百合オチにしたいらしい

なゆか

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TRUE ENDって知ってる?

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百合沢は困惑する私に、
百合オチ確定してからの説明をしてくれた。

何度もというのは、
百合オチ確定すると私は事故死してしまい、
BAD ENDになったとの事。

百合オチになったのに、結局はBAD END。
そこからは、百合沢は私が死なないように
百合オチ確定からを繰り返していたらしい。

何度も何度も繰り返し、途方に暮れていたところに
アズタナが現れ、大団円BADを受け入れれば
私が死ぬ事はないと…
百合沢の自己犠牲精神を利用して
大団円BADを完成させようとしていた。

的井「アズタナ出て来い!」




アズタナ「…はぁ」

時間が停まり、アズタナが現れた。

アズタナ「無茶苦茶しないでくださいよ。
やっと大団円BADが完成するところだったのに」

的井「卑怯者ッ」

アズタナ「卑怯ではありませんよ。
そもそもその世界はボクが作ったものなのですから
何してもいいじゃないですか」

的井「言い訳ないだろッ
結局、百合沢がBAD ENDになってる」

アズタナ「彼女は最後までBAD ENDで苦しみ
その輝きを皆様に楽しんでもらうのです」

的井「そんなの誰が楽しむんだよ!」

何がBAD ENDだ、何が輝きだよと
呆れた顔をしているアズタナを睨む。

アズタナ「やっと、終われると思いましたが
このままでは、ボクが考える大団円BADには、
ならないので…」

アズタナは、停まっている百合沢を動かした。

アズタナ「彼女は自身で着けた火により死にますよ」

アズタナは私を指差した。

百合沢「なッ」

アズタナ「せっかく、貴方の美しい自己犠牲で
大団円BADにしたのに、彼女のせいで
また、ただのBAD ENDになるのです」

百合沢「止めてよ…ッ…
これ以上的井さんを苦しめないで!」

アズタナ「そこは心配しなくても、
彼女の記憶はリセットされますから」

リセット…
だから、私は何度も死んでる事を覚えてないのか…
尚更、ふざけんなよと百合沢の前に出る。

記憶がリセットされたら、
百合沢が最後どうなるかわからない。

百合沢「的井さんを殺させないって約束で、
大団円BADを受け入れたのに…話が違う」

百合沢は私と真逆な事を約束していたようだ。

的井「イタチごっこじゃん」

アズタナ「そうなのですよ。
どちらかが折れないと、
この世界は完結しません」

百合沢「絶対に嫌ッ
的井さんが居なくなるなんて、認めない!」

アズタナ「ヒロインの意志は、
ストーリーテラーであるボクには変えられません。
そして、ヒロインとの接触で意思を持った貴方も
ボクはどうする事もできません」

前に思った事は、当たっていたようだ。

的井「…だから、私が折れろって?」

アズタナ「大団円BADは、
そこまで悪いオチではないのです。
勿論、貴方が死ぬ事もありませんし」

アズタナは私に手を差し出した。

アズタナ「無駄なイタチごっこは、
終わりにしませんか?」

百合沢「的井さんっ、私は的井さんが
死なないなら…それで…」

百合沢は泣きながら、私の背中を押してくる。

アズタナ「さあ」

この手を取れば百合沢が大団円BADが確定して
私は死なず、この世界は完結する。

的井「いや、アズタナが折れればいいだけでしょ」

私はアズタナの手を払った。

的井「何、丸め込もうとしてんの?
百合沢も、なんで丸め込まれてんの?」

百合沢「…え」

的井「アズタナは、私達2人の意志を
変えられないって言ってんだよ?
なら、嫌々大団円BAD受け入れなくていいじゃん」

百合沢「でも…そうしないと、的井さんが」

的井「あのさ、私の今までの死因って何?」

百合沢「事故とか、通り魔に刺されたり」

的井「自殺じゃないんでしょ?
何とか生き永らえるように頑張るからさ、
HAPPY ENDを目指そう」

百合沢「…うん!」

百合沢と結託したが、アズタナに天を仰いでいる。

アズタナ「…はぁ、面倒な人間ですね…
あぁ、何で…」

アズタナは自分の頭をかきむしって、
地団駄を踏み出した。

アズタナ「アイツらがフラグなんて立てるから、
こんな事に…本当…あぁっもう!」

何言ってるのか分からないが、
アズタナは怒っている。

アズタナ「ボクの世界なのに…全く…
ポイントも使ったのに…早く終わらせて、
次の世界の案も考えてるのに…何なんだよッ
コレかークソ兄妹の影響」

再び天を仰ぐアズタナは、
ずっとグチグチ文句を言っているのを見て、
こっちは冷静になった。

的井「何あれ?」

百合沢「分からないよ」

的井「そもそも、ストーリーテラーって
何なの?」

百合沢「私はこの世界を作ってるって言ってたから、
神様なのかなと思ってたよ。
でも、少し違うのかな?」

的井「原理とかは分からないけど、
アズタナにとって、
百合沢は意思を動かせない存在なんだよね?
私はその百合沢に接触されたから意思を持って、
アズタナの思い通りにならないんだとしたら、
ワンチャン、百合沢がアイツに接触してみなよ」

百合沢「…どういう事?」

的井「アズタナにタッチしてみてよ」

百合沢「触るだけで、何か変わるの?」

的井「いや、なんとなく…勘かな?
アズタナをこの世界に引きずり込めそうだなって」

百合沢「ストーリーテラーじゃなくすって事?」

的井「この世界が自分とか
どうとか言ってたからさ、
この世界を作ってるストーリーテラーを
引き込めば…」

私は百合沢の腕を掴み、ゆっくりと
天を仰ぐアズタナに近付いた。

的井「この世界、壊せるかなってさ」

百合沢「タッチ!」

アズタナ「…なッ」

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