17 / 35
第四夜 人生の大きな選択
②
そして年が明けて、一ヶ月後。
陽菜はあれから七海から特に音沙汰はなく、平凡な毎日を過ごしていた。
そんな一月の終わり、来月予定日だというのにギリギリまで仕事をしていた茜が産休に入ろうとしていた。
病棟師長の計らいで、病院近くの洋食屋で送別会が行われることになった。
そこで陽菜は久しぶりにある人と再会することになったのである。
「陽菜さん、お疲れ様です!俺!私大ですけど受かりました!すごいですよね?今日はいっぱい褒めてください!!」
それは一人で0次会でもしてきたのか、異様にハイテンションの奏多だった。
誰が奏多を呼んだのかは分からないが、周りがそんな奏多をドン引きしている中懐かれている陽菜は奏多を茜の前に向かわせた。
「茜さん、結婚式出席できなくて本当にすみませんでした。模試の最中でさすがに出れなくて。ご結婚おめでとうございます!赤ちゃんも!女の子だったら、俺のお嫁さんにしたかったのになぁ…。」
「いや男でも女でも、奏多とだけは結婚させません。」
この場の主役の茜は、冷静に奏多に突っ込んだ。
しかし奏多の夢が叶ったことを茜は顔には出さないが歓喜しているようだった。
そんな奏多の存在を除けば、茜の送迎会は和やかに行われた。
今日の奏多は強気で陽菜に積極的にアプローチし、参った陽菜はわざとバーホワイトへと連れて行った。
「いらっしゃい。あれ、奏多くん久しぶりじゃーん!」
「はるちゃんお疲れ様。あれ、奏多さん。」
ホワイトに着くと、バーカウンターにいた圭から早速奏多は冷たい視線を送られた。
離れない奏多を上手くあしらうには、ここが一番だと陽菜は計算して連れてきたのである。
「俺、医大受かりましたー!!今日は俺の奢りでーす。圭さんもマスターも飲みましょう!!」
「おめでとう。じゃあお言葉に甘えて。」
そんな奏多に圭は容赦なく、シャンパンのボトルを勧めて開けた。
陽菜は内心スカッとし、シャンパンを堪能した。
「そういえば、奏多どこの医大受かったの?」
「東京です!26才の春、晴れて上京です!」
「そっか、奏多もここからいなくなるのかぁ。」
「えっ、先輩寂しいですか?一緒に行きますか?」
陽菜の言葉に誤解して調子に乗った奏多の目の前に、圭からまたもう一本高そうなワインが出された。
「はるちゃん、これ飲みたいよね?」
「なんか今日の圭さん、ホスト並みの強引さですね!」
「誰のせいで…!!」
珍しくムキになる圭とその理由に気付かない奏多の掛け合いに陽菜が楽しんでいると、ホワイトにまた珍しい客が訪れた。
「あ、陽菜さんだ。お疲れ様です。」
「あれ?まだ仕事終わるの早くない?」
「今日暇だったんですよ。てか朝、茜と喧嘩して家に帰りづらくて。付き合ってください。」
陽菜の隣に座ったのは、匠だった。
馴れ馴れしい匠の態度に圭はまた機嫌が悪くなり、匠の前に白ワインのボトルを出した。
「どう?今日?」
「どうしたの、圭。今日酒入ってるでしょ?」
匠は圭の様子に揶揄いながら、わざと陽菜の首に手を回した。
「茜が陽菜さんみたいに穏やかな人だったら良かったのになぁ。」
「でも私は匠くんとは一緒に住めないかな。」
「えっ。陽菜さんまで俺をいらないもの扱いしないでくださいよー。」
匠も今日はかなり悪酔いしているらしい。
陽菜は二人に囲まれてこれ以上圭が機嫌が悪くなることが嫌だったので、トイレに行ったついでに一人バーカウンターの遠くに座り直した。
お互いハイテンションで気が合ったのか、匠と奏多は茜の話題で盛り上がっていた。
そんな二人をマスターに任せた圭は陽菜の前に来て、甘いミルクカクテルを出した。
「今日で茜さん、産休なんだよね。元気そうだった?」
「うん、元気すぎて予定日前まで働きたがってた。あんな元気な妊婦見たことない。」
「良かったね。そういえば^_^最近七海さんと会った?」
「ううん。どうして?」
圭は圭なりに、七海と絢斗のことを気にしていた。
しかし絢斗の抱える悩みは陽菜には話していなかった。
「もう二月になるからね。七海さんの返事、気になったんだ。」
「そうだよね。私も気になってはいるところなんだけど、なにやら七海のお母さんの体調が良くないみたいで…。」
陽菜はあまり詳しいことは知らないのだが、七海から母親の容体が悪く通院の頻度が多くなったと聞かされていた。
そのため陽菜とゆっくり会うこともできず、絢斗とのことも解決していなかったようだった。
「心配だね。二人もなんとか上手くいくといいんだけど…。」
「明日にでも七海に連絡してみようかな。」
「よろしくね。」
陽菜はなんだか圭が異様に心配していることに驚きながらも深追いせず、親友が幸せになるために少しでも力になれたらと思いを巡らせたのであった。
陽菜はあれから七海から特に音沙汰はなく、平凡な毎日を過ごしていた。
そんな一月の終わり、来月予定日だというのにギリギリまで仕事をしていた茜が産休に入ろうとしていた。
病棟師長の計らいで、病院近くの洋食屋で送別会が行われることになった。
そこで陽菜は久しぶりにある人と再会することになったのである。
「陽菜さん、お疲れ様です!俺!私大ですけど受かりました!すごいですよね?今日はいっぱい褒めてください!!」
それは一人で0次会でもしてきたのか、異様にハイテンションの奏多だった。
誰が奏多を呼んだのかは分からないが、周りがそんな奏多をドン引きしている中懐かれている陽菜は奏多を茜の前に向かわせた。
「茜さん、結婚式出席できなくて本当にすみませんでした。模試の最中でさすがに出れなくて。ご結婚おめでとうございます!赤ちゃんも!女の子だったら、俺のお嫁さんにしたかったのになぁ…。」
「いや男でも女でも、奏多とだけは結婚させません。」
この場の主役の茜は、冷静に奏多に突っ込んだ。
しかし奏多の夢が叶ったことを茜は顔には出さないが歓喜しているようだった。
そんな奏多の存在を除けば、茜の送迎会は和やかに行われた。
今日の奏多は強気で陽菜に積極的にアプローチし、参った陽菜はわざとバーホワイトへと連れて行った。
「いらっしゃい。あれ、奏多くん久しぶりじゃーん!」
「はるちゃんお疲れ様。あれ、奏多さん。」
ホワイトに着くと、バーカウンターにいた圭から早速奏多は冷たい視線を送られた。
離れない奏多を上手くあしらうには、ここが一番だと陽菜は計算して連れてきたのである。
「俺、医大受かりましたー!!今日は俺の奢りでーす。圭さんもマスターも飲みましょう!!」
「おめでとう。じゃあお言葉に甘えて。」
そんな奏多に圭は容赦なく、シャンパンのボトルを勧めて開けた。
陽菜は内心スカッとし、シャンパンを堪能した。
「そういえば、奏多どこの医大受かったの?」
「東京です!26才の春、晴れて上京です!」
「そっか、奏多もここからいなくなるのかぁ。」
「えっ、先輩寂しいですか?一緒に行きますか?」
陽菜の言葉に誤解して調子に乗った奏多の目の前に、圭からまたもう一本高そうなワインが出された。
「はるちゃん、これ飲みたいよね?」
「なんか今日の圭さん、ホスト並みの強引さですね!」
「誰のせいで…!!」
珍しくムキになる圭とその理由に気付かない奏多の掛け合いに陽菜が楽しんでいると、ホワイトにまた珍しい客が訪れた。
「あ、陽菜さんだ。お疲れ様です。」
「あれ?まだ仕事終わるの早くない?」
「今日暇だったんですよ。てか朝、茜と喧嘩して家に帰りづらくて。付き合ってください。」
陽菜の隣に座ったのは、匠だった。
馴れ馴れしい匠の態度に圭はまた機嫌が悪くなり、匠の前に白ワインのボトルを出した。
「どう?今日?」
「どうしたの、圭。今日酒入ってるでしょ?」
匠は圭の様子に揶揄いながら、わざと陽菜の首に手を回した。
「茜が陽菜さんみたいに穏やかな人だったら良かったのになぁ。」
「でも私は匠くんとは一緒に住めないかな。」
「えっ。陽菜さんまで俺をいらないもの扱いしないでくださいよー。」
匠も今日はかなり悪酔いしているらしい。
陽菜は二人に囲まれてこれ以上圭が機嫌が悪くなることが嫌だったので、トイレに行ったついでに一人バーカウンターの遠くに座り直した。
お互いハイテンションで気が合ったのか、匠と奏多は茜の話題で盛り上がっていた。
そんな二人をマスターに任せた圭は陽菜の前に来て、甘いミルクカクテルを出した。
「今日で茜さん、産休なんだよね。元気そうだった?」
「うん、元気すぎて予定日前まで働きたがってた。あんな元気な妊婦見たことない。」
「良かったね。そういえば^_^最近七海さんと会った?」
「ううん。どうして?」
圭は圭なりに、七海と絢斗のことを気にしていた。
しかし絢斗の抱える悩みは陽菜には話していなかった。
「もう二月になるからね。七海さんの返事、気になったんだ。」
「そうだよね。私も気になってはいるところなんだけど、なにやら七海のお母さんの体調が良くないみたいで…。」
陽菜はあまり詳しいことは知らないのだが、七海から母親の容体が悪く通院の頻度が多くなったと聞かされていた。
そのため陽菜とゆっくり会うこともできず、絢斗とのことも解決していなかったようだった。
「心配だね。二人もなんとか上手くいくといいんだけど…。」
「明日にでも七海に連絡してみようかな。」
「よろしくね。」
陽菜はなんだか圭が異様に心配していることに驚きながらも深追いせず、親友が幸せになるために少しでも力になれたらと思いを巡らせたのであった。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました
雨宮羽那
恋愛
結婚して5年。リディアは悩んでいた。
夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。
ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。
どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。
そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。
すると、あら不思議。
いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。
「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」
(誰ですかあなた)
◇◇◇◇
※全3話。
※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜
※AI不使用です。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
初恋にケリをつけたい
志熊みゅう
恋愛
「初恋にケリをつけたかっただけなんだ」
そう言って、夫・クライブは、初恋だという未亡人と不倫した。そして彼女はクライブの子を身ごもったという。私グレースとクライブの結婚は確かに政略結婚だった。そこに燃えるような恋や愛はなくとも、20年の信頼と情はあると信じていた。だがそれは一瞬で崩れ去った。
「分かりました。私たち離婚しましょう、クライブ」
初恋とケリをつけたい男女の話。
☆小説家になろうの日間異世界(恋愛)ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18)
☆小説家になろうの日間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/18)
☆小説家になろうの週間総合ランキング (すべて)で1位獲得しました。(2025/9/22)