真理子とみどり沖縄で古書カフェ店をはじめました~もふもふや不思議な人が集う場所

なかじまあゆこ

文字の大きさ
70 / 75
第七章 吉田さんと動物達そして

5 夜には何が

しおりを挟む

  調理場でみどりちゃんがゴーヤチャンプルーを手際よく炒めているのを眺めながらわたしはもやしを洗った。

  醤油の香ばしい香りがふわふわと漂い美味しそうだ。ゴーヤを入れなければいいのになと思いながらわたしが嫌いなゴーヤが炒められていく様子をぼんやりと眺めていた。

「真理子、もやしいつまで洗っているの?」

「あ、ごめん」

  わたしは、もやしをみどりちゃんに渡した。

  吉田さんと桃谷さんのことが気になる。

『元気と言ったらおかしいですが元気ですから大丈夫ですよ』と桃谷さんに言ったあの吉田さんの言葉はなんだったのだろうか?  どういう意味だったのかな?

  気になって仕方がない。桃谷さんの寂しそうな姿と吉田さんの優しい声と心配そうに見つめている表情が頭の中から離れない。

  そんなことを考えているとみどりちゃんが、「ゴーヤチャンプルー出来たよ」と言った。

  お皿の上には緑色のボツボツがあるゴーヤがてんこ盛りに盛られていた。


  
  桃谷さんがゴーヤチャンプルー定食を美味しそうに食べて、美味しかったですではまた来ますねと言って帰った後もずっと二人の会話が気になった。

  時々吉田さんの横顔をちらりと見るけれどいつもと変わった様子はない。鼻歌なんて歌いながら本の整理をしている吉田さん。

  わたしは気になり心配しているのが馬鹿らしくなってきた。ふんだ、ふんだ、いいもんねと本棚にハタキをぱたぱたとかける。ハタキって今どきレトロだなと思いながらかける。埃がふわりと舞った。

「梅木さん、俺の顔に何か付いていますか?」

  わたしが、吉田さんの顔をちらちら見ながらハタキをかけていると吉田さんがニヤリと笑って聞いた。

「あ、いえ、別に……吉田さんの顔は見てません。ハタキをかけているんですもん。あ、埃が付いているかも……」

  わたしは、そう言って作り笑いを浮かべた

「ふーん、そうですか?」

「はい」

「もし気になっていることがあるのなら答えられることであればお答えするのにな~」

「えっ、答えてくれるんですか?」

「あははっ、やっぱり気になっているんじゃないですか」

  吉田さんは悪戯っぽく笑った。

  「教えてもらえるんですか?」

   わたしは、吉田さんのちょっと悪戯っ子みたいになっている顔をちらりと上目遣いで見た。

「う~ん、どうしましょうかね?」

  吉田さんは右側の口角だけ上げてニタリと笑った。ちょっと意地悪ではないか。

「教えてくれるんですか?  どっちなんですか?」

「分かりました。では少しだけ教えて差し上げましょう」

  吉田さんはクスッと笑いそれからいつもの優しい猫が眠っている時の表情にそっくりな笑顔になった。

「あ、何の話ですか?」

  みどりちゃんが抱えていた本を机に置き話に加わった。

「仕方がないですね。二人はこの古書カフェ店の店長ですからお話しますね。あ、だけど夜まで待ってくださいね」

「夜まで?  どうしてですか?」

  わたしとみどりちゃんはほぼ同時に言った。

「それは、可愛らしい動物達にも関係あるからですよ」

「可愛らしい動物達って茶和ちゃん達のことですか?」

「はい、そうですよ。ちょっといろいろありまして……」

  吉田さんの顔は哀しいようななんとも言えない表情だ。

   茶和ちゃん達と関係ある話とは一体どういうことなのだろうか?  

  わたしは一体どんな話なのかなと気が気でなかった。この日は夜までの時間がとても長く感じられた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

白苑後宮の薬膳女官

絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。 ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。 薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。 静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

処理中です...