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しおりを挟むーー征爾に護衛を連れて来るから、待つように言われたけど……
放課後、生徒会室で着替えて待っていると、ドアが開き征爾が入って来た。常に冷静な征爾だけど、心なしか少し緊張してるみたいだった。
「柚希、待たせてすまなかった。朝に比べたら、だいぶ顔色が良くなったな。安心した」
「心配かけて悪かったな。大夢とファイルを作ってくれたり、急遽護衛まで探してもらって……いろいろと、ありがとう」
「いや、気にするな。それより……護衛を頼んだ奴を呼んでも大丈夫か?」
「別に構わねぇけど……そんな、わざわざ聞かなくたって平気だよ」
「まあ……柚希より、護衛する奴のが平気じゃないんだが…………友紀(ともき)、こっちへ入って来い」
その男は大きな図体に似合わず、おどおどとしながら入って来た。
「遠藤……?」
「久しぶり……だな……」
それは、中1まで俺をいじめていた、いじめっ子の遠藤だった。
「友紀は俺の父方の遠縁で昔から知っていて、俺の中で信用できる人間のうちの一人だ。おまえ達に何があったかはわかってる……この事は、陽人も了承済みだ。友紀は護衛として付き添うだけだから、柚希をいじめる事は決してない……信じられないかもしれないが、一度話ながら帰ってみてくれないか?」
「……今まで、本当にすまなかった…」
征爾の言葉の後に、遠藤が頭を下げて謝ってきた。
征爾が信用してると言っても、俺の中で遠藤はいじめっ子のままで……
保育園に入った赤ん坊の頃から一緒で、物心ついた頃には、既にいじめられていた。
中1の俺が逆らったあの日から、いじめられる事はなくなった。そして、俺と遠藤は3年まで同じクラスだったけど、あの日から、喋る事や関わる事は一切なかった。
ーー謝ってきたからって……許せる訳ないし……
正直な所、内心では許してなかった。いじめられた事を忘れる事はなかったし、遠藤の言葉で沢山心は傷付いた。
「許してもらえるなんて、思ってねぇから……征爾と有働から話を聞いて、力になりたいって勝手に思ってるだけだし。ただ、内海の事は絶対にいじめないから……それだけは信じてほしい……」
「なにかあれば、俺に連絡してくれ。その時は俺が友紀を制裁する」
「いや……制裁するって……」
「それも俺が征爾に頼んだんだ。もし、内海を傷付けるような事をしたら、その時は俺を罰してくれって」
そこまでして護衛してくれる事に驚いた。
そもそも不良でSHGに所属する遠藤が、俺を助ける事はグループへ対する裏切り行為だ。それだけでも、十分危険なのに征爾からも監視されている。
遠藤が俺を護衛するのに何一つメリットなんてないのに、それでもしてくれるというのは、誠意以外の何ものでもないんだろう。
「正直、信用は出来ない……でも……わかった。何かあったら、征爾にすぐに連絡するから」
「無理言ってすまなかった。じゃあ、友紀頼んだぞ」
「必ず無事に送っていく。不良の連中も仲間の俺が内海を護衛するなんて、思ってねぇからきっと大丈夫だ」
「油断はせずに、気を付けろよ」
「わかった」と遠藤は答え、俺と遠藤は生徒会室を出た。
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