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あやかしが集うスーパーに迷い込みました
仕方がない
しおりを挟むこれはもう現実として受け入れるしかないのだろうか。今もわたしの目の前で三毛猫のにゃんが、にゃぱにゃぱ笑っている。
「あやかしスーパーって猫ちゃんがお喋りをするスーパーなのかな?」
わたしはにゃんのひまわり色の目を見て尋ねた。
「うにゃん、もちろん猫もお喋りするよ。他にもいろ~んな生き物がね」
「いろ~んな生き物?」
「はいにゃん、まあ、ゆっくりとこのスーパーの雰囲気を味わってにゃん」
にゃんは腰に肉球のある可愛らしい手を当て得意げな笑みを浮かべた。猫なのに口角を上げ笑っているし、もうこのスーパーは怪しげである。
「ねえ、にゃんちゃん」
「何ですかにゃん?」
「わたし、お弁当を食べている途中だったんだけど」
「ありゃまにゃん」
「わたしのお弁当の中身はどこへいっちゃったのかな?」
「うにゃん?」
わたしは、自分のお腹がまだ空腹であることに気づく。それなのにお弁当箱に目を落とすと空っぽだったのだ。全部食べた記憶はないのにおかしいな? と思い顔を上げにゃんを見る。 あれ? わたしはにゃんの顔を見て首を傾げる。 そうなのだ、にゃんのお口の周りにごはん粒がべったりとくっついているではないか。
「にゃんちゃん!!」
「はいにゃん?」
「わたしのお弁当食べましたね!?」
「あらまにゃん」
にゃんは肉球のある可愛らしい手で照れたように頭をぽりぽりと掻く。その姿はあまりにも可愛らしくて、胸がキュンとしちゃう。けれど、今はそれどころではない。だって、わたしのお弁当が……。
「にゃんちゃん! あらまにゃんじゃないよ。わたしのお弁当盗み食いしたのね」
わたしは、にゃんのお口の周りにくっついているごはん粒をじーっと眺めながら言った。
「にゃはは、バレたかにゃん」
にゃんは、お口の周りを長い舌でぺろぺろと舐める。
「わたしお腹空いてたのに……」
にゃんの満足げなその表情と空っぽのお弁当箱を眺めていたその時。
「こら、にゃん!! また、人様のごはんを盗み食いしたんだね」と言う大きくてちょっとしわがれた声が聞こえてきた。
わたしが、その声に振り向くと、そこには。え!?
紫のワンピースに身を包んだ老婆が立っていた。その老婆は髪の毛は真っ白で口の周りはシワシワで梅干し皺がすごい。なんだか妖怪みたいでちょっと怖いな。
「うにゃん、紫お姉ちゃんにゃん」とにゃんが言った。
え? この人、お姉ちゃんなの?
「まったくにゃんは食いしん坊で困るな。お嬢さん、ウチのにゃんがごめんなさいね」
紫お姉ちゃんがこちらに視線を向けて言った。
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