陽のあたる場所【加筆訂正中】

たまゆらりん

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  SHGのリーダーで、樋浦建設の次期跡取りである樋浦柊の逮捕のニュースは、地元のローカルテレビや新聞を、連日のように騒がし埋めつくしていた。

  そのニュースの中に、社長を務める父親が会社を辞任したと報道されていた。暁の父親が暫くの間、代理で社長を務めるみたいだ。

  柊の父親は俺の家に謝罪に来て、深々と頭を下げ何度も謝ってきた。
  父親が代理で手続きをして、俺と柊の養子縁組は解消となり、元の『内海柚希』へ戻る事が出来た。

  美空に「本当にいいの?」って聞かれたけど、俺は被害届は出さなかった。
  柊に脅された形で付き合っていた事を知った美空は、何度も泣きながら謝ってきた。
  それだけだって美空を傷付けたのに、自分の身代わりにレイプされただなんて知ったら、美空を苦しめてしまう。

  それに俺の中では、とっくに柊の事を許していたから。
  逮捕された分の罪を償ってくれれば、それだけで十分だった。










  夏休みが明け、3年は本格的に受験シーズンへ突入だ。

  高校の費用は、陽人の父親が資金援助してくれる事になり、全日制の高校へと進路を変更した。
  返済はいらないと言われたけれど、一方的にっていうのは俺が嫌だから、働いたら少しずつ返していこうと思ってる。



  友紀は手術の末、1ヶ月程入院してから退院する事が出来た。
  大怪我をした左足は思うように動かなくて、暫くリハビリに通わなくちゃいけないみたいだ。
  ギプスをして松葉杖をついて歩く姿は、不自由そうで痛々しくて……
  学校では出来る限り一緒に行動して、友紀の手助けをした。



「俺のせいで……本当に、ごめん」

「謝るなよ。柚希を助けたいってのは、俺が決めた事だ。それに……今回の事がきっかけで、すげー美人で、可愛い彼女が出来たんだ。今度、紹介するなっ」



  はにかみながら満面の笑みを浮かべる友紀から、幸せいっぱいな様子が伝わってきた。



  10月には生徒会長の選挙が行われ、立候補した稀瑠空が圧勝で会長に当選した。

  選挙運動の時、陽人は稀瑠空の応援演説をしたり、手伝ったりしていた。
  陽人と稀瑠空の、青葉東中の人気ツートップが並んで歩けば、当然のように学校中は大騒ぎになった。
  とにかく、ギャラリーの数が凄まじくて……
  それぞれの親衛隊がピリピリしながら、列の整備や誘導をして忙しそうにしていた。

  そんな中、スマホで稀瑠空と陽人のツーショットを隠れて撮影した生徒が、SNSへ勝手に投稿してしまった。

  《神ツーショット》
  《眼福》
  《稀瑠空、めっちゃ美人!隣のイケメン
     は、モデルなの?》
  《隣のイケメン、今日から私の推しになり
     ました》

  と山のようにコメントが付き、あっという間に拡散してしまった。

  あまりの反響の大きさに、芸能プロダクションから陽人へのスカウトが殺到し、全国各地に陽人のファンクラブが出来てしまった程だ。



  卒業式の日。
  陽人が卒業生代表で答辞を読み上げた。
  美しくも感動的な素晴らしい答辞に、卒業生も在校生も、先生も保護者も……
  みんなが涙を流していた。

  人気者の陽人は式が終わると、男女問わず沢山の生徒から声をかけられたり、ラブレターをもらったり……
  次々と人が訪れては、忙しなかった。



「陽人先輩、少しだけ、時間良いですか?」

「こんな事、聞いてごめんね……告白…かな?」

「えっ……はっ、はい」



  陽人が隣に立つ俺の手首を掴み、そのまま手を繋いできた。



「俺、大切な人がいるから……ごめんね」

「あっ……こちらこそ、すみませんでした。お幸せに!」



  女の子はそそくさと逃げるように、帰って行った。



「話聞いてあげるくらいは、した方がいいんじゃねーの?」

「柚希に嫌な思いさせてまで、人に優しく出来ないよ…………俺って、器が小さいよな……」



  勇気を出して告白しようとしている相手に、優しい陽人が心苦しいながらも、俺の為に断ってるのはわかっている。



「そんな事ねぇよ。陽人は、器デカいって。まっ、色々と……ありがと」

「ふふっ、柚希の言葉で元気出た……じゃあ、母さん達の所へ行こうか?」

「だな。久美さんも美空も待ってるからな」

「みんなでご飯行くの、楽しみだな。明日からは、引っ越しの準備かぁ。暫く、大忙しだね」

「俺は荷物少ないから、だいたいまとめてある。終わったら、陽人の荷造り手伝うよ」

「ありがとう、助かる」



  陽人は白金市の、一ノ瀬高校へ。
  俺は一ノ瀬高校近くの、商業系の男子高へ進学する事が決まった。

  陽人は本当は、学生寮へ住む筈だった。
  ただ、思ったより俺の心の傷が深く、PTSDに悩まされて……

  それを癒す為にも、陽人と一緒のが良いだろうって親達は考えて、二人で白金市内のマンションで暮らす事になった。

  美空と久美さん、陽人の父親には俺達が恋人として付き合う事は、既に報告をしてあり公認の仲だ。
  生涯一緒にいるって事も知っていて、理解してくれた上に応援もしてくれている。

  美空は柊の時既に、同性との付き合いに寛容だったから、全く問題はなかった。
  ただ、陽人の両親は反対したり、難色を示すんじゃないかって……
  不安だったけれど、意外にあっさりと認めてくれた。

  征爾と成都は親に認めてもらえるまで、すごく大変だったみたいだし……



  俺達はたまたま、運が良かっただけなんだと思った。


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