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第2話
しおりを挟む2時間が経過しただろうか。
マフラーをぐるぐる巻きにし、必死に寒さに耐えていた。
体育館は暖房がついていないからか、白い息があがる。
少し歩こう、と、隣の体育館に行くことにした。
男子のバスケの試合が行われていた。
白いユニフォームが優勢に思われた。
「あっ。。」
少し遠くではあったが、あの顔立ちは忘れていなかった。
先ほどの自動販売機で、小銭を拾ってくれた彼だった。
バスケにはあまり詳しくは無いが、何度も妹の試合に(無理やり)連れてこられるのでどんな人がうまいかはわかる。
相手チームのパスをカットし、単独でシュートを決める姿に目を離すことができなかった。
結局、彼のチームが20点ほど差をつけて試合は終了した。
「探したんですけど」
「うわっ!!」
いつの間にか横には妹がいた。
機嫌が悪いことを瞬時に悟った。
きっと先ほどの冷たいスポーツドリンクを買ったせいだろう。
「…悪かったって…」
ハァ~と長いため息をついて妹が出口を指差した。
「あそこの自動販売機、まだあったから、買ってきて」
ここまで兄をパシリにつかう妹がいるだろうか。
渋々母からお金をもらい、本日2回目のパシリを決行した。
コーンポタージュとカフェオレで迷いはしたが、お腹を壊してはいけないと思いコーンポタージュを選んだ。
なんでスポーツセンターにコーンポタージュが売っているのかはそれ以上考えなかった。
あの様子だと妹の試合はもう終わったのだろう。
そう考えていたとき、、、
「あの、、、、」
聞き覚えのない声がした。
振り返ると先ほどの彼が立っていた。
首にタオルを巻き、頬には汗が一粒流れている。
先ほどの試合で激しく動いたからだろうか、顔は少し赤くなっていた。
「はっ、はい!」
少し声が裏返ってしまったような気がしたがバレてませんようにとひたすら心の中で祈っていた。
「さっき、後から10円玉を拾い忘れているのに気がついて。もしかしたら…って思ったんですけど…」
彼の手には10円玉があった。
たしかに、おつりを渡した母の反応に違和感があった。
俺は気づかなかったが。
とにかく返事をしなければ…
「あの、多分俺です。……ありがとうございます…」
彼は少し微笑みながら俺に話しかけた。
「いえいえ…ポッケから出すのを忘れて、少し湿ってはいますが…」
俺は少しつられて笑ってしまった。
「ありがとうございます。
試合、すごかったです。びっくりしました。
あんなうまい選手だったとは…」
「…以外でした…?」
何かダメなことを言った気がする。と、後から気付き慌てて修正した。
「以外でした、けど、いい意味で、です!」
それはよかったと彼は笑っていた。
その後すぐに彼はチームの仲間に呼ばれ、「また、」とだけ言って立ち去っていった。
彼の笑顔を間近で見れて、心なしか嬉しかった。
俺は女子か。
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