デビルプリンセスは死なない。

みずほたる

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戦いは終わったけど、材料は地獄級

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戦いが終わり、封じられていた空間が解ける。
周囲の視線がざわつく中、ボロボロの裕美子。無駄に輝くリィナ。意識を失っているレンタローに治癒魔法をかけ続けるレミット。

ざわつきはさらに大きくなる。

「もう、大学どころじゃないわね……」

私はため息をつく。すると、勝手に手が上がった。

『ならば――忘却の華《ふうきゃくのはな》』

花びらが周囲を舞う。

『これで周囲の者は、現在を起点に今夜には前後1時間の記憶をなくす。今のうちに去れば、今日の出来事は忘れ去られる』

「一応聞くけど、周囲ってどれくらい?」
『火星までじゃ』

「だから周囲の定義、間違ってるってば!」

『まぁ、とにかく皆を連れて避難じゃ。モグドナルドで良かろう。死神よ、転移魔法は使えるか?』

「かしこまりました、デビルプリンセス様」

クロエは地面に魔力で魔法陣を描く。皆が中に入ると、一瞬でモグドナルドに転移した。

「ちょっとお客様! いきなり現れてびっくりじゃないですか」

見た目が怖い店長が怒る。

『黙れ店長。いや、魔族の特攻隊長だった辻本よ。妾に文句を言うとは偉くなったもんじゃのう』

「ヒィッ、その魔力のオーラ、まさかデビルプリンセス様……?」

「まさか店長も転生人?」

裕美子が尋ねると、悪魔姫は笑う。

『いや、元々こやつはこんな奴じゃ。魔族脱走後はモグドナルドで再就職して潜伏したのじゃ。本名はケルナグールサレータ――略して辻本』

「略になってないわよ」

『ここを妾たちの拠点にするぞ。良い依頼を優先してよこすのじゃ』

「当店はお客様に平等に依頼を提供しております」

『代わりにこやつを受付にやる。好きに使え』

「我は神なのに……悲しみ」

「これは慈愛の女神リィナ様。本当によろしいので?」

『ウム。今後は依頼料を必ず受け取り、金を支払った者のみ報奨金を払うようにせい。リィナを座らせておけば、女神の後光で客は押し寄せる。貴様も楽ができ、店は黒字。妾たちも良い依頼のみを受けられる。互いに良いことずくめじゃ』

「ありがとうございます、デビルプリンセス様」

『おそらく、未来の裕美子の家族を襲った者もリストに載るはずじゃ。怪しいと思ったら報告を怠るでないぞ』

「かしこまりました」

『あと、レンタローは弱い。奴に合った修行プランも考え、依頼を与えよ』
「かしこまりました」

「悪魔姫様……よろしいのですか? 私たちのために」

裕美子は尋ねる。

『かまわぬ。明奈も含め、仲間を大切にせぬと妾もまた過去の過ちを繰り返すのじゃ』

「はぁ……」

『まぁ気にするな。妾は疲れたから眠る。明奈よ。しばらく貴様も修行だと思って自力で頑張れ。裕美子やレンタローの協力があればなんとかなろうて』

いきなりおせっかいになったじゃん。

私は静かになったもう1人の私に、お疲れ様とも言った。

「で、店長。元魔族だけど魔族の討伐を依頼していいの?」

私は聞くと、

「今更私を狙う者もおりませんし、いるとしたら皆様に依頼を出しますので。それに魔族のみの討伐依頼は出しておりません。人間も天使も神も悪事を働く者に依頼を出しております」

裕美子が店長に

「ところで魔力を回復するアイテムとか販売してないんですか?」

店長が在庫を確認しにいなくなったので私は裕美子に

「魔力って寝たら回復しないの?」と聞いた。

「明奈、いや悪魔姫と戦って私の魔力すっからかんなんだけど全回復するには半年はかかるかも」

「考えたこともなかった」

「悪魔姫の魔力ってどんだけなのよ。あれだけやっても死なないし、本当に化け物だわ」

店長が戻ってきて

「材料を取ってきて作ってもらうしかないですね」

「じゃあその依頼を受けます」

「あ、私も一緒に受けます」

「明奈、、、」

「裕美子、今魔力ないし、私も修練と勉強を兼ねて付き合うわ。報酬は裕美子に全部あげていいよ」

「ありがとう明奈」

店長が真剣な顔で書類を差し出す。

「では、魔力回復ポーションの材料リストです」

裕美子が目を通すと、そこには信じられない文字が並んでいた。

「黒タピオカ(珍珠)100粒」

「ミルク100ml(牛乳、またはアーモンドミルク)」

「茶液50ml(烏龍茶限定)」 

「砂糖大さじ3(氷山産限定)」

「氷10個(魔力封印用、極寒であること)」

「……は?」

明奈も目を丸くする。
 
「……これ、タピオカドリンクの材料リストじゃない、やばい。どんな味か覚えてない!」

「なんか死ぬ直前に流行った記憶があるような」

「タピオカドリンクってなに?」

ブームが終わってから死んだ私と、ブーム中に死んだ裕美子、タピオカドリンクすら知らないまま死んだレンタロー。

この三者でタピオカドリンクを一から作ることになったのであった。
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