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最後の異世界生活~美桜編~
~ありがとう(後編)~
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美桜の言葉に顔を上げ、どこか肩の荷がおりたような表情を浮かべるハンプス。
そんなハンプスの、『美桜』と呼ぶ言葉に美桜は疑問に思った。
「あの…ハンプスさん…私の名前…どうして…。」
「実は…以前、フロックス様に自立したいとご相談した際に、復興祭の事もご相談しまして、その際に復興に一番貢献してくださったお嬢様に、どうしても参加して頂きたいのと、秘密裏に準備をして驚かせたいと相談しました。
そのお話の中で、最初に復興に貢献したのはカノン様ではなくて、美桜様だとお聞きしました。事の詳細…全てお聞きしています。この事を知っているのは、街では私だけです。事を大きくするつもりはありません。
この街の今の姿があるのは、美桜様のおかげです……。他の皆は知らずとも……私だけでも…知っておきたいのです。
お話してくださったフロックス様に感謝しています。でなければ、私は……ずっと知らずに生きていくところでした。
一人のご令嬢だけでなく、二人のご令嬢が…アザレアを想ってくださっている事を…。
………知る事が出来て……良かったです…。
もう一度…申し上げます……アザレアを…ありがとうございます。」
ハンプスは美桜の名前を知っている理由を打ち明け、次第に今までの事が頭をよぎり、涙が溢れ、拭いながら伝えた。
美桜もつられて目頭が熱くなり、「こちらこそ、ありがとうございます」と笑顔を向けた。
ハンプスと美桜のやり取りをサントリナやオリヴァー、アイリス、ライラックは優しい笑みを浮かべて見ており、フロックスは美桜に申し訳なさそうな表情浮かべながら近づいた。
「ごめんね…美桜ちゃん…。話してしまって…。一番、美桜ちゃんが貢献した事を知って欲しくて…。」
「大丈夫ですよ。話して頂きありがとうございます。皆さんのお気持ち…すごく嬉しいです。」
「…美桜ちゃん…やっぱり君は天使だ!!僕は今、ものすごく感動している!!」
「お兄様?!こんな所でそんな大きいお声を出して泣いては注目を集めてしまいますわ!せっかく、私達が他の方々にお話を聞かれないように立って遮っていますのに!!ほら!お兄様はこっちに来てくださいまし。」
美桜の言葉に大きい反応を見せ、泣いたフロックスをサントリナがなだめながら引っ張り、美桜達から少し離れた。
ハンプスも街の人達に呼ばれ、美桜達に挨拶し、街の人達の輪の中に入っていき、二人と入れ替わるように、ライラックが美桜に近づいてきた。
「美桜嬢、お疲れ様。美桜嬢は…以前、アザレアの件で自分は何も出来ていない、寂しさを感じると言っていたけど、そんな事は全然なくて…。個人的に思うのが…美桜嬢はこの国の肥料みたいな存在だ。何もない状態から栄養を与えてキレイな花を咲かせる。
その第一の花がアザレアで、花が咲いたら今度は、そのキレイな状態を保つために手入れをする。今のアザレア…直接やる事がないかもしれないけど、今度は間接的に今の発展した状態を保つために動いていかなければならない。
ただ、それは…国と、街…公爵家の今後の仕事だ。また楽しみが増えたよ。
後は安心して任せて欲しい。…物凄く感謝しているよ……本当に…ありがとう。」
「殿下の言う通りだ。美桜さん、私からもお礼を言わせて欲しい。ありがとう。」
「殿下…オリヴァーお父さん…。こちらこそ…大切な方のお体をお借りしている身で、いろいろわがままを言って事を運んでしまいました。」
「「カノンほど無茶してないから大丈夫。」」
ライラックと美桜が話している所へオリヴァーも加わった。
オリヴァーとライラックの言葉に、疑問の表情を浮かべた美桜。
そんな美桜にオリヴァーが誘拐事件の話と、ライラックとの共闘の話を持ち出し、説明した。
その説明に美桜は、日記の中に書いてあったなとふと思い出し、それと同時に現代日本で倒れた事も思い出し、その事はふせて苦笑いを浮かべた。
「それじゃ、僕達は街の人達のお菓子を食べに行って来るね。美桜嬢はそのまま休んでて。行きましょう、フローライト公爵。」
ライラックとオリヴァーは、美桜に一言伝えて街の人達の輪の中に入って行った。
美桜がベンチに一人になったと思った所に、アイリスが美桜の側に座り、サントリナが美桜の斜め前に近づいてきた。
先に口を開いたのはアイリスだった。
「ダリアとアザレア…二か所に植えた花がキレイに満開になって良かったですわ。苗植も…何もかも楽しかったです。自分達で植えた花がキレイに咲いて、他の国に認知されて訪れてくださるのはとても嬉しい事ですわ。
それと…アザレアのお菓子…本当にあちこちで話題になっていますの。私…美桜様に負けないくらい服飾に力を入れて、こちらも話題にさせますわ。美桜様からいろんな刺激を受けました。ありがとうございます。」
「私も…嫁いだ家から離れて、実家に滞在していてよかったわ。美桜ちゃんとの生活、すごく楽しいもの。カノンとは違う行動力には驚かされる事も多かったけど、本当に毎日が楽しいわ。ありがとう、美桜ちゃん。」
二人に改めて感謝を言われ、美桜は恥ずかしくなり顔を赤らめはにかんだ笑顔を浮かべた。
三人はしばらく話していたが、アイリスが小腹が空いたとの事で、お菓子を食べてくると伝え、サントリナもアイリスについて行く事になり、美桜はベンチに一人残る事になった。
美桜は目の前に広がる光景をただぼんやりと眺めていた。
「(皆さん…本当に楽しそうです。街の皆さん…フローライト家の皆さん…殿下…本当に多くの方々に支えられてきました。皆さん、私がすごい事のように言いますが、本当にすごいのは実行した皆さんだと思います。
……こんな事言うと、フロックスお兄ちゃんに『美桜ちゃんも十分、行動しているよ』って言われてしまうかもですね。
…私一人では出来なかったことの方が多くて、わがまま言ったりしました。でも、皆さん優しくて…温かい方達ばかりで……居心地…良いです。ずっとここに…いたいと思えるくらいに…
でも……私のいるべき世界ではありません。
お手紙…日記…やる事はまだまだあります。……カノンさん…。)」
美桜はフローライト家や、街の人達の楽しそうな光景を目に焼き付けていた。
そんなハンプスの、『美桜』と呼ぶ言葉に美桜は疑問に思った。
「あの…ハンプスさん…私の名前…どうして…。」
「実は…以前、フロックス様に自立したいとご相談した際に、復興祭の事もご相談しまして、その際に復興に一番貢献してくださったお嬢様に、どうしても参加して頂きたいのと、秘密裏に準備をして驚かせたいと相談しました。
そのお話の中で、最初に復興に貢献したのはカノン様ではなくて、美桜様だとお聞きしました。事の詳細…全てお聞きしています。この事を知っているのは、街では私だけです。事を大きくするつもりはありません。
この街の今の姿があるのは、美桜様のおかげです……。他の皆は知らずとも……私だけでも…知っておきたいのです。
お話してくださったフロックス様に感謝しています。でなければ、私は……ずっと知らずに生きていくところでした。
一人のご令嬢だけでなく、二人のご令嬢が…アザレアを想ってくださっている事を…。
………知る事が出来て……良かったです…。
もう一度…申し上げます……アザレアを…ありがとうございます。」
ハンプスは美桜の名前を知っている理由を打ち明け、次第に今までの事が頭をよぎり、涙が溢れ、拭いながら伝えた。
美桜もつられて目頭が熱くなり、「こちらこそ、ありがとうございます」と笑顔を向けた。
ハンプスと美桜のやり取りをサントリナやオリヴァー、アイリス、ライラックは優しい笑みを浮かべて見ており、フロックスは美桜に申し訳なさそうな表情浮かべながら近づいた。
「ごめんね…美桜ちゃん…。話してしまって…。一番、美桜ちゃんが貢献した事を知って欲しくて…。」
「大丈夫ですよ。話して頂きありがとうございます。皆さんのお気持ち…すごく嬉しいです。」
「…美桜ちゃん…やっぱり君は天使だ!!僕は今、ものすごく感動している!!」
「お兄様?!こんな所でそんな大きいお声を出して泣いては注目を集めてしまいますわ!せっかく、私達が他の方々にお話を聞かれないように立って遮っていますのに!!ほら!お兄様はこっちに来てくださいまし。」
美桜の言葉に大きい反応を見せ、泣いたフロックスをサントリナがなだめながら引っ張り、美桜達から少し離れた。
ハンプスも街の人達に呼ばれ、美桜達に挨拶し、街の人達の輪の中に入っていき、二人と入れ替わるように、ライラックが美桜に近づいてきた。
「美桜嬢、お疲れ様。美桜嬢は…以前、アザレアの件で自分は何も出来ていない、寂しさを感じると言っていたけど、そんな事は全然なくて…。個人的に思うのが…美桜嬢はこの国の肥料みたいな存在だ。何もない状態から栄養を与えてキレイな花を咲かせる。
その第一の花がアザレアで、花が咲いたら今度は、そのキレイな状態を保つために手入れをする。今のアザレア…直接やる事がないかもしれないけど、今度は間接的に今の発展した状態を保つために動いていかなければならない。
ただ、それは…国と、街…公爵家の今後の仕事だ。また楽しみが増えたよ。
後は安心して任せて欲しい。…物凄く感謝しているよ……本当に…ありがとう。」
「殿下の言う通りだ。美桜さん、私からもお礼を言わせて欲しい。ありがとう。」
「殿下…オリヴァーお父さん…。こちらこそ…大切な方のお体をお借りしている身で、いろいろわがままを言って事を運んでしまいました。」
「「カノンほど無茶してないから大丈夫。」」
ライラックと美桜が話している所へオリヴァーも加わった。
オリヴァーとライラックの言葉に、疑問の表情を浮かべた美桜。
そんな美桜にオリヴァーが誘拐事件の話と、ライラックとの共闘の話を持ち出し、説明した。
その説明に美桜は、日記の中に書いてあったなとふと思い出し、それと同時に現代日本で倒れた事も思い出し、その事はふせて苦笑いを浮かべた。
「それじゃ、僕達は街の人達のお菓子を食べに行って来るね。美桜嬢はそのまま休んでて。行きましょう、フローライト公爵。」
ライラックとオリヴァーは、美桜に一言伝えて街の人達の輪の中に入って行った。
美桜がベンチに一人になったと思った所に、アイリスが美桜の側に座り、サントリナが美桜の斜め前に近づいてきた。
先に口を開いたのはアイリスだった。
「ダリアとアザレア…二か所に植えた花がキレイに満開になって良かったですわ。苗植も…何もかも楽しかったです。自分達で植えた花がキレイに咲いて、他の国に認知されて訪れてくださるのはとても嬉しい事ですわ。
それと…アザレアのお菓子…本当にあちこちで話題になっていますの。私…美桜様に負けないくらい服飾に力を入れて、こちらも話題にさせますわ。美桜様からいろんな刺激を受けました。ありがとうございます。」
「私も…嫁いだ家から離れて、実家に滞在していてよかったわ。美桜ちゃんとの生活、すごく楽しいもの。カノンとは違う行動力には驚かされる事も多かったけど、本当に毎日が楽しいわ。ありがとう、美桜ちゃん。」
二人に改めて感謝を言われ、美桜は恥ずかしくなり顔を赤らめはにかんだ笑顔を浮かべた。
三人はしばらく話していたが、アイリスが小腹が空いたとの事で、お菓子を食べてくると伝え、サントリナもアイリスについて行く事になり、美桜はベンチに一人残る事になった。
美桜は目の前に広がる光景をただぼんやりと眺めていた。
「(皆さん…本当に楽しそうです。街の皆さん…フローライト家の皆さん…殿下…本当に多くの方々に支えられてきました。皆さん、私がすごい事のように言いますが、本当にすごいのは実行した皆さんだと思います。
……こんな事言うと、フロックスお兄ちゃんに『美桜ちゃんも十分、行動しているよ』って言われてしまうかもですね。
…私一人では出来なかったことの方が多くて、わがまま言ったりしました。でも、皆さん優しくて…温かい方達ばかりで……居心地…良いです。ずっとここに…いたいと思えるくらいに…
でも……私のいるべき世界ではありません。
お手紙…日記…やる事はまだまだあります。……カノンさん…。)」
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