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あの日のお好み焼き
しおりを挟むお皿からはみ出しそうなビックなお好み焼きからほわほわと美味しそうな湯気が立っている。
ソースの香りとかつおぶしの香りが食欲をそそる。それと、ふわりと漂うお好み焼きの香りを嗅ぐだけで懐かしい記憶がよみがえり涙が出そうになった。
「さあ、どうぞ召し上がってくださいね」
「ください~」
「あ、はい、いただきます」
もう、食べる前からほくほく顔になる。
おばあちゃんが『お好み焼きできたよ~次、食べる人~』と階下から呼ぶ。その声に『は~い、食べる』とわたしは答えながら階段をダダッーと下りる。
『佐波ちゃん、どうぞ~美味しいよ』
おばあちゃんはいつもそう言いながらお好み焼きを大皿に盛りつけてくれた。その薄くて大きなお好み焼きが大好きだった。
「いただきます~」と言って二階の居間で食べるお好み焼きは最高だった。
そんなことを思い出しながらわたしは、お好み焼きにマヨネーズをたっぷりかけて、お箸で口に運んだ。
すると、豚のバラ肉がカリカリで香ばしくてキャベツはシャキシャキしていてもちもちした生地によく合う。
「美味しい~」
お好み焼きから天国へ旅立ってしまったおばあちゃんの優しい味がした。料理が好きだったおばあちゃんは、美味しい料理をたくさん食べさせてくれた。
今も天国で料理をしていたらいいのにななんて思いながらわたしは、お好み焼きを食べ続けた。
「ああ、美味しかった~」
わたしは、微笑みを浮かべながらお皿にお箸を置いた。
「満足してもらえて良かったですよ」
神本さんがアーモンドアイの大きな綺麗な目を細めて笑った。
「佐波ちゃんの笑顔を見ることができてわたしも嬉しいよ」
ひよこちゃんもニコニコ笑った。
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