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名門学校の勉強のレベルは、やっぱり高かった。
それでも、毎晩柊が教えてくれるお陰で、なんとか授業についていけるくらいにはなっていた。
柊の勉強の教え方は、すごくわかりやすい。
ずっと白鷹学園へ通っていて、大学部へ行けるくらいだし、きっと頭がいいんだろうなって思った。
飲み込みが悪く同じ所で何度も躓く俺を、根気よく何度でも教えてくれた。俺が全然理解出来てない時は、柊なりに分析して、細かく噛み砕いて一つ一つ丁寧に指導してくれた。
一緒に暮らすようになって日にちが経ち、俺が柊に依存して逃げ出さない事がわかると、首輪を付けたり、鎖で繋いだりする様な事はしなくなった。
相変わらず、柊が不在の時はワイヤレスイヤホンを付けさせられた。
ただ、学校では学業の邪魔になるからって、イヤホンを付ける事はしなかった。
送り迎えは必ず柊がしていたけど、昼休みにどうしても外せない用事が出来た時は、来ない日もあった。
今日がそうだ。
急用で来られないって、送りの車の中で言われた。
柊のいない昼休みは開放的だ。
中庭のいつものベンチへ座り、一人で弁当を広げた。
ーー寂しいな……
束縛や監視されて苦しい筈なのに、いざ柊がいないと寂しくて仕方がない。
柊が一生懸命作ってくれた弁当なのに、一人で食べると味気なく感じた。
食べ終わり何もする事がなくて、ぼんやりと周りを観察してみる。
キャッキャッと賑やかな女子の声や、楽しそうな男子の話し声が聞こえ、渡り廊下に人だかりが出来ていた。
その中心には、背の高い眼鏡をかけた、爽やかなイケメンが笑顔で立っていた。青年は大人びた顔立ちだけど、教師にしては若い感じがした。
ーー高校生……には見えないし……一体、何者なんだろう……
それにしても、すごい人気だ。
彼が動くとその人だかりも、一緒に動いていた。
ひとりぼっちで座ってる俺に気付き、青年はニッコリと微笑む。
久々の人との接触。
しかも、爽やかな美青年に微笑まれ、恥ずかしくなって下を俯く。
ただ、偶然目が合っただけで、向こうは俺に向けて笑った訳じゃないのに……
何故かドキドキした。
その彼が「先約があるから……ごめんね」と、人の輪を抜け出す姿が見えた。
ーーえっ……うそだろ……
その眼鏡の好青年は、俺の方へ向かって歩いてきた。
「一人なのかな?」
ーー喋って大丈夫かな……
でも、柊は用事があって来られないから、見られる事はないだろうし……
少しだけ、ちょっと話をちょっとするだけなら、きっと大丈夫だろうって思った。
「一人です……」
人と会話をする事があまりにも久しぶりで、少しだけ声が震えた。
「初めて見る顔だなって思って。1年生?」
「3年です。まだ、転校してきたばかりで……」
「そうなんだ。じゃあ、見かけない訳だね。君も僕の授業に出てみない?」
「授業?……先生…なの?」
「正確には先生じゃないよ。ここの大学の教育学部へ通ってる、先生の卵。授業って言っても、半人前がボランティアで、教えてるってだけだし。毎週月・水・金曜日と、多目的ルームで昼休みに教えてるんだ」
「そうなんだ……」
「次の授業……君の事、待ってるよ」
「多分……無理です。ごめんなさい」
「わかった。無理しなくて大丈夫だよ。僕は暁(あき)。みんなは、暁先生って呼んでくれている。学校でも、街中でも、僕の事見かけたら気軽に声をかけてね」
フレンドリーで明るくて、穏やかな性格の暁先生とは話していて楽しかった。
それに聞き上手で、久々に人と会話を交わすというのに、とても話しやすい。
ーー柊が用事がある時、先生の授業に行ってみたいな……
暁先生がどんな授業をするのか、興味を持った。
話していてこんなに楽しいんだから、面白いのは間違いないだろう。
誰かに対して、もう一度会いたいだなんて、久々に思った。
それでも、毎晩柊が教えてくれるお陰で、なんとか授業についていけるくらいにはなっていた。
柊の勉強の教え方は、すごくわかりやすい。
ずっと白鷹学園へ通っていて、大学部へ行けるくらいだし、きっと頭がいいんだろうなって思った。
飲み込みが悪く同じ所で何度も躓く俺を、根気よく何度でも教えてくれた。俺が全然理解出来てない時は、柊なりに分析して、細かく噛み砕いて一つ一つ丁寧に指導してくれた。
一緒に暮らすようになって日にちが経ち、俺が柊に依存して逃げ出さない事がわかると、首輪を付けたり、鎖で繋いだりする様な事はしなくなった。
相変わらず、柊が不在の時はワイヤレスイヤホンを付けさせられた。
ただ、学校では学業の邪魔になるからって、イヤホンを付ける事はしなかった。
送り迎えは必ず柊がしていたけど、昼休みにどうしても外せない用事が出来た時は、来ない日もあった。
今日がそうだ。
急用で来られないって、送りの車の中で言われた。
柊のいない昼休みは開放的だ。
中庭のいつものベンチへ座り、一人で弁当を広げた。
ーー寂しいな……
束縛や監視されて苦しい筈なのに、いざ柊がいないと寂しくて仕方がない。
柊が一生懸命作ってくれた弁当なのに、一人で食べると味気なく感じた。
食べ終わり何もする事がなくて、ぼんやりと周りを観察してみる。
キャッキャッと賑やかな女子の声や、楽しそうな男子の話し声が聞こえ、渡り廊下に人だかりが出来ていた。
その中心には、背の高い眼鏡をかけた、爽やかなイケメンが笑顔で立っていた。青年は大人びた顔立ちだけど、教師にしては若い感じがした。
ーー高校生……には見えないし……一体、何者なんだろう……
それにしても、すごい人気だ。
彼が動くとその人だかりも、一緒に動いていた。
ひとりぼっちで座ってる俺に気付き、青年はニッコリと微笑む。
久々の人との接触。
しかも、爽やかな美青年に微笑まれ、恥ずかしくなって下を俯く。
ただ、偶然目が合っただけで、向こうは俺に向けて笑った訳じゃないのに……
何故かドキドキした。
その彼が「先約があるから……ごめんね」と、人の輪を抜け出す姿が見えた。
ーーえっ……うそだろ……
その眼鏡の好青年は、俺の方へ向かって歩いてきた。
「一人なのかな?」
ーー喋って大丈夫かな……
でも、柊は用事があって来られないから、見られる事はないだろうし……
少しだけ、ちょっと話をちょっとするだけなら、きっと大丈夫だろうって思った。
「一人です……」
人と会話をする事があまりにも久しぶりで、少しだけ声が震えた。
「初めて見る顔だなって思って。1年生?」
「3年です。まだ、転校してきたばかりで……」
「そうなんだ。じゃあ、見かけない訳だね。君も僕の授業に出てみない?」
「授業?……先生…なの?」
「正確には先生じゃないよ。ここの大学の教育学部へ通ってる、先生の卵。授業って言っても、半人前がボランティアで、教えてるってだけだし。毎週月・水・金曜日と、多目的ルームで昼休みに教えてるんだ」
「そうなんだ……」
「次の授業……君の事、待ってるよ」
「多分……無理です。ごめんなさい」
「わかった。無理しなくて大丈夫だよ。僕は暁(あき)。みんなは、暁先生って呼んでくれている。学校でも、街中でも、僕の事見かけたら気軽に声をかけてね」
フレンドリーで明るくて、穏やかな性格の暁先生とは話していて楽しかった。
それに聞き上手で、久々に人と会話を交わすというのに、とても話しやすい。
ーー柊が用事がある時、先生の授業に行ってみたいな……
暁先生がどんな授業をするのか、興味を持った。
話していてこんなに楽しいんだから、面白いのは間違いないだろう。
誰かに対して、もう一度会いたいだなんて、久々に思った。
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