百合オチにしたいらしい

なゆか

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私である理由…

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結局、あの3人を回避しつつ、
百合オチになる方法を考えるが
そう簡単に思い付くわけもなく、日だけが流れ、
百合沢はクラスの女子達から嫌がらせを受け始めた。

「本当に消えて!」

「そうよ、目障りなのよ!」

的井「…こ」

「ぎゃッまた耳に息掛けてくるんじゃないわよッ!」

多分、今が嫌がらせの最終局面なのか
百合沢は女子達に屋上に呼び出され、
勿論私も着いて行った。

そして…

バンッ

赤根「絢音にこれ以上、手を出したら、
許さないからな!」

青前「貴方達の今までの愚行は、
ここに記してあります。
法的処置も出来ますからね」

桃原「僕の絢音ちゃんを悲しませる事したら、
分かってるよね?」

謀ったようなタイミングで3人が屋上にやって来て、
女子達を詰め出し、またオートモードに入った。

今まではコレで百合沢への嫌がらせは
終わっていたのだろうと思う。

百合沢「逃げよう、的井さん」

的井「待ってよ、多分これで逃げたら
嫌がらせされたままかもよ?
幸せになりたいなら、嫌がらせしてくる
クラスの女子達を何とかしないと」

百合沢「…でも、この3人に助けてもらったら
また…」

的井「私に任せなよ」

百合沢に下がっててもらい、
3人の正面に行き、オートモードを切ってから
女子達と対面した。

的井「百合って知ってる?」

「はぁ?声ちっさいんだよ!」

的井「百合!」

「何、百合?花の?」

的井「女性同士の恋愛の事だよ」

「…は?」

的井「ここで百合と出したと言う事は?」

「まさか…あんたと百合沢って…」

的井「そうだよ!」

「でも、赤根君達は」

的井「百合だよ?
一般の恋愛とは、覚悟のレベルが違う」

「レベルが違うからって、
赤根君達が百合沢を好き好き言ってるのが
気に入らないのよ」

的井「今、3人が百合沢に猛アタックしてても
私の圧勝だから、3人は失恋決定してんだよ」

「…」

的井「これからは百合沢に嫌がらせするんじゃなくて、
失恋確定3人組にアタックしなよ」

「気持ち悪いッ」

女子達は、捨て台詞を言って
屋上から出て行った。

これでいけるかなと振り返ると、
失恋確定3人組が私の事を睨んでいる。

赤根「絢音は俺の運命の人だって、
何度も言ってんだろ!」

青前「まだ、そんな戯言を言っているんですね」

桃原「ほんと、頭おかしいんだから
病院行きなよ」

まぁ、私に対する3人からの妬みは
続行されるだろうが、
女子達から百合沢への嫌がらせが
これで収まる事を願おう。



的井「上手い事言ったね、百合沢」

百合沢「…うん」

屋上イベント以降、
女子達から百合沢への嫌がらせは収まった。

そして、百合だと言ったからなのか
対応が大きく変化した。

「ここ、恋愛成就の神社あるから
早く行って来な」

「あっこれ、恋愛成就のお守りだから」

今まで私も無視されて来たのに、
女子達は私にも声を掛け、
百合沢との百合オチを応援されるようになった。

的井「嫌がらせ問題は解決したね。
あとは、早いところあの3人が
百合沢を諦めるように…」

百合沢「…」

的井「百合沢?」

女子達の対応もそうだが、
あれ以降百合沢の様子も変わった。

なんか、よそよそしいというか…

百合沢「的井さん…話があるの」



深刻な面持ちの百合沢に着いて行き、
百合沢家に来た。

百合沢「あのね…この前の屋上での事なんだけど…」

的井「うん」

百合沢「今までは、屋上イベントの後、
クラスの女子達は私への嫌がらせは止めたけど
妬みだけは続いてたの」

的井「そりゃ、そう簡単にいかないわな」

普通に意中に醜態がバレて、
嫌がらせは止めても、好意がスパッと無くなる
もんではないだろうな…

百合沢「クラスで唯一私に嫌がらせを
してなかったのが、的井さんで…」

的井「ほうほう」

私はクラスでも空気みたいなもんだし、
嫌がらせに誘われたり、
強要されてないかもしれないが
今までの自分偉いぞと思う。

百合沢「…それでね…妬みの憂さ晴らしに
選ばれたのが、的井さんだったの」

的井「憂さ晴らし?」

百合沢「私はBAD ENDに回避しようって
自分の事で精一杯だったの…でも、
私が原因で、的井さんは悲惨な虐めに遭って…」

百合沢は頭を下げて来た。

百合沢「ずっと黙ってて…
ごめんなさいッ…」

百合沢は泣いてるのか、声がひくついている。

的井「…なるほど」

なんの取り柄もない私を百合オチのパートナーに
選んだのは、一応適当では無かったんだなと
分かったが何か引っ掛かる。

的井「ん?」

百合沢「どうしたの…」

的井「百合オチにさせたいのは、
あの3人のBAD ENDを回避する為なんだよね?」

百合沢「うっうん」

的井「今までの屋上イベントでは、
あの3人に助けてもらって嫌がらせ問題は
解決してたんだよね?
でも、その代わりに私が虐められてたと」

百合沢「…私の…せいで…」

百合沢の涙は止まっていないが、
それよりもなんかモヤモヤする。

的井「百合沢、紙とペン貸して」

百合沢「…え、そこに」

的井「ありがと」

私はとりあえず、
この現状を紙にまとめてみる事にした。

~今までの百合沢の場合~
①3人が原因で百合沢はクラスの女子達から
嫌がらせを受ける
②3人が百合沢を守り、嫌がらせ問題を解決させる
③百合沢への嫌がらせは終わるが、
その代わりに私が虐められる
④百合沢は3人のBAD ENDへ進行

的井「つまり、百合沢があの3人とのBAD ENDに
進むと確実に私は虐めに遭うと…」

~百合オチの場合~
①3人が原因で百合沢はクラスの女子達から
嫌がらせを受ける
②百合オチの為、3人に守ってもらえない
③百合沢への嫌がらせが終わらない為、
代わりを立てる必要が無く、私は虐めを受けない
④結果、百合沢は虐められ続けるBAD END

的井「今は結果、3人の力を借りたんだか
よく分からないまま百合沢の嫌がらせが収まって、
私への虐め発展はしなかったけど、
本来、百合沢はどうやって嫌がらせを
解決するつもりだったの?」

百合沢「…こ…この百合オチの場合で」

的井「いや、百合沢が嫌がらせ受け続けてたら、
BAD ENDなんじゃ?」

百合沢「違うよ…的井さんが幸せなら
私はどうなってもいいの」

覚悟を決めたみたいな顔をしてるが、
普通に矛盾している。

あの3人からのBAD ENDを回避する為に
私と百合オチが必要だったのは分かる。

3人が嫌がらせを解決させるのに、
必要だったとしたらBAD ENDを回避して
百合オチにしようとしてる時点で、
手助けは無いから嫌がらせは終わらず、
百合沢は嫌がらせを受け続ける。

的井「それの何が幸せなの?
自分が幸せになりたいから私を利用して
百合オチにするって言ってたよね」

百合沢「そうだけど…的井さんは、
虐めを受けなくなるから、幸せでしょ?
的井さんが幸せなら、私も幸せなの」

どうやら、百合沢は自己犠牲で
私への罪滅ぼしをしようとしていた。

的井「いや、何言ってんの?
それだったらBAD ENDだよ」

百合沢「…だからっ…私が原因で
的井さんが虐めを受けるようになったから、
私が嫌がらせを受け続ければよくて、それで
BAD ENDだったとしても、私は…」

私は逆ギレした百合沢の頭を拳で殴った。

的井「こら」

百合沢「痛いっ」

的井「あのさ、百合沢が不幸のままだったら、
私は幸せになれないよ」

百合沢「…え」

的井「BAD ENDを回避する為の百合オチでしょ?
百合沢の考えだと、
BAD ENDを回避出来てないよね?」

百合沢「そっそれは」

的井「BAD ENDを回避するって、
つまり、HAPPY ENDにしたいって事だと
思うんだけど」

百合沢「…うん」

的井「それなら、お互い幸せじゃなきゃ駄目だよ」

私は百合沢に下ろした拳を開き、
再び頭を軽く叩く。

的井「まっ結果オーライだったけど、
人を巻き込んで置いて、
自己犠牲でBAD ENDでも良いって言ってる人と、
百合オチなんて嫌だから」

百合沢「…ごめん」

的井「よし、スッキリした!
じゃっあの3人に諦めさせる方法考えようか」

百合沢「うん!」
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