「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」

桜庵

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~元に戻った美桜の生活編 Chapter2~

~3学期!~

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冬休みが明けた3学期の始業式当日。

おまじないの本の秘密もわかりあと2回入れ替われる事も知った美桜。
だが、カノンと連絡を取る術はないので今できる事をしようと意気込む。

美桜は久しぶりの制服に着替え、眼鏡はかけずに髪はおろし、リボンを付けて準備が整ったので家を出る。

学校に着き、美桜が教室に向かって廊下を歩いていると後ろの方から原さんが声を掛けてきた。
「美桜ちゃーーん!おはよう!久しぶりーー。」
「おはようございます!えっと…いのりちゃん…。お久しぶりです。」
美桜は原さんの挨拶に返事をして、名前呼びというのをカノンから聞いていたので名前で呼んでみるが、恥ずかしくなり顔を赤くしてうつむく。

「美桜ちゃんが照れてる…。可愛い!今まで普通に呼んでくれてたのに急にどうしたの…」
「いえ…その…改めて呼ぶと照れが生じました。すぐに慣れるように頑張ります!」
「ふふっ。うん!頑張れ!ところで、美桜ちゃん。今日はポニーテールじゃないんだね。部活はお休み?」
「部活?………あ!」
美桜は原さんと会話をしていると容姿を指摘され、かつ、部活の事を言われカノンの空手を習っているという言葉を思い出した。

美桜は今後の空手に関してどうしようと考えていると予鈴が鳴ったので急いで教室に行こうと原さんに手を引かれて教室に向かった。

美桜は始業式の時や午前の授業中ずっと空手について考えていた。
考え抜いた結果、空手をする事を決めた。
不安はあるが、やる前から諦めたり、出来ないと決めつけるのはよくないと考え、何事も挑戦あるのみと思い心を決めた。

――昼休み
原さんと屋上でお弁当を広げご飯を食べていると、一人の女の子が近づいてきた。
「あ、あの…。」
その子は美桜を見るなりもじもじと恥ずかしそうにする。
しばらくどう話そうか悩んでいた女の子はぎゅっと目をつむり、真剣な顔立ちになり真っ直ぐ美桜を見る。
「一ノ瀬先輩!好きです!あなたのファンです!これからも応援しています!では、失礼しました!」
女の子は恥ずかしさのあまり早口になったがはっきりとした口調で気持ちを伝え、伝え終わったのと同時にものすごい勢いで美桜の前から去っていった。

「いのりちゃん…あれはいったい…。」
「もー…美桜ちゃんたらぁ。空手部に入り始めてから日常茶飯事じゃん。男女問わずファンクラブの子に告白されるのは。冬休み明けで久々の事だから忘れちゃったの?」
美桜はファンクラブや親衛隊の事は聞いていたが告白の事は聞いていなかったので何が起こったのか把握できずにいた。
原さんに訳を聞いた後は自分の身に起こった事を自覚し、顔を赤くしながらご飯を食べる。
その様子に原さんは自分の知っている『美桜』が帰ってきたようで嬉しく思い懐かしさを感じた。


「そういえば、美桜ちゃん。来月のバレンタインどうするの?やっぱり峰岸君に本命あげるの?」
唐突のバレンタインの質問と峰岸君の名前が出たので頬の赤らみが治まりかけていたのにまた顔を赤くし、しどろもどろになりながら原さんに質問を返す。

「な…なぜ…雅君の名前が…と言うより本命って…」
「やだなぁ、美桜ちゃん。私と美桜ちゃん中学からの付き合いだよ?見てたらわかるよ。峰岸君の事、目で追っかけてる時あるんだもん。だから、峰岸君を問題児から助けた時は本当にビックリしたんだから!」
「それは…私ですが、私ではないといいますか…なんといいますか…」
原さんは美桜の想いに以前から気付いており、美桜の恋を秘かに応援していて何かきっかけはないかと思っている時に美桜が峰岸君を助けるという奇跡的な展開が起こったのだ。

さらに原さんは美桜の背中を押す。
「美桜ちゃんもモテるけど、峰岸君もあの容姿だから隠れファンいるよ?ここは意識してもらえるようにアタックしてみようよ!私にできる事あれば協力するよ!」
「いのりちゃん…どうしてそこまで…。」

「……美桜ちゃんは覚えてるかな?…私が中学の時クラスで浮いてたの…。原因はわからなくて、自分なりに探したけど見つからなくて…。クラスの子に聞いてみてもそっけない態度とられて、結局明確な理由はないのに避けられてて…。そのクラスの中で美桜ちゃんだけが私に声を掛けてくれたの…。『原さん!一緒に帰りましょう!』って…私…それだけでもすごく嬉しくて…。あの時の一言にすごく助けてもらえたから…今度は私が美桜ちゃんの力になりたい…。友達になりたいって思ったの。今でも…思ってる…。ってなんか重いね!ごめんね、忘れて!」
原さんは美桜との出会いを語った。だが、恥ずかしくなり話が重くなったと謝る。
その想いに美桜は応える。

「忘れません!それに重くなんてないです!むしろそんな風に思ってくれて嬉しいです!……あの時…声を掛けたのは、なぜか私と似ているように感じたからです…。私…家では一人だったんです…。両親は兄ばかり見ていて、私の事は見ていなくて…。兄も当時は冷たくて…。それが重なって…気が付いたら声を掛けていました。けど、声を掛けて良かったです!こんなに心強いお友達が出来たのですから!」
美桜は自分の想いを伝え、満面の笑みを原さんに向けた。

そんな美桜に原さんは少しだけ目頭が熱くなる。
美桜もつられて目頭が熱くなった。

二人して目が潤んでる事に可笑しくなりお互いに笑い合う。

二人の笑いが治まり、またバレンタインの話や恋の話に花を咲かせチャイムが鳴るギリギリまでお昼休憩を屋上で楽しんだ。

美桜と原さんの友達としての絆がさらに深まった日になった。
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