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奈美ちゃんと英美利ちゃん
さあ、お弁当を食べよう
しおりを挟むわたし達四人は、木陰にゴザを敷きおにぎりを食べた。
雪本さんが作ってくれたおにぎりは大きめで食べ応えがあった。具は、梅干し、チーズおかか、昆布、ツナなどだ。
「よく晴れた日に外で食べるおにぎりは美味しいね」
英美利ちゃんが空を見上げながら言った。
「うん、最高だね。あ、そうだ、わたしもお弁当作ってきたんだよ」
奈美ちゃんはそう言って、鞄からお弁当箱を取り出した。人気女優である奈美ちゃん自らお弁当を作ってくるなんてやっぱり奈美ちゃんは昔から変わっていない。
「おっ、なんと奈美ちゃんの手作りお弁当なんだね」
英美利ちゃんが目をキラキラ輝かせながら言った。
「えへへ、美味しいか分からないけどね」
奈美ちゃんは、照れたように頭を掻き、お弁当箱の蓋を開けた。
「わっ、タコさんウインナーだ~」
わたしは思わず声を上げた。
だって、奈美ちゃんのお弁当箱の中には可愛らしいタコさんウインナーがたくさん入っているのだから。
「頑張ってたくさんタコさんウインナー作ったよ。皆食べてね」
そう言って微笑む奈美ちゃんはやっぱり可愛らしい。目がくりんと大きくてお肌なんて透けるように白くてとても綺麗だ。そして、二十五歳には見えない童顔なところもまた魅力の一つなのだ。
タコさんウインナーのお弁当は奈美ちゃんらしいなと思う。卵焼きにコロッケにレタスも入っていて美味しそうだ。
「……あ、タコさんウインナー」
お姉ちゃんがボソッと呟いた。
そんなお姉ちゃんの顔をチラリと見ると、薄い笑みを浮かべていた。
「順子ちゃんタコさんウインナー懐かしいでしょう? 中学時代、おかずの交換っこをしたね」
「あ、うん。奈美ちゃんのタコさんウインナー可愛くて美味しかった……」
「わたしは、順子ちゃんの卵焼きが美味しかったな~」
奈美ちゃんはそう言ってにっこりと微笑んだ。
お姉ちゃんと奈美ちゃんが普通に会話をしているではないか。そんな二人を見ていると嬉しくなりわたしの頬は緩んだ。
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