ドア開けたら戦国時代!?

デンデンムシ

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竹中半兵衛の読み

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 「とまぁ長篠城でできる限り足止めさせて武田の兵を減らしてもらおうと思いましてね?」

 「それが何であやめさんと伊織さんを向かわせたのですか!?」

 「それはあなたが持ってきた数々の食べ物、爆弾でしたかね?それらを説明する人物が必要でしょう?」

 「いやそれはそうですけど佐久間様の軍の人達にも使い方とか教えたはずですよ!」

 「う~ん。どうも私の考えた策が分からないようですね?一から説明致します。よく聞いてくださいね?」

 竹中さんはまず、武田軍を長篠で足止めするよう食い物や兵器を用意するが、いかんせん元々は収容できる人員が多くない城のため、いくら堅城とはいえ抜かれるだろうとの事。

 そして、竹中さんの読みと信濃や甲斐に潜ませている間者の事を聞けば恐らく、西上野、駿河の兵も含め全軍で上がってくると予想していると・・・。

 「その兵力少なく見積もっても3万は下らないでしょう」

 「は!?3万人ですか!?」

 「ほほほ。やっと事の重大さが分かったようですね」

 だから、いたずらに織田の兵を減らすのではなく長期に渡って兵を釘付けにする事こそ肝要だと。それに長篠城と決まったわけではない。長篠城よりもっと難攻不落の堅城 高天神城・・・こちらも手を打たなければならないと。

 武田軍は半農半兵。農閑期しか兵は動員できないと踏んでいる。だが、その武田軍は兵の強さも然ることながら・・・あの上杉ともやり合っている歴戦の猛者だ。舐めて掛かる相手ではないと。

 やはりこの時代の武田、上杉のブランドは絶大だ。

 「大小様々な城が抜かれるでしょう。だが、浜松・・・浜松は抜かれない。いや・・・抜かせない。そのために我々が援軍として来ているのです」

 「でも、あやめさん達が行く理由にはならないと思いますが?」

 「何をおっしゃいますか?正式に任務は出さない。どこに間者が居るか分かりませんからね?今、全力でテルミット爆弾なるものを量産しております。ライフリング加工をしてる銃も量産するようにしています」

 「へ!?」

 「いくつまで増産できるかは天のみぞ知るというやつですが、長篠城への救援・・・織田軍としては出しません。ここぞという時に私達が出向くのです!」

 「どういう意味です?」

 「ほほほ。長篠には行きませんよ?長篠にはね?」

 「はぁ~!?」



 「おう!戻ったか!どうだった?なにか決まったか?」

 「慶次さん・・・多分近いうち出陣するかもしれません」

 「うほっ!そうか!!楽しみだな!」

 頭沸いてんのか!?なんで戦が楽しみになるんだよ!?

 「簡単に概要だけ・・・」

 竹中さんから聞いたのは、正式に織田軍から援軍で向かうわけではなく、徳川の名前で援軍として出向く。少数精鋭でだ。まず里志君や有沙さんが教えた武器や装備なんかを知られるのはまずいとの事で近しいオレ達の隊だけで出向くと。

 だが、最後まで戦うわけじゃなく、適度な所でオレ達は退却。そして・・・

 「尾張に近い、自軍有利な所にて迎え撃つ。これが竹中様が考えた策の一つです」

 「うむ。竹中殿が考えた事にしては普通だな」

 「これは餌だそうですよ」

 「うん?どういう事だ?」

 「武田軍は名のある者は漏れなく全員この作戦に気付くだろうと。だから・・・だから我等から仕掛けないと。そしてテルミットや銃を量産してるらしいですよ」

 「密集させて一網打尽か?」

 「はい。竹中様はそう言ってました。量産しているとはいえ、そんなに数は作れないと。だから敵をできる限り密集させて一度に効果を発揮させる。と言ってました」

 「だがそれは三河に来ればの話だろう?遠州や信州から来ればこの話は終わりじゃないか?」

 「いや・・・もういいかな?慶次さん?真面目に聞いてください。竹中様には言いませんでした。この武田の西上作戦・・・多分、浜松に繋がる全ての道から武田は攻めて来ますよ。全てを守り切るのは無理です」

 「なに!?全てだと!?」

 あぁ~・・・言ってしまった・・・。もうオレも参加しないといけないようになったんだろうな・・・。

 付け焼き刃で本物に勝てるわけないよな。いくら歴史を知ってると言っても本物の戦略なんて立てられるわけないし。武器開発していると言っても明らかに数が足りないし・・・。

 それに・・・長篠・・・。ここは確か抜かれたはずだ。あやめさん、伊織さんだけは助けださないと!

 多分こんな感じでどのルートから武田が来るか分からなかったっていうのが真実だろうな。だから、信長さんは援軍を出さないってわけではなく、出したけどどこへ向かわせればいいか分からないため、籠城させるように仕向けたのだろうな。

 だが家康さんが我慢できず出陣してしまい・・・後は歴史の通説・・・惨敗してしまったって事だろうな。大局的に見てオレが長篠に出向き、長篠を仮に抜かれなくしたとしてもだ・・・。東から本隊が来て挟み撃ちで終わりそうだよな。やはり、頃合い見て引き上げるようにしないとマジで死んでしまう・・・。



 この日からオレは暫く三方ヶ原の戦いの概要を学んだ。実際は違う事が伝わっているかもしれないが、少しでも被害を少なくするためだ。

 ちなみに里志君、有沙さんにもちゃんと聞いて3人でだ。田中さん?田中さんは戦には参加しないらしい。

 「武蔵君がどうしても!って言うなら、かつて切れたナイフと呼ばれた僕が武田を殲滅してあげてもいいけどね」

 と、似合わない言葉を言っていたがオレはそれを無視した。田中さんには裏方で色々作ってもらいたい。偉そうに言えばむしろ内政向きだと思う。

 「長篠か・・・。山県昌景と秋山虎繁が約5000人で攻めてくると言われているね」

 「そうなんだよ・・・里志君!なんかいい方法ない!?」

 「単純に防衛だけするなら手はなくはないけど・・・けど、長篠には行かないって竹中半兵衛さんが言ったんだろう?高天神城に出向くんだろう?むしろそっちの方がヤバいと思うよ?」

 「いや、長篠には行かないってのは織田軍としてって事と言っていたよ。高天神はさすがに距離的にオレは無理だよ」

 「う~ん。今日が8月20日だからな・・・あまり時間もないからな・・・」

 ちなみに、竹中さんから戦の概要を聞いてから約1ヶ月過ぎている。現代では例の人間国宝さんの元、今は2組の人を農業支援している。

 戦国では相変わらず色々な人の飯を用意したり、少しずつ作る有沙さんお手製の爆弾や何でも売ります買いますのお店で中古購入した、電池式ラジカセで色々な人の叫び声を録音している。

 このラジカセを使い、本番の戦の時・・・敵が近付いて来たら大音量で流してやろうという作戦だ。

 現代では人間国宝さんから、オレ含め池田マダムまで農業の事を学んでいる。まず何故、田植機は綺麗な間隔で植えるのか・・・それは稲にムラなく日が当たり風通しもよくなるため、雑草などの除草も楽になるからだと。

 かつてはこの作業を田植枠という木で作ったものを転がしたり、縄を使い間隔を決めて植えていたらしい。

 1日に一つずつ習い、簡単なテストまで出されたりしている。だが見た目も然る事ながらこの人間国宝 浦部さん。素人のオレにも分かりやすく教えてくれる。

 オレは習った事一つ一つをちゃんとノートに書き写している。来年の5月・・・田植え時期に戦国の人達にも教えたいからだ。

 野菜や果物なんかの種は渡してある。既に尾張では史実では登場していない物もあるだろう。ちゃんと理論立って教えないと意味がないと思う。

 「ってか武蔵?戦の時の仕事どうするんだ?」

 「そこなんだよ。ドアを長篠に持って行って夜だけ参加しかできないよね・・・」

 「そんな事で大丈夫か!?」

 「大丈夫もなにもさすがに仕事は休めないから・・・」

 「だよな・・・。さすがのオレもそこは考えが思い浮かばないよ。それより正式に猟銃資格貰えたんだっけ?」

 「そうだ!言おうと思ってたんだよ!見てみてよ!これ!」

 書き留め書類にてやっと届いた免許証。

 A4用紙くらいの大きさの紙にデカデカと・・・

 《第一種 猟銃狩猟免状》

 と書いてある。後は手帳型のオレの顔写真と一緒のやつだ。

 いつ調べられたかは分からない。なんならラボの事も結局は何も対策は・・・いや有沙さんがしていたかは分からないが何も言われなかった。

 いつかの例の刑事さんが私服で仕事場に来て買い物してる風なのは確認していた。オレは気付かないフリはしたけど。

 母ちゃんにも色々な事を聞かれている。あの子とはどうなった?とか、ちゃんと実家に連れて来なさい!とかだ。物理的に今は連れて行けない。オレですら1ヶ月も会っていないんだから。なんなら、喧嘩別れみたいな感じだから会えばスーパージャンピング土下座をして許してもらわなければならないからな。

 オレの考えとしては・・・そんな高い物は無理だが指輪を渡したいと思っている。まぁこれは有沙さんからの助言だが。

 そんなこんなで、史実に伝わっている三方ヶ原の戦い・・・開始まで後1ヶ月と迫った中、里志君達も9月で東京に戻るとの事で作戦の総仕上げになる。

 里志君、有沙さんが考えた作戦・・・実に単純明快な作戦だ。

 「大きな音を出せばあの時代の人達は大概足を止める。止まるだけでは敵は減らないから毎回同じ事してたら突破されるだろう?だから、数回に一回手榴弾を投げるんだ!有沙?見せてあげて」

 「合田君!これだよ!これはテルミットと違って火薬を空き缶に詰めて小石を入れてあるだけだから殺傷能力は低いの。殺す事がメインではなく怪我人を増やすのが目的だよ!怪我人が増えれば動くのが遅くなるんだよ!」

 やっぱ有沙さんだ。嬉々として説明してくれている。
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