陽のあたる場所【加筆訂正中】

たまゆらりん

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  昼休みに柊が来るのが待ち遠しくて、少し浮かれていた。
  中庭に向かって廊下を歩いていた時、生徒手帳を落としたみたいだ。
  自分では全く気付かなかった。

  「落ちましたよ」と、通りすがりの男子生徒に声をかけられ、「ありがとう」と手帳を受け取る。

  特にこれといった、普通のやり取りで、何もおかしな所なんてなかった。



  ただ一人……

  柊だけは、引っ掛かったみたいだ。

  遠くから見ていた柊は激怒し、早歩きで近付くと壁際に追い込まれ、突然胸ぐらを掴んできた。



「なぁ、口説かれて嬉しそうな顔してたよな?手も握られてただろ?」



  両手でシャツを掴んだまま持ち上げられ、爪先が地面に着いてない。
  首が襟で締め付けられ、息が出来なくて苦しい。



「ちが……生徒手帳落として……たまたま拾った奴が、渡してくれただけで……」

「じゃあ、声掛けられたくて、わざとおまえが落としたんだろう?色目も使ってたよな?」

「してない……そんな事、しない……俺は、柊がいればいい……柊しかいらない……柊だけだから…………苦しい……やめてぇ……!」



  口をはくはくし、ボロボロと涙を溢す俺の姿を見て、柊はハッとして、急いで手を離した。



「柚希……ごめん……悪かった……」



  激昂した形相は影を潜めると、少し辛そうな表情に変わり、そっと抱きしめてきた。



  柊が怖い……
  怖いのに、抱き締められると不思議と安心する。
  柊に頭を撫でられたり、耳元で「ごめん…」って囁かれたりすると、だんだんと気持ちが落ち着いてきて……



  俺の涙が引くと、肩を抱くようにしてトイレまで連れて行かれる。

  個室へ入り、鍵を閉める。
  柊の方を向かされ、そのまま抱きしめられた。



「苦しかったよな……ごめん……」



  首の赤くなっている部分をそっと撫でた後、労るように口付けてきた。
  キスをしながら、身体を優しく愛撫し、流れるように脱がされていく……



「しゅう……がっこう、だから……ダメ……」

「ここのトイレは、滅多に人が入らないから、大丈夫だよ」

「んっ……、こえ……でちゃう……って……」

「その時は、キスで口塞いでやるよ……」



  拒否はしたものの、不安定な心は柊に縋り付きたかった。
  愛撫で焦らされた身体は切なくなり、快楽を待ち望んでしまう。
  便座に座る柊に、向かい合うように座らされる。
  反り返る程に勃ち上がった柊の熱いぺニスが、ズプリと挿入ってきた。



「ァアッ……ンん、ングッ……」



  喘ぎ声を上げると、柊がすぐに口付けてきた。



「柚希……可愛い声抑えても、下からすげぇ厭らしい音出てるぜ……入ってきた奴に、何やってるかバレそうだな……」



  柊が言う通り、個室には湿った厭らしい水音と、パンッと肉を打ち付ける音、そして動く度に便座がガタガタと鳴り、どんなに声を押し殺しても、聞いた人には何をしているかわかってしまう。



  ーーエッチな音……こんなの……誰かに……聞かれたら…………やだ……



  そんな事気にせず柊は、激しく腰を打ち付けてくる。音はますます大きくなり、厭らしさを増していった。



「誰もいないね」

「ここ穴場だから」



  ドアの開閉音がして、二人組がトイレに入って来た。
  突然の出来事に、柊は動きを止め唇を離した。

  昼休みにトイレで男同士セックスしてるなんて……
  こんな事、バレたくない。

  不安そうな顔でいると、柊はニヤリと口の端を上げ、ゆるゆると腰を動かし始めた。
  緩やかとはいえ、粘ついた水音とカタカタという音は僅かに聞こえてる。
  首を振って止めるように懇願すると、噛みつくようにキスをして動きを早めてきた。



「なんか、変な音しない?」



  聞かれてる……という羞恥で身体は過敏になり、柊の熱に蕩けてしまう。
  こんな状況でも的確に性感帯を突かれ、身体は昂る一方だ。



「気のせいじゃないか?早く行こう」



  二人組は用を済ますと、バタバタと出ていった。



「聞かれて興奮したんだろ?……さっきから、締め付けヤバい……柚希こういうの好きなの?Mっぽいもんな……」

「Mじゃねぇし……」



  Mっぽいだなんて言われて、ムッとしながら言い返した。



「怒った?ごめんな。柚希、本当可愛い……」



  不貞腐れる俺の頬を撫で、愛しそうに口付けてきた。
  緩やかだった律動は動きが早まり、激しさを増して俺を追い詰める。



  また、誰かが入って来たら、この行為がバレる……

  そんなの、嫌なのに……

  スリルと興奮で鋭敏になった身体は、ますます快楽に溺れ、頭が真っ白になってしまう。



「ンンッ…………!」



  ディープキスの最中、舌をふるふると震わせながら、触られる事なく吐精した。



「……イッたのか?……柚希の中、痙攣してる……やっぱいつもより、敏感だな……顔蕩けちゃってて……すげー、可愛い…………愛してるよ……」



  柊の愛してるという言葉に頭が痺れ、柊を更に締め付けると、ぺニスは一際膨張した。
  刺激的なシチュエーションに、柊もいつもより感じてるみたいで……
  突き上げては止めて、キスをしながらイクのを堪えている。
  眉根を寄せて息を荒げる柊を見てると、中が疼いてますます柊のぺニスに吸い付いて感じてしまう。



「あぁ……、ゆずき……すげぇ…気持ち悦い……イク……よ……」



  掠れた声で切なげに囁く。
  痛いくらいきつく抱きしめられ、後孔の入り口から奥深くまで抽挿し、俺の中へ熱い白濁が放たれた。






  束縛と監視、嫉妬に暴力。
  包み込むような優しさ。
  蕩けるくらいの、甘美なセックス。



  繰り返される飴と鞭。
  他者との関わりのない孤独な生活の中で、その快楽だけが心と身体を満たしてくれて……

  ひとときの悦びを与えてくれる、麻薬のような……

  柊とのセックスに、只々溺れていった。


 
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