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第一章 古書カフェ店のスタートです
5 古書カフェ店の二階がわたしの部屋
しおりを挟む古書の良い匂いと木の温もりにどこか懐かしくてノスタルジックな雰囲気が漂う店内でわたしとみどりちゃんは、追いかけっこをした。
みどりちゃんは、わたしが抱きつくと暑苦しいよなんて言って逃げるのだから余計追いかけたくなる。
「みどりちゃん、待って~」
「真理子、近づかないでよ。暑苦しいよ」
「走るともっと暑くなるよ」
「真理子が追いかけてくるから逃げてるんだよ」
みどりちゃんはこちらに振り返り眉間に皺を寄せて嫌な顔をする。
「みどりちゃん、そんなに嫌がらなくてもいいじゃない」
わたしとみどりちゃんは、子供のように店内を走り回った。仕事をしなければならないのにわたし達は何をやっているのかなと思うと可笑しくなる。
なんだか楽しくてもう少しだけこうして幼い頃のように楽しい時間を過ごしたいなと思った。
大人になるにつれてあれをやったら駄目だとか自分の中で制限を作ってしまう。だけど、わたしはいつまでも夢を持って生きていきたいなと思う。
いつまでも子供みたいなわたしは、真理子ちゃんって変わっているねと何度も言われた。だけど、みどりちゃんはこんなわたしに優しくしてくれた数少ない友達だ。
大人になることが少し怖くてずっと子供のままでいたいなと思ったりもした。ちゃんとした大人にならなければと思えば思うほど空回りした。
沖縄にやって来て二年目の夏だ。
黄色い瞳の猫の茶和ちゃんに導かれるかのようにしてやって来たこの古書カフェ店で新たに何かが始まろうとしているのかな?
この先どんな未来が待っているのか分からないけれど、わたしはワクワクしている。楽しい毎日になりますように。
それからわたしとみどりちゃんは、古書カフェ店の二階を住居にするためホテルの従業員として住んでいた寮から早速引っ越しをした。
今日からレトロ感が漂う古書カフェ店その二階がわたしの住まいになる。新しい部屋にワクワクしてきた。
わたしの新しい部屋は六畳の和室だ。い草の良い香りがぷーんとする。なんとなく和って感じで落ち着く。うふふっと嬉しくなってくる。
だけど、引っ越し業者がわたしの部屋にダンボールをどーんと運び込み帰っていくと部屋中がダンボールの山になってしまった。
「ああ、もうどうしてこんなにたくさん荷物があるのよ」
わたしは、思わず叫んでしまった。みどりちゃんは少ない荷物ですぐに片付けが終わったらしくて手伝ってくれた。
ダンボールからシーサーの置物を取り出して、タンスの上にズラズラーと並べた。その隣に茶和ちゃんの毛玉ボールとヤンバちゃんの羽根も飾った。
「ふふん、シーサーと毛玉ボールと羽根の組み合わせって中々可愛いじゃない」
わたしは、にんまりと笑った。
引っ越し疲れでクタクタになった。わたしの荷物はどうしてこんなにたくさんなのかなと我ながら呆れてしまう。
わたしは、物を捨てられない。洋服に本それから子供の頃から集めているぬいぐるみや旅行に行った時の思い出のパンフレットやお土産等もたくさんある。
みどりちゃんは、こんなわたしに呆れて、わたしが捨ててあげようかと言ってくるけれど断っている。だって、わたしにとってはあれもこれも全部大切な宝物であり思い出なのだから。
「あー疲れた」と畳の上にごろんと横になる。い草の香りが心地よい。このレトロ感が好きになりそうだ。
気持ちが良くて眠ってしまいそうだ。
その時、ふわふわふわふわーと風が何処からか吹いてきた。
ようこそとこの家がわたしを歓迎してくれているように感じた。
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