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第一章 古書カフェ店のスタートです

8 オープンした古書カフェ店は

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  そして、いよいよ古書カフェ店の開店時間が近づいてきた。壁に掛かっている時計のカチカチカチカチと鳴る音にドキドキする。

  お店の名前は『吉田古書カフェ店』から『まりみど古書カフェ店』に変更となった。みどりちゃんと『まりみど』でしょういやいや『みどまり』でしょうと言い合いをした結果じゃんけんをしてわたしが勝ったので『まりみど古書カフェ店』と店名が決まったのだ。

  それはそうとわたしとみどりちゃんは雇われ店長だというのに店名まで変更させてもらえるなんていいのかなと思ったけれど、吉田さんはお二人にお店をお任せするのでと言ってにっこりと笑った。

  不安と緊張でいっぱいになるけれどやっぱりウキウキする気持ちの方が大きい。

  たくさんのお客さんが来てくれるお店になるといいな。夢が溢れてくる。

「さあ、お二人、お店の開店の時間ですよ」

  吉田さんの声にわたしとみどりちゃんは元気よく「はーい」と返事をした。


  
  扉にかかっている木製のドアプレートをクローズからオープンにひっくり返しお店の前にオープンの看板を出した。

「みどりちゃん、いよいよだね。わたしワクワクするよ」

  新しい一日が始まると思うと嬉しくて頬が緩みにやにやしてしまう。

「わたしもドキドキするよ~」

  みどりちゃんはいつになく顔を上気させ興奮しているみたいだ。

「楽しみ、楽しみだ~きっとねお客さんがたくさん来てくれるよ~」

  わたしは、沖縄のキラキラ輝く真っ青な真夏の空を見上げて言った。

「うん、楽しみだね。だけど、何よそのふにゃふにゃ~と緩んだ顔は。真理子みたいに能天気にお客さんがいっぱい来るなんて思えなくて心配になってしまうよ」

  みどりちゃんはいつも頭が固くてちょっとつまらない。

「ふんだ、ふにゃふにゃって失礼だね。みどりちゃん。ふんだ、お客さんはたくさん来てくれるはずだよ。みどりちゃんみたいに怖い顔をしていると幸せが逃げていくんだからね」

  わたしは、ぷくぷくと膨れた。

「梅木さん、並木さん、何をしているんですか?  オープンの時間ですよ」

  扉の向こうから吉田さんの声が聞こえてきた。

「はーい、今戻ります」とわたしとみどりちゃんは答えた。
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