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第六章 真理子
1 怪しい人を尾行します
しおりを挟むわたし真理子は猫のような怪しげな人を尾行します。そろりそろりと跡をつけているわたしは探偵です。
柔らかそうな髪の毛がさらさらと風に揺れている。どこに行くのかな? 真理子探偵はそろりそろりと跡をつけています。
すると、猫のような怪しげな人は突然こちらに振り返った。
「真理子、起きなさい。真理子、朝だよ。起きろ~」
猫のような怪しげな人が起きなさいと言っている。
「真理子ってばいつまで寝ているのよ。朝だよ、朝だよ。朝だってば」
眠たいのに猫のような怪しげな人は朝だよとうるさい。朝だよと連呼するな。
「猫さんわたしは眠たいよ」
「猫さん? わたしは、みどりだよ~真理子頭がおかしくなったんじゃない? 寝ぼけるな~」
猫のような怪しげな人がみどり? えっ? みどりってあの目を三角にする怖い人だよね。
「真理子、起きなさい~」
わたしをユサユサ揺する怖い声。そうこの声は猫のような怪しげな人なんかではない。
怖くて恐ろしいけれどわたしの大切な友達だった。
「……みどりちゃん」
わたしは、目を開いた。
やっとの思いで布団から抜け出し眠い目を擦りながら居間に行くと、みどりちゃんが台所から出てきた。
「真理子は本当に変わらないよね。寝坊助さんには呆れてしまうよ」
みどりちゃんはブツブツ文句を言いながらお盆に良い香りのする紅茶とハムエッグにサラダや食パンを載せていた。
「わっ、美味しそう。わたしお腹空いた~」
うん、朝の良い香りだ。
「たまには真理子が朝ごはんを作ってよ。いつもわたしばかりに作らせて」
みどりちゃんはテーブルの上に朝食を並べてくれた。
「いただきま~す!」
わたしは手を合わせた。
「ちょっと真理子! いただきま~すじゃないよ。聞いているのかな?」
「うん、みどりちゃんこのハムエッグ美味しいよ」
わたしは、みどりちゃんの小言なんて無視してパクパク食べた。
「ちょっと真理子~」
「あら、みどりちゃんどうしたの?」
わたしはにっこりと笑ってみせた。
今日はどんな一日になるか分からないけれど良い一日になるといいなと思いながら紅茶をごくりと飲んだ。りんごの甘い香りがする。アップルティーだ。
今日も一日頑張ろう。
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