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最期の声、等しく
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~本能寺~
織田信長
「……来ぬか」
『その合理、混沌に通ず』
⸻
~坂本城近郊~
明智光秀
「……上様に、届かなかったか……」
『信を断った者』
⸻
~躑躅ヶ崎館~
武田信玄
「……勝頼、急ぐな……」
『その眼、盤面を見失っていない』
⸻
~長篠~
馬場信春
「……殿は、退いたな」
『その殿を、最後まで守った』
山県昌景
「……赤備え、ここまでか」
『その背、最後まで折れなかった』
⸻
~関ヶ原~
島津豊久
「……殿は、生きよ……」
『その覚悟、刃より重い』
⸻
~臨沮~
関羽
「……義は、ここに……」
『その義、最後まで曇らず』
⸻
~閬中~
張飛
「……やっちまった、か……」
『その情、誠に近い』
⸻
~成都~
趙雲
「……守れたなら、それでよい……」
『その忠、曇らせはしない』
⸻
~五丈原~
諸葛亮
「……まだ、道は……」
『その才、朽ち果てさせない』
⸻
~下邳~
呂布
「この呂布が……」
『信じきれなかった者』
⸻
~信貴山城~
松永久秀
「さて……」
『信を取引にした者』
⸻
~有岡城外~
荒木村重
「……逃げ切れた、か……?」
『家臣を捨てた者』
⸻
~咸陽~
始皇帝(嬴政)
「……天下は、未だ……」
『恐れで人を縛った者』
⸻
~垓下~
項羽
「……天は……」
『人を疑い続けた者』
⸻
~洛陽~
王莽
「……正しかったはずだ……」
『信を奪い、名を騙った者』
⸻
~平家屋敷~
平清盛
「……まだ、終われぬ……」
『驕りで信を失った者』
⸻
~宇治川~
源義仲
「……味方が、いない……」
『信を繋げられなかった者』
⸻
~駿府城~
徳川家康
「……長い世であった……」
『その忍、時を制した』
⸻
声は、等しく一言だけ落ちた。
裁きでも、救いでもない。
ただ――生き様の要約として。
名も、時代も、
すでに混ざり始めている。
◆
「……随分と、集めたな」
低い声が、盤を見下ろす。
戦国の城、三国の野、古き王の玉座。
“最期”が光となって消えていく。
「選んだのではない」
もう一つの声が、軽く答える。
「彼らが、そう在っただけだ」
「黒と白に分けたか」
「信を切った者と、手放さなかった者だ」
「救わぬのだな」
「救わない。救えば、駒になる」
「面白くなるか」
「集まる。ぶつかる。混ざる」
二つの声が、重なる。
「「選ぶのは、彼らだ」」
盤が、動き出す。
織田信長
「……来ぬか」
『その合理、混沌に通ず』
⸻
~坂本城近郊~
明智光秀
「……上様に、届かなかったか……」
『信を断った者』
⸻
~躑躅ヶ崎館~
武田信玄
「……勝頼、急ぐな……」
『その眼、盤面を見失っていない』
⸻
~長篠~
馬場信春
「……殿は、退いたな」
『その殿を、最後まで守った』
山県昌景
「……赤備え、ここまでか」
『その背、最後まで折れなかった』
⸻
~関ヶ原~
島津豊久
「……殿は、生きよ……」
『その覚悟、刃より重い』
⸻
~臨沮~
関羽
「……義は、ここに……」
『その義、最後まで曇らず』
⸻
~閬中~
張飛
「……やっちまった、か……」
『その情、誠に近い』
⸻
~成都~
趙雲
「……守れたなら、それでよい……」
『その忠、曇らせはしない』
⸻
~五丈原~
諸葛亮
「……まだ、道は……」
『その才、朽ち果てさせない』
⸻
~下邳~
呂布
「この呂布が……」
『信じきれなかった者』
⸻
~信貴山城~
松永久秀
「さて……」
『信を取引にした者』
⸻
~有岡城外~
荒木村重
「……逃げ切れた、か……?」
『家臣を捨てた者』
⸻
~咸陽~
始皇帝(嬴政)
「……天下は、未だ……」
『恐れで人を縛った者』
⸻
~垓下~
項羽
「……天は……」
『人を疑い続けた者』
⸻
~洛陽~
王莽
「……正しかったはずだ……」
『信を奪い、名を騙った者』
⸻
~平家屋敷~
平清盛
「……まだ、終われぬ……」
『驕りで信を失った者』
⸻
~宇治川~
源義仲
「……味方が、いない……」
『信を繋げられなかった者』
⸻
~駿府城~
徳川家康
「……長い世であった……」
『その忍、時を制した』
⸻
声は、等しく一言だけ落ちた。
裁きでも、救いでもない。
ただ――生き様の要約として。
名も、時代も、
すでに混ざり始めている。
◆
「……随分と、集めたな」
低い声が、盤を見下ろす。
戦国の城、三国の野、古き王の玉座。
“最期”が光となって消えていく。
「選んだのではない」
もう一つの声が、軽く答える。
「彼らが、そう在っただけだ」
「黒と白に分けたか」
「信を切った者と、手放さなかった者だ」
「救わぬのだな」
「救わない。救えば、駒になる」
「面白くなるか」
「集まる。ぶつかる。混ざる」
二つの声が、重なる。
「「選ぶのは、彼らだ」」
盤が、動き出す。
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