで味わうだけじゃなく、そういった工夫を凝らしてくる。……だから、発売元の桃源社は好感が持てるんだよね』
「た、確かに面白いとは思うけど。……ちなみに、ハズレると味が変わったりとか?」
『ハズレは……たしか、激・すっぱ梅干し味だったかな』
「す、すっぱそう……逆に喉乾くよ。それ」
五月と龍太郎が話していると、そこに自分もKに入ったらしき醒夜やって来て、彼女達に声をかける。
「よっ! オヤットサーお前ら。お前らも休憩か」
「あ、お疲れ様。醒夜くん。って……なんで鹿児島の方言なの?」
「マンネリ化した日々の挨拶に……以下略だ。しかし……お前ら、やってくれるじゃねぇか。ここまで繁盛したのは月影支店史初らしいぜ」
「そ、そうらしいね」
『ふ……ボクとサツキのコンビにかかれば、ま……ざっとこんなものだよ』
「その事に関しては月影として素直に謝意を示そう。が……しかし、だ。……逆に呼び込み過ぎなんだよ。お前ら。……これはアレか。キャッシャーである俺に対する嫌がらせのつもりなのか?」
『まぁ、大変だったろうね。あの人だかりじゃあ。けれどそれはお互い様だろう。何せこっちはこっちで、どこぞのナンパヤローの対応に当たってたわけだし』
「……なにぃっ!? ナンパ野郎? 仕事中にか」
『そう。仕事中に』
「……そいつぁ。アホだな。……しかも、相当に」
『だろうねぇ』
「……ず、随分と、ひどい言い様だなぁ……」
「……とにかく。これ以上俺の仕事を増やすな。というか午後は、お前らもキャッシャーに回れ。これは月影後継者、月影醒夜としての命令だ。……いいな?」
「うん。私は全然構わないけど──」
五月は、チラリと龍太郎の方を覗き見る。実は二人は先ほどの客引き中、感じた【問題点】について話し合い。ある案を決行するつもりでいたのだ。
『ボクもかまわない……と言いたい所だけど……少々面白い案を思いついてね。……これをやるとやらないじゃ、今後のこの支店の売上にも関わるんじゃないかな。セイヤ。そっちの方。ボクに担当させてくれないかい?』
「……売上に関わるつーんじゃ聞かねぇ訳にもいかねぇわな。ま、言ってみろ」
『手当たり次第に客引きしたのは、いいけれど……問題があってね。それは【カードに、興味が無い人間も、集まってしまっている】という点だ。だから、ボク達が考えた案というのが──【レクリエーションで、ルールをおさらい! 興味が無い人にも、TCGを楽しんでもらおう大作戦】なのだよ。と、いうわけで……店の一部に……詰め将棋ならぬ、詰めストラッグル。通称【詰めスト】なるモノのコーナーを作ってみないか』
「レクリエーションって……お前、それ自分がやりたいだけじゃねぇのか」
『それもある』
「あるんかい」
冷ややかにつっこむ醒夜に対し、五月が龍太郎の弁護に入る。
「いや、でも醒夜くん! これ、割りといい案だと思うんだよ。だってホラ。【ノエシス】ってさ今でも、かなりの知名度はあるし、社会に普及してはきてるけど……中には【ストラッグル】には興味がないとか。仕事上でしかファミリアと関わらないって人も結構いるみたいだし。だから、そういった人達に、少しでも【ノエシス】に興味を持ってもらえたら、嬉しいじゃない? ……只、営業するだけじゃそういった【ノエシス】の魅力を伝える事って難しいと思うんだ」
「……それは……まぁ、そうだな」
『お、認めた。じゃあいいかな。セイヤ。【詰めスト】コーナー決定ってことで』
「俺も、今はバイトの身だからな……余り勝手ばっかやってるとマズイんだが……ま、いいだろうさ。それが、結果この支店の利益になるってんなら。店長には何とか掛け合っといてやるよ」
「! ありがとう! 醒夜くん!」
「おう。ただし、お前は、キャッシャーな」
「うん。任せて! よーし、午後の部、がんばるぞー! おー!」
『張り切ってるね。サツキ。ボクも、一遊び……じゃなかった。一仕事。頑張ってくるよ』
「そ、そこは、言い間違えないで欲しかったな。まぁ、とにかく……お互い、頑張っていこう。醒夜くん。龍太郎」
「ああ」
五月はK(休憩)をとるため、店内へと戻る。1日に来店したお客が月影支店史上最高記録に達したらしく。店長に長々と感謝の意を示され、だいぶ休憩の時間は減ってしまったが。
「や、やっと休憩に入れるー……」
『いゃあ、お疲れ。サツキ。大盛況だったねぇ』
SDドラゴンフォームに戻った龍太郎から、飲み物を受けとる五月。【当たりかハズレか分からない!? おみくじドリンク】と書かれた珍品だ。
「ありがとう。龍太郎。……って。お、おみくじ? なんか凄いマニアックな飲み物買ってきたね」
『ちょっとしたゲームをそれ1本で出来るんだ。只、飲んで味わうだけじゃなく、そういった工夫を凝らしてくる。……だから、発売元の桃源社は好感が持てるんだよね』
「た、確かに面白いとは思うけど。……ちなみに、ハズレると味が変わったりとか?」
『ハズレは……たしか、激・すっぱ梅干し味だったかな』
「す、すっぱそう……逆に喉乾くよ。それ」
五月と龍太郎が話していると、そこに自分もKに入ったらしき醒夜やって来て、彼女達に声をかける。
「よっ! オヤットサーお前ら。お前らも休憩か」
「あ、お疲れ様。醒夜くん。って……なんで鹿児島の方言なの?」
「マンネリ化した日々の挨拶に……以下略だ。しかし……お前ら、やってくれるじゃねぇか。ここまで繁盛したのは月影支店史初らしいぜ」
「そ、そうらしいね」
『ふ……ボクとサツキのコンビにかかれば、ま……ざっとこんなものだよ』
「その事に関しては月影として素直に謝意を示そう。が……しかし、だ。……逆に呼び込み過ぎなんだよ。お前ら。……これはアレか。キャッシャーである俺に対する嫌がらせのつもりなのか?」
『まぁ、大変だったろうね。あの人だかりじゃあ。けれどそれはお互い様だろう。何せこっちはこっちで、どこぞのナンパヤローの対応に当たってたわけだし』
「……なにぃっ!? ナンパ野郎? 仕事中にか」
『そう。仕事中に』
「……そいつぁ。アホだな。……しかも、相当に」
『だろうねぇ』
「……ず、随分と、ひどい言い様だなぁ……」
「……とにかく。これ以上俺の仕事を増やすな。というか午後は、お前らもキャッシャーに回れ。これは月影後継者、月影醒夜としての命令だ。……いいな?」
「うん。私は全然構わないけど──」
五月は、チラリと龍太郎の方を覗き見る。実は二人は先ほどの客引き中、感じた【問題点】について話し合い。ある案を決行するつもりでいたのだ。
『ボクもかまわない……と言いたい所だけど……少々面白い案を思いついてね。……これをやるとやらないじゃ、今後のこの支店の売上にも関わるんじゃないかな。セイヤ。そっちの方。ボクに担当させてくれないかい?』
「……売上に関わるつーんじゃ聞かねぇ訳にもいかねぇわな。ま、言ってみろ」
『手当たり次第に客引きしたのは、いいけれど……問題があってね。それは【カードに、興味が無い人間も、集まってしまっている】という点だ。だから、ボク達が考えた案というのが──【レクリエーションで、ルールをおさらい! 興味が無い人にも、TCGを楽しんでもらおう大作戦】なのだよ。と、いうわけで……店の一部に……詰め将棋ならぬ、詰めストラッグル。通称【詰めスト】なるモノのコーナーを作ってみないか』
「レクリエーションって……お前、それ自分がやりたいだけじゃねぇのか」
『それもある』
「あるんかい」
冷ややかにつっこむ醒夜に対し、五月が龍太郎の弁護に入る。
「いや、でも醒夜くん! これ、割りといい案だと思うんだよ。だってホラ。【ノエシス】ってさ今でも、かなりの知名度はあるし、社会に普及してはきてるけど……中には【ストラッグル】には興味がないとか。仕事上でしかファミリアと関わらないって人も結構いるみたいだし。だから、そういった人達に、少しでも【ノエシス】に興味を持ってもらえたら、嬉しいじゃない? ……只、営業するだけじゃそういった【ノエシス】の魅力を伝える事って難しいと思うんだ」
「……それは……まぁ、そうだな」
『お、認めた。じゃあいいかな。セイヤ。【詰めスト】コーナー決定ってことで』
「俺も、今はバイトの身だからな……余り勝手ばっかやってるとマズイんだが……ま、いいだろうさ。それが、結果この支店の利益になるってんなら。店長には何とか掛け合っといてやるよ」
「! ありがとう! 醒夜くん!」
「おう。ただし、お前は、キャッシャーな」
「うん。任せて! よーし、午後の部、がんばるぞー! おー!」
『張り切ってるね。サツキ。ボクも、一遊び……じゃなかった。一仕事。頑張ってくるよ』
「そ、そこは、言い間違えないで欲しかったな。まぁ、とにかく……お互い、頑張っていこう。醒夜くん。龍太郎」
「ああ」
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