久しぶりにおばあちゃんのお好み焼きが食べたいな

わたしの食べたい料理は

「佐波さん、次は何が食べたいですか？」

    神本さんは口元に手を当ててクククッと笑った。これは、わたしのお腹の音を面白がっている顔だ。そう思うと恥ずかしくて頬がほてる。

「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃないですか」

  わたしは耳が熱くなるのを感じながら言った。それとほぼ同時にお腹がぐぅーと鳴った。

「あはは、早く食事を注文した方がいいですよ」

  神本さんは今度は盛大に笑った。

「佐波ちゃんってばめちゃくちゃお腹が空いているんだね」

  ひよこちゃんもお腹を抱えて笑った。

「ふ、二人ともそんなに笑わないでくださいよ」

  わたしは頬を膨らませながら神本さんとひよこちゃんを睨んだ。

「そんなに睨まなくてもいいじゃないですか？  さあ、注文をどうぞ」

  神本さんは両手を大きく広げた。

「では、注文させてもらいます……ちらし寿司が食べたいです」

「ちらし寿司ですね。了解しました」

「了解したよ。わたしも食べたいな」

  神本さんとひよこちゃんはにっこりと笑った。
 
「お願いします」

「佐波さん、任せてください」

「任せてね」


  そう言ったかと思うと神本さんとひよこちゃんはパッとわたしの前から消えた。

「えっ！  え～消えたよ。どうなっているの？」

  
  わたしは大きな声を上げてしまった。やはりあの二人は人間ではないなと改めて思った。

  一人取り残された空間をわたしはぼんやり眺めた。


  それから暫くすると「お待たせしました～」、「お待たせ～」と神本さんとひよこちゃんの元気な声が聞こえてきた。