カフェノートで二十二年前の君と出会えた奇跡(早乙女のことを思い出して

なかじまあゆこ

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三代目のビリケンさん

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「姉ちゃん、そう言えばこのビリケンさん三代目なんだってね」

「えっ?  三代目ってこのビリケンさんがってこと?」

「うん、そうらしいよ。このビリケンさんは三代目で二千十二年からここにいるらしいよ」と奈央が言った。

  その言葉を聞いたわたしは、

「……二千十二年!  それってわたしが撫でているビリケンさんと祐介君が撫でているビリケンさんは違うビリケン像ってことだよね?」

  ちょっとショックだった。二千年の世界にいる祐介君とわたしが触っているビリケンさんが同じじゃないなんて……。

「姉ちゃん、そんな落ち込んだ顔するなよ」

「……だって」

  わたしはしょんぼりしてうつむき自分の靴を眺めた。

「いいんじゃないの。確かにビリケンさんはその祐介君って人が触っているものと違うけど、この通天閣は同じなんだからさ。時を超えて同じ空気を吸っていると思えばさ」

  奈央はそう言ってわたしの肩をぽんぽんと優しく叩いた。

「……そうだよね。何もかも同じでなくてもいいよね」

  わたしはうふふと笑ってみせた。

  きっと、この通天閣の展望台から見える景色もきっと違ったりするのだろうけれどそれもまあいいではないかと思った。

「さあ、行こう。地下でお土産を買おうよ」

  違っているからそれも面白いのだと考えてみようと考えてみることにした。




  通天閣でお土産をたくさん買いわたし達は満足した。そして、夕飯はもちろん串カツを食べるのだ。

  カフェノートを開くと祐介君達も串カツを食べるとのことだった。ビリケンさんの足の裏も撫でたよと書いてある。

  祐介君が足の裏を撫でたビリケンさんはきっと二代目なんだろうなと思った。どんな願い事をしたのかな?  その願いは果たして叶ったのだろうか。

「姉ちゃん、早く行こうよ」

「あ、うん、串カツがわたし達を待っているね」

  わたしは急いでカフェノートに、『わたしもビリケンさんの足の裏を撫でたよ。わたし達も今から串カツを食べに行くよ。早乙女』と書いた。

  新世界のエリアを歩くと串カツ屋がひしめいている。もう串カツ屋さんとビリケンさんだらけでわたしはわくわくする。

  串カツ屋のお店の前にいるビリケンさんがどーんと出迎えてくれる。

  わたし達は適当な串カツ屋を選びビリケンさんの足の裏を撫でお店の中に入った。テーブル席に座りメニュー表を眺めた。

  そして、わたしはアスパラ、じゃがいも、もち、紅しょうが、ウィンナーなどの串カツドリンクはオレンジジュースを選び注文した。

  カフェノートを開くと豪快で大きくて綺麗な文字が浮かび上がっていた。

『俺は今、じゃがいもの串カツを食べているよ。ホクホクしていて美味しいよ。祐介』と書かれていた。

『わたしもじゃがいもの串カツを注文したよ。早乙女』と書いたその時、

「お待たせしました~」と店員さんが串カツを運んできた。

  
「わ~い、串カツだよ。めちゃくちゃ美味しそうだね」

「うん、美味しそうだね。さあ、食べよう。ソースの二度漬けは禁止なんだよね」

  亜子ちゃんが『ソースの二度漬けは禁止です』と書かれている張り紙を指差して言った。

「一度ソースをつけて食べたのをまたつけると衛生上悪いかららしいね」

「一度にドバ~ンとたっぷりつけましょうよ」

  奈央はそう言ったかと思うとテーブルごとに設置されているソースの容器に串カツを漬けた。

「あ、奈央ってばずるいよ~わたしもつけるよ」

  わたしはじゃがいもの串カツを手に取りソースをどっぷり漬けた。

「うふふ、いただきます~」

  わたしはじゃがいもの串カツを口に運んだ。

  揚げたてのサクサクの衣にじゃがいもが包まれていて外はサクサクとしていて中身のじゃがいもはホクホクしていてソースのまろやかさと良く合う。

  わたしは、串カツを食べ満面の笑みを浮かべた。亜子ちゃんも奈央もそれから青橋君に久美佐ちゃんも幸せそうな笑みを浮かべ串カツを食べている。

  幸せな時間だ。
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