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第三章 ここから始まる
6 吉田さんは楽しんでいる
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「あのびっくりしないんですか? 動物が喋るんですよ!」
わたしは、興奮して勢いよく話した。
「そうですよ、動物がお茶を飲んだり本を読んだりしたんですよ!」
みどりちゃんも身を乗り出して言った。
「二人とも落ち着いてくださいよ」吉田さんはアップルティーを一口飲みそれから「俺が言ったことを覚えていますか? 夜にお楽しみがあるかもですよと言いましたよね?」と言ってニカッと笑う。
「えっ、確かに」わたしとみどりちゃんはほぼ同時に答えた。
吉田さんが言ったことを思い出した。意味深なその言葉が気になり言葉の裏側に何かがあるのかなと思ったけれどすぐに忘れていた。
「茶和ちゃんとヤンバちゃん、それからチワワンちゃんですよね?」
吉田さんは可笑しそうにクスクス笑っているではないか。
「……あの動物達のことを吉田さんは知っていたんですか?」
「名前まで知っているなんて!」
みどりちゃんもかなり興奮しているようだ。
「はい、知っていましたよ。俺も時々あの子達と話をしていましたから」
吉田さんはなんでもないことのように言った。
わたしとみどりちゃんは、少し長めの前髪をかきあげニコニコと笑っている吉田さんの顔をじっと眺めた。
「あれ? 二人とも口をぽかーんと開けてどうしたんですか?」
吉田さんは余裕の表情で笑っている。
「どうして教えてくれなかったんですか?」
みどりちゃんが身を乗り出し聞いた。確かにそれもそうだ。喋る動物が来ることを前もって教えてくれても良かったはずだ。
「それはごめんなさい。二人のびっくりする顔が見たかったのと喋る動物が突然現れた方が楽しいじゃないですか」
吉田さんはいたずらがバレた時の猫のように目を大きく見開いた。その表情がなんだか可笑しくてわたしはワハハッと笑ってしまった。
「ちょっと、梅木さん笑わないでくださいよ」
「だって、吉田さんの顔が面白くて笑ってしまいますよ。ぐふふっ」
わたしは笑いが止まらなくなりテーブルを叩いて笑った。
「真理子、そんなに笑うと吉田さんに失礼じゃない」
みどりちゃんはテーブルを叩いて笑っているわたしの肩をポンッと叩いた。
「だって、面白いんだから仕方ないじゃない」
笑いが止まらなくなってしまった。吉田さんの顔をちらりと見るとダメだ笑ってしまう。キョトンしているその顔が可笑しくて笑ってしまう。何がそんなに面白いのかも分からなくなってきたけれど一度笑うと笑いが止まらないよ。
「梅木さん、どうして笑っているんですか?」
「ごめんなさい~笑わせてというか笑いが止まらない~」
まりみど古書カフェ店の店内はお客さんも来ないのに明るい笑顔と元気な笑い声が溢れかえっている。
美味しいちんすこうに温かいアップルティーが心をゆるゆると癒してくれる。動物のお客さんしか来なくて前途多難ではあるけれど、いいのだ。いや良くないかもしれないけれどゆっくりと考えていこう。
わたしは、興奮して勢いよく話した。
「そうですよ、動物がお茶を飲んだり本を読んだりしたんですよ!」
みどりちゃんも身を乗り出して言った。
「二人とも落ち着いてくださいよ」吉田さんはアップルティーを一口飲みそれから「俺が言ったことを覚えていますか? 夜にお楽しみがあるかもですよと言いましたよね?」と言ってニカッと笑う。
「えっ、確かに」わたしとみどりちゃんはほぼ同時に答えた。
吉田さんが言ったことを思い出した。意味深なその言葉が気になり言葉の裏側に何かがあるのかなと思ったけれどすぐに忘れていた。
「茶和ちゃんとヤンバちゃん、それからチワワンちゃんですよね?」
吉田さんは可笑しそうにクスクス笑っているではないか。
「……あの動物達のことを吉田さんは知っていたんですか?」
「名前まで知っているなんて!」
みどりちゃんもかなり興奮しているようだ。
「はい、知っていましたよ。俺も時々あの子達と話をしていましたから」
吉田さんはなんでもないことのように言った。
わたしとみどりちゃんは、少し長めの前髪をかきあげニコニコと笑っている吉田さんの顔をじっと眺めた。
「あれ? 二人とも口をぽかーんと開けてどうしたんですか?」
吉田さんは余裕の表情で笑っている。
「どうして教えてくれなかったんですか?」
みどりちゃんが身を乗り出し聞いた。確かにそれもそうだ。喋る動物が来ることを前もって教えてくれても良かったはずだ。
「それはごめんなさい。二人のびっくりする顔が見たかったのと喋る動物が突然現れた方が楽しいじゃないですか」
吉田さんはいたずらがバレた時の猫のように目を大きく見開いた。その表情がなんだか可笑しくてわたしはワハハッと笑ってしまった。
「ちょっと、梅木さん笑わないでくださいよ」
「だって、吉田さんの顔が面白くて笑ってしまいますよ。ぐふふっ」
わたしは笑いが止まらなくなりテーブルを叩いて笑った。
「真理子、そんなに笑うと吉田さんに失礼じゃない」
みどりちゃんはテーブルを叩いて笑っているわたしの肩をポンッと叩いた。
「だって、面白いんだから仕方ないじゃない」
笑いが止まらなくなってしまった。吉田さんの顔をちらりと見るとダメだ笑ってしまう。キョトンしているその顔が可笑しくて笑ってしまう。何がそんなに面白いのかも分からなくなってきたけれど一度笑うと笑いが止まらないよ。
「梅木さん、どうして笑っているんですか?」
「ごめんなさい~笑わせてというか笑いが止まらない~」
まりみど古書カフェ店の店内はお客さんも来ないのに明るい笑顔と元気な笑い声が溢れかえっている。
美味しいちんすこうに温かいアップルティーが心をゆるゆると癒してくれる。動物のお客さんしか来なくて前途多難ではあるけれど、いいのだ。いや良くないかもしれないけれどゆっくりと考えていこう。
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