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姫様、また領地を増やす
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「さて困ったもんじゃ。市長ソプラノよ。この都市にハーモニカ国民全員を受け入れられるか?」
「それは流石に。住居もなければ仕事もありません。いきなり大量の難民を受け入れるようなものです」
確かに圧政に苦しむ生活に戻るなら移住したい。という考えはわかるのだが突然言われても。しかも万単位。
私は頭を悩ませてたのち、西村をはじめとした代表者たちを招いた。
「そなたらが妾を慕う気持ちは嬉しいのじゃが、全員を受け入れられる寝床や仕事がミナエモン領にはないのが現実じゃ」
「やはりそうですか」
肩を落とす代表者たち。
「せめて寝床や仕事があれば、そなたらを迎え入れられるのじゃが。すまぬな」
「家と仕事があればいいんですね?」
「西村よ。良い知恵があると申すか?」
「ハイ。俺にお任せ下さい!」
そう元気よく自分の胸を叩くとみんなを率いて帰っていった。
「なんか嫌な予感がするのぅ
その背中を見て不安でいっぱいな私なのであった。
それから一週間後のミナエモン城。
「ねぇオカリナ。『人を指さして「ドーン!」って言う修練』って、なんの役に立つの?」
「備えあれば憂なしです。姫様」
「『三秒で昼寝をする修練』とかないの?」
「それこそなんの役に立つのですか?」
「私の私生活には重宝するんだけど」
そんないつものやり取りをしていると、
「姫様。西村さんがお見えになりました」
「ウム。通すが良い」
玉座に座ると西村がやってきた。
「お久しぶりでございます」
「どうしたのじゃ? 祭りはさすがにやらぬぞ」
「いえ。この度ハーモニカの領地を姫様に献上すべく参りました」
「は?」
詳しく聞くと、ハーモニカ国民はピアニカの祭りから真っ直ぐハーモニカ城に向かったらしい。
「この領地があれば、家も仕事もある!」
「姫様の方が主人に相応しい!」
「みんなで畑を耕し、来年はここで豊作祭りだ!」
「わっしょい! わっしょい!」
さすがの国王一味も、この扇動には対応出来ず誰も傷つくことなく城を明け渡すことにしたらしい。
「そんなわけで姫様。俺らはコシヒカリの生産に励みますゆえ、俺らを導いて下さい!」
それを聞いていたオカリナは、
「あぁ、姫様が着々と世界征服をすすめております。泣き魔王様。見てくれていますか?」
ハンカチで涙を拭いていた。
「てか、ハーモニカなんか行ったことすらないんだけど。大体あなたたち生活苦しいんでしょ? コシヒカリは出来たら食べきれない分を私が買い取るとして、それまでどうするのよ!」
慌てすぎて絶望のオーラを消してしまった。
「姫様。しばらく彼らを養う資金はございます。あれを売りましょう」
オカリナが指をさした先には、西村勇者解任と迷惑料としてハーモニカから送られてきていた金品財宝。いらないのでこの部屋の隅っこに置きっぱなしだったやつである。
「そうね。あれゴミだもんね」
「金品財宝をゴミ扱いとは。さすが姫様!」
西村。あんたも日本人だったなら金の冠とか使い道ないのわかるでしょ。
そう言いたかったが心に留めておいた。
さらに一週間後の元ハーモニカ城。
「そんなわけで、ハーモニカ領をミナエモン領に併合し、ここに農業都市ハーモニカを設立するものとする。市長には西村、妾の守護のもと平和な政治を頼むぞ」
「かしこました。姫様!」
「ハーモニカの民たちよ。妾が守護するゆえ、遠慮なく働くのじゃ。妾は税は取らぬ。作って余ったコシヒカリや農産物を妾に売るが良い。妾はそれを転売して利益を得るからそれを、税としていただこう」
「さすが姫様。転売ヤーの鏡でございます」
「あまり嬉しくない言葉じゃのう。じゃが妾が決裁するのは面倒じゃ。米問屋を妾とそなたらの中間に置くゆえ、うまくやるが良い」
「まるでJAですね。焼きそばといい、花火といい、まるで日本人のようです」
いや、半年くらい前まで日本人だったんだけど。とは言わず、
「誰でも考えそうなことじゃ」
と言った。私を尊敬するならばあえて言う必要はないだろう。
アイドルに彼氏はいない。
多分同じ。
「それはそうとハーモニカ城そのものをどうするかじゃ、ピアニカの時は不要だからと撤去したのじゃが、ここはどうする? 民意で構わぬぞ」
「城ですし、盗賊などのアジトにされても困りますね」
「ならばいっそのこと商業施設にするか。場所もちょうど国の中央にあったし。買い物は全てここで済ませられるようにするのはどうじゃ?」
「さすが姫様。ならば折角なので城を改築し、生前見れなかった安土城にしても良いですか?」
「え?」
「俺の隣に住んでいる爺さんが、生前安土城の設計図を書いてたみたいでいつも自慢してます!」
「それも驚きだけど、資金はどこから出すつもりじゃ?」
「姫様の城にあった金品財宝を売れば城なんか100個くらい余裕で建てれますが」
「あのゴミそんなに価値あるの!?」
やばい。マジで捨てようと思っていた。どうやらこの世界、金は想像以上に価値があるのかもしれない。
「姫様のお許しがあればですが」
「構わぬ。お主らから徴収したものじゃろうからな。返すのは当たり前じゃ」
「ありがとうございます! 姫様!」
「あぁ魔王様。姫様は本当に金に目が眩みません。私なら豪邸を建てて一生働かない自由気ままな余生を望むと言うのに」
言うなオカリナ、私だって価値を知っていたら姫様なんか引退してたんだから!
こうして農業都市ハーモニカの再建がはじまるのであった。
「それは流石に。住居もなければ仕事もありません。いきなり大量の難民を受け入れるようなものです」
確かに圧政に苦しむ生活に戻るなら移住したい。という考えはわかるのだが突然言われても。しかも万単位。
私は頭を悩ませてたのち、西村をはじめとした代表者たちを招いた。
「そなたらが妾を慕う気持ちは嬉しいのじゃが、全員を受け入れられる寝床や仕事がミナエモン領にはないのが現実じゃ」
「やはりそうですか」
肩を落とす代表者たち。
「せめて寝床や仕事があれば、そなたらを迎え入れられるのじゃが。すまぬな」
「家と仕事があればいいんですね?」
「西村よ。良い知恵があると申すか?」
「ハイ。俺にお任せ下さい!」
そう元気よく自分の胸を叩くとみんなを率いて帰っていった。
「なんか嫌な予感がするのぅ
その背中を見て不安でいっぱいな私なのであった。
それから一週間後のミナエモン城。
「ねぇオカリナ。『人を指さして「ドーン!」って言う修練』って、なんの役に立つの?」
「備えあれば憂なしです。姫様」
「『三秒で昼寝をする修練』とかないの?」
「それこそなんの役に立つのですか?」
「私の私生活には重宝するんだけど」
そんないつものやり取りをしていると、
「姫様。西村さんがお見えになりました」
「ウム。通すが良い」
玉座に座ると西村がやってきた。
「お久しぶりでございます」
「どうしたのじゃ? 祭りはさすがにやらぬぞ」
「いえ。この度ハーモニカの領地を姫様に献上すべく参りました」
「は?」
詳しく聞くと、ハーモニカ国民はピアニカの祭りから真っ直ぐハーモニカ城に向かったらしい。
「この領地があれば、家も仕事もある!」
「姫様の方が主人に相応しい!」
「みんなで畑を耕し、来年はここで豊作祭りだ!」
「わっしょい! わっしょい!」
さすがの国王一味も、この扇動には対応出来ず誰も傷つくことなく城を明け渡すことにしたらしい。
「そんなわけで姫様。俺らはコシヒカリの生産に励みますゆえ、俺らを導いて下さい!」
それを聞いていたオカリナは、
「あぁ、姫様が着々と世界征服をすすめております。泣き魔王様。見てくれていますか?」
ハンカチで涙を拭いていた。
「てか、ハーモニカなんか行ったことすらないんだけど。大体あなたたち生活苦しいんでしょ? コシヒカリは出来たら食べきれない分を私が買い取るとして、それまでどうするのよ!」
慌てすぎて絶望のオーラを消してしまった。
「姫様。しばらく彼らを養う資金はございます。あれを売りましょう」
オカリナが指をさした先には、西村勇者解任と迷惑料としてハーモニカから送られてきていた金品財宝。いらないのでこの部屋の隅っこに置きっぱなしだったやつである。
「そうね。あれゴミだもんね」
「金品財宝をゴミ扱いとは。さすが姫様!」
西村。あんたも日本人だったなら金の冠とか使い道ないのわかるでしょ。
そう言いたかったが心に留めておいた。
さらに一週間後の元ハーモニカ城。
「そんなわけで、ハーモニカ領をミナエモン領に併合し、ここに農業都市ハーモニカを設立するものとする。市長には西村、妾の守護のもと平和な政治を頼むぞ」
「かしこました。姫様!」
「ハーモニカの民たちよ。妾が守護するゆえ、遠慮なく働くのじゃ。妾は税は取らぬ。作って余ったコシヒカリや農産物を妾に売るが良い。妾はそれを転売して利益を得るからそれを、税としていただこう」
「さすが姫様。転売ヤーの鏡でございます」
「あまり嬉しくない言葉じゃのう。じゃが妾が決裁するのは面倒じゃ。米問屋を妾とそなたらの中間に置くゆえ、うまくやるが良い」
「まるでJAですね。焼きそばといい、花火といい、まるで日本人のようです」
いや、半年くらい前まで日本人だったんだけど。とは言わず、
「誰でも考えそうなことじゃ」
と言った。私を尊敬するならばあえて言う必要はないだろう。
アイドルに彼氏はいない。
多分同じ。
「それはそうとハーモニカ城そのものをどうするかじゃ、ピアニカの時は不要だからと撤去したのじゃが、ここはどうする? 民意で構わぬぞ」
「城ですし、盗賊などのアジトにされても困りますね」
「ならばいっそのこと商業施設にするか。場所もちょうど国の中央にあったし。買い物は全てここで済ませられるようにするのはどうじゃ?」
「さすが姫様。ならば折角なので城を改築し、生前見れなかった安土城にしても良いですか?」
「え?」
「俺の隣に住んでいる爺さんが、生前安土城の設計図を書いてたみたいでいつも自慢してます!」
「それも驚きだけど、資金はどこから出すつもりじゃ?」
「姫様の城にあった金品財宝を売れば城なんか100個くらい余裕で建てれますが」
「あのゴミそんなに価値あるの!?」
やばい。マジで捨てようと思っていた。どうやらこの世界、金は想像以上に価値があるのかもしれない。
「姫様のお許しがあればですが」
「構わぬ。お主らから徴収したものじゃろうからな。返すのは当たり前じゃ」
「ありがとうございます! 姫様!」
「あぁ魔王様。姫様は本当に金に目が眩みません。私なら豪邸を建てて一生働かない自由気ままな余生を望むと言うのに」
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こうして農業都市ハーモニカの再建がはじまるのであった。
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