陽のあたる場所【加筆訂正中】

たまゆらりん

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120 ~陽人 side~

  思い出したくもない……

  柚希の拐われた日を
  あの動画の衝撃をーーー



  動画を送られた直後、
  柚希とは、一切連絡が取れなくなった。

  多分、メッセージを送信後すぐに、スマホを解約されてしまったんだろう。
  今、柚希が持っているスマホは、新たに柊が契約した物だ。



  記憶から消したくて、動画は即効で削除した。

  それでも…………
  柚希の悲痛な叫び声は、頭から離れなくて……






  法を犯してでも……
  どんな事をしてでも……

  柚希を必ず、助け出す……



  グツグツと煮えたぎる、どす黒い感情に支配され、悪い考えばかりが思い浮かんだ。



  その頃の俺は、目付きが凄く悪かったし、全然笑わなくなっていた……



  それに気付き、止めてくれたのはーーー



  生徒会のみんなだった。



  みんなも深く傷付き、すごく悔しがっていた。

  悲しんでるのは、俺一人じゃなかった。



  それに、頭ではわかっているけど……

  一番辛いのは柚希なんだって。



  それから、どう柚希を取り戻すか、何回もみんなで話し合った。

  柊の大学、住居、
  そして、柚希が通ってる中学校ーーー

  少しずつ、情報が集まってきた。

  夏休みの初日に、柊が樋浦建設の役員会議で、朝早くから出席しなくてはならない事を知った。
  柚希はその日、白鷹中で補習だ。
  柊は会議で、送っては行けない。
  柚希は、一人で登校する事になるだろう。



  この日しかないーーー

  もう、失敗は許されない。
  失敗したら、次のチャンスはないだろう。
  だから、細かい所まで注意しながら、作戦を考えた。

  作戦が決まり、各々の役割を分担した。

  稀瑠空は、ハニトラ担当。
  大夢と絢斗は、監視カメラ担当。
  大夢は、ハッキングやネットワーク関係全般も兼任してる。
  征爾と成都は、樋浦建設潜入担当。
  資金は、征爾が父親に頼んで用意してくれた。

  そして、俺が柚希を連れ出す実行役でリーダーに。



  子供の俺達に出来る事なんて、限りがある。

  あの柊を欺く為、法に触れる事までしてしまったけど……

  誰も後悔は、してなかった。



ーーーー“柚希を救う”ーーーー



  その気持ちに誰一人、揺らぐ事はなかった。






「柚希、走るの辛くない?」

「平気」

「痩せたね……」



  速かった足は、体力が落ちて前より遅くなっていた。
  前なら何でもない距離なのに、苦しそうに肩で息をしている。

  元々細かった体は、見てわかるくらい痩せていた。
  細くなった手首を掴み、そのまま手を繋いで指を絡めた。
  その時、指も細くなったのがわかって、悔しくて唇を噛んだ。






  こんなに、痩せちゃって……
  早く、助けに行けなくて、ごめん……
  沢山、辛い思いさせて、ごめん……

  守らなくちゃ……

  柚希の事、
  あいつから、

  絶対に、守ってみせる……!





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