「「中身が入れ替わったので人生つまらないと言った事、前言撤回致しますわ!」」

桜庵

文字の大きさ
65 / 170
~元に戻った美桜の生活編 Chapter2~

~3学期!~

しおりを挟む
冬休みが明けた3学期の始業式当日。

おまじないの本の秘密もわかりあと2回入れ替われる事も知った美桜。
だが、カノンと連絡を取る術はないので今できる事をしようと意気込む。

美桜は久しぶりの制服に着替え、眼鏡はかけずに髪はおろし、リボンを付けて準備が整ったので家を出る。

学校に着き、美桜が教室に向かって廊下を歩いていると後ろの方から原さんが声を掛けてきた。
「美桜ちゃーーん!おはよう!久しぶりーー。」
「おはようございます!えっと…いのりちゃん…。お久しぶりです。」
美桜は原さんの挨拶に返事をして、名前呼びというのをカノンから聞いていたので名前で呼んでみるが、恥ずかしくなり顔を赤くしてうつむく。

「美桜ちゃんが照れてる…。可愛い!今まで普通に呼んでくれてたのに急にどうしたの…」
「いえ…その…改めて呼ぶと照れが生じました。すぐに慣れるように頑張ります!」
「ふふっ。うん!頑張れ!ところで、美桜ちゃん。今日はポニーテールじゃないんだね。部活はお休み?」
「部活?………あ!」
美桜は原さんと会話をしていると容姿を指摘され、かつ、部活の事を言われカノンの空手を習っているという言葉を思い出した。

美桜は今後の空手に関してどうしようと考えていると予鈴が鳴ったので急いで教室に行こうと原さんに手を引かれて教室に向かった。

美桜は始業式の時や午前の授業中ずっと空手について考えていた。
考え抜いた結果、空手をする事を決めた。
不安はあるが、やる前から諦めたり、出来ないと決めつけるのはよくないと考え、何事も挑戦あるのみと思い心を決めた。

――昼休み
原さんと屋上でお弁当を広げご飯を食べていると、一人の女の子が近づいてきた。
「あ、あの…。」
その子は美桜を見るなりもじもじと恥ずかしそうにする。
しばらくどう話そうか悩んでいた女の子はぎゅっと目をつむり、真剣な顔立ちになり真っ直ぐ美桜を見る。
「一ノ瀬先輩!好きです!あなたのファンです!これからも応援しています!では、失礼しました!」
女の子は恥ずかしさのあまり早口になったがはっきりとした口調で気持ちを伝え、伝え終わったのと同時にものすごい勢いで美桜の前から去っていった。

「いのりちゃん…あれはいったい…。」
「もー…美桜ちゃんたらぁ。空手部に入り始めてから日常茶飯事じゃん。男女問わずファンクラブの子に告白されるのは。冬休み明けで久々の事だから忘れちゃったの?」
美桜はファンクラブや親衛隊の事は聞いていたが告白の事は聞いていなかったので何が起こったのか把握できずにいた。
原さんに訳を聞いた後は自分の身に起こった事を自覚し、顔を赤くしながらご飯を食べる。
その様子に原さんは自分の知っている『美桜』が帰ってきたようで嬉しく思い懐かしさを感じた。


「そういえば、美桜ちゃん。来月のバレンタインどうするの?やっぱり峰岸君に本命あげるの?」
唐突のバレンタインの質問と峰岸君の名前が出たので頬の赤らみが治まりかけていたのにまた顔を赤くし、しどろもどろになりながら原さんに質問を返す。

「な…なぜ…雅君の名前が…と言うより本命って…」
「やだなぁ、美桜ちゃん。私と美桜ちゃん中学からの付き合いだよ?見てたらわかるよ。峰岸君の事、目で追っかけてる時あるんだもん。だから、峰岸君を問題児から助けた時は本当にビックリしたんだから!」
「それは…私ですが、私ではないといいますか…なんといいますか…」
原さんは美桜の想いに以前から気付いており、美桜の恋を秘かに応援していて何かきっかけはないかと思っている時に美桜が峰岸君を助けるという奇跡的な展開が起こったのだ。

さらに原さんは美桜の背中を押す。
「美桜ちゃんもモテるけど、峰岸君もあの容姿だから隠れファンいるよ?ここは意識してもらえるようにアタックしてみようよ!私にできる事あれば協力するよ!」
「いのりちゃん…どうしてそこまで…。」

「……美桜ちゃんは覚えてるかな?…私が中学の時クラスで浮いてたの…。原因はわからなくて、自分なりに探したけど見つからなくて…。クラスの子に聞いてみてもそっけない態度とられて、結局明確な理由はないのに避けられてて…。そのクラスの中で美桜ちゃんだけが私に声を掛けてくれたの…。『原さん!一緒に帰りましょう!』って…私…それだけでもすごく嬉しくて…。あの時の一言にすごく助けてもらえたから…今度は私が美桜ちゃんの力になりたい…。友達になりたいって思ったの。今でも…思ってる…。ってなんか重いね!ごめんね、忘れて!」
原さんは美桜との出会いを語った。だが、恥ずかしくなり話が重くなったと謝る。
その想いに美桜は応える。

「忘れません!それに重くなんてないです!むしろそんな風に思ってくれて嬉しいです!……あの時…声を掛けたのは、なぜか私と似ているように感じたからです…。私…家では一人だったんです…。両親は兄ばかり見ていて、私の事は見ていなくて…。兄も当時は冷たくて…。それが重なって…気が付いたら声を掛けていました。けど、声を掛けて良かったです!こんなに心強いお友達が出来たのですから!」
美桜は自分の想いを伝え、満面の笑みを原さんに向けた。

そんな美桜に原さんは少しだけ目頭が熱くなる。
美桜もつられて目頭が熱くなった。

二人して目が潤んでる事に可笑しくなりお互いに笑い合う。

二人の笑いが治まり、またバレンタインの話や恋の話に花を咲かせチャイムが鳴るギリギリまでお昼休憩を屋上で楽しんだ。

美桜と原さんの友達としての絆がさらに深まった日になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。  〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜

トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!? 婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。 気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。 美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。 けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。 食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉! 「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」 港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。 気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。 ――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談) *AIと一緒に書いています*

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...