陽のあたる場所【加筆訂正中】

たまゆらりん

文字の大きさ
17 / 134

15 ~柚希 side~

「やめてっ……!」



  絞り出したような、掠れた自分の声で目が覚めた。

  体中冷たい汗が流れ、胸が喘いだ。
  時計を見ると既に真夜中過ぎだ。



  嫌な夢を見た。
  信じられないような夢だ。
  思い出すだけで、呼吸が苦しくなり震えが止まらない。

  額の汗を拭った時にヒリッとした痛みを感じる。痛む場所を見ると、手首には赤い手錠痕と瘡蓋が出来ていた。



  ーー夢じゃない……



  夢であってほしかった。

  悪夢を見せた張本人は、既にいなくなっていた。
  その事には安堵したものの、嫌でも乱暴の痕跡が目に入ってきた。
  


  体に無数に散らばるキスマークと歯形。

  腫れて赤紫色になってる頬と鳩尾。

  体液が付きシミになってるシーツや衣類。

  ゴミ箱に山のように捨てられた、使用済みのティッシュ。

  曝されたままの下半身。

  そして、本来性行為で使われる事のない場所への痛みーーー



  暫くの間、天井を見つめ呆然としていた。



  横たわる体は鉛のように重く、全然力が入らない。

  息をしているのに、肺に酸素が届いてないみたいに苦しい。



  こめかみに温かいものが伝う。

  勝手に目から涙が流れていた。






  ーーー初めて死にたいと思ったーーー





  生きてる価値なんてないと思った。

  自分が汚いもののように思えて、気持ちが悪くて仕方がない。  



  ーー汚い…汚いから、シャワー浴びないと…早くしないと、美空に気付かれる前に…こんな所見られたら悲しむから。部屋も片付けて、陽人にメッセージ返して、いつもみたいに、いつも通りにしてなくちゃ……



  力の入らない体を必死に起こして、着替えを抱えてノロノロと浴室へ向かう。
  体を動かす度に、腰や股関節、臀部に痛みが走る。
  その痛みで思い出したくない事を思い出してしまう。



  ーー何も考えるな。早くしないと。



  1階にも人の気配はなかった。
  美空が帰ってきてない事が、せめてもの救いだった。

  シーツと衣類に付いた汚れを手洗いした後、洗濯機に入れてスイッチを入れた。

  シャワーのレバーを回し、頭から飛沫を浴びる。

  クタクタの体をここまで動かし、痕跡を消す事が出来た事に一気に力が抜け、壁に手を付いて支えないと立っていられなかった。

  早く汚れた髪や体を洗いたいのに、手も足も思うように動かない。



  ーーなん、で……



  股の間に違和感を感じた。

  震える指でそこへ触れる。

  指先に薄くピンク色をした、血の混じった白濁が付いていた。

  後孔からは大量の白濁が溢れ、内腿にどろりとした感触が伝い落ちる。

  男に注がれた欲で内側から汚された事を、まざまざと思い知らされる。



  呼吸が苦しくなり体が震え、四肢が自重を支えられなくなり、床にペタリと座り込んだ。



  頬に当たるシャワーの水滴と混じりながら、涙が滝のように零れ落ちる。



  汚い……

  自分が汚くて仕方ない……

  消えたい……

  消えてしまいたい……

  このまま水に溶けて、流れて

  どこか遠くへ消えてしまえばいいのに……



  頭から降り注ぐ飛沫に打たれながら、動くことが出来ずにいた。






  気が付けば何時間も、床の上に座り込んだままだった。





感想 9

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

元カレに追い出された専門学生がネカフェでP活相手のパパちんぽに理解らせられてトロトロのメロメロになっちゃう話

ルシーアンナ
BL
既婚子持ちバイ×専門学生 Pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27436158 ムーンライトノベルズ https://novel18.syosetu.com/n1512ls/ fujossy https://fujossy.jp/books/31185

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。