陽のあたる場所【加筆訂正中】

たまゆらりん

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71 ~絢斗 side~

  黒の高級ミニバンの助手席に座り、シートベルトをつける。清潔な車内はピンクの可愛らしい小物が置かれ、良い香りに包まれていた。



「行き先は、どこなのぉ?」

「車出してもらって悪ィな、愛華(あいか)。まだ、目的地が見つかんねぇからァ、とりあえず『あおばスタジアム』へ向かってェ。その近くにあるのは間違いねぇからァ」

「了解。わかったら、いつでも言ってね」



  愛華はミニのワンピースに、車が買えるくらいの高級腕時計をつけ、ハイブランドのバッグとピンヒールの靴を助手席に座る俺に預けた。県都にあるプラチナ街でNo.1のキャバ嬢なだけあって、身に付けてるものは一流品ばかりだ。
  運転用の靴に履き替えエンジンをかけると、ナビを操作し、行き先をあおばスタジアムへ設定する。



「ケンティ、場所わかったよ」



  車が発進してすぐに、後部座席に座る親衛隊隊長のギャルの美咲(みさき)が、スマホを弄りながら声を上げた。



「流石、情報網広いなァ、美咲。どこなのォ?」

「スタジアム近くの、潰れたアミューズメントセンターだって。うちの事、口説いてきてるヤンキーからの情報だから、間違いないよ」

「建物かなりボロで、崩れそうな廃墟の所だよねぇ?」

「駐車場の出入り口、チェーンで塞がってるよ。車入れるの?」



  美咲の両隣に座る、副隊長のバンギャの麻奈(まな)とヤンキーの芽郁(めい)が更に情報をくれ、俺のスマホに地図とネットで見つけたその廃墟の画像を送ってくれた。



「愛華、そこ向かってもらえる?俺がナビするからァ。とりあえず、そこの信号左折して」

「オッケー」

  

  車は車線変更をして、言われた通りに信号を左折する。
  地図の経路案内の通りにナビをすると、その廃墟は見えてきた。

  いつもはチェーンで閉まっている筈の駐車場の出入り口が、今日は解放されている。
  ここの建物を管理してる、会社の看板をチラ見し名前を確認した。

  『樋浦不動産』の物件だ。
  どうやらここで、間違いなさそうだ。

  駐車場のアスファルトは所々ひび割れて、背の高い雑草がうっそりと生えていた。雑草を薙ぎ倒しながら建物の近くに車を停め、外に飛び出した。

  建物にはうっすらと蔦が巻き付き、落書きだらけの壁はひびが無数に入り、窓ガラスは何ヵ所か割れて、ボロボロで見るからに崩れ落ちそうだ。



  ーー画像で見るよりボロくて、マジでヤバいなァ……



  廃屋は画像で見るよりももっと脆く、建物に近付くだけでも十分に危険そうだ。



「みんなは、車の中で待っててェ。ヤンキーに見つかってヤバそうな時は、俺の事はいいからそっこー逃げて」



  「やだぁ」「ついていく」と騒いでる仔猫達を置いて、さっさと建物の中へ入る。



  崩壊に気を付けながら、薄暗いフロアを隈無く探したけど、連中は見当たらない。
  奥の壁に貼り付いてる、色褪せたプレートに、『2F ビリヤード・ダーツ場』って表記されていた。



  ーー2階にいるのか……?



  階段に近付くと、上から物を破壊するような音と、男達の怒鳴り声が聞こえてきた。

  用心して、ゆっくりやってる場合じゃない。
  とにかく、急がないと……

  画像を見た時点で、友さんは相当ヤバかった。多分、右腕は脱臼していて、左太腿は骨折している。顔は殴られてパンパンに腫れ、目は糸みたいに細くなっていた。鼻血や裂傷で出血が酷く顔中血塗れで、白いTシャツもダメージジーンズも血で汚れていた。



  これからの事を覚悟して、階段を上る。緊張からか、耳の中で心臓の音が煩かった。

  上に近付くに連れ、話し声や鈍い打撃音が鮮明に聞こえてきた。ゆっくりと深く呼吸をして、襲撃に備え闘志を昂らせた。

  不良達の姿もチラホラ見え始めた。やっぱり、人数は結構いそうだ。



  そのまま2階フロアへ、勢いよく突入した。


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