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プロローグ 狛犬です
プロローグ
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ここは、ならまちの古い街並みを残した一角にある小さな神社。
「美味しい食べ物がたくさん食べられますように。わたしの夢が叶いますように。神様どうぞよろしくお願いします」
髪の毛を高い位置でポニーテールに結わえた女の子が神社の拝殿に向かってお祈りをしている。
「あの子の声大きいよね」
「そうだよね。お祈りは心の中でするものだと思うんだけどね」
「あ、いけない。お賽銭を入れるの忘れていた~」
女の子は賽銭箱にお賽銭を入れて二度お辞儀をする。それからパンパンと柏手を激しく二回打った。
「柏手を打つ音もめちゃくちゃ大きいよね」
「あれじゃあ神様もびっくりしちゃうよね」
「うふふ、これで良し。完璧だね」女の子は自信ありげに歩き出した。
鳥居をくぐり神社の外へ出たポニーテールの女の子は神社に向き直りぺこりとお辞儀をしそれから再び歩き出した。
わたしは、女の子のさらさらと風に揺れるポニーテールをじっと眺めた。あ、それと、あれは! と思ったその時……。風がヒューヒューと強く吹いた。
「ホホッ~。なかなか良いお嬢さんじゃないか。まあ、ちょっと騒がしいけどな。狛子
に狛助よ。見習わないとな」
「あ、神様」
「あ、神様だ~」
そうなのだ。神様がわたし達の目の前に厳かな空気に包まれ姿を現したのだった。
神様は二十代後半くらいの男性の姿をしている。肌が透き通るように白くて切れ長の目に鼻が高く鼻筋は通っている。どちらかというと美形だ。髪の色は金髪と白髪の中間色のプラチナブロンド。神様本人ご自慢の長髪だ。
神様だけあるからしてこの世のものとは思えない雰囲気が漂っているのだけど、口にお札を咥えている。
この神様はお金が好きなのだ。
「あ、神様だじゃないぞ。狛子に狛助よ。うん? 狛子どうして俺の顔を見ているのだ?」
「だって、神様ってば口にお札を美味しそうに咥えているんだもん」
わたしは、神様の口元を指差した。
「おっ、このお札かい。これは先程のお嬢さんがお賽銭でくれたぞ」
神様は美味しそうにお札を舐めている。いつも思うんだけどこんな神様で果たしていいのかなと。
「あの女の子リッチなのかな? いいな」
「違うぞ、狛子。お嬢さんは奮発してお札を入れてくれたのだ~」
「ふ~ん、それを神様は美味しそうに舐めているんだ。僕もお腹が空いたよ」
「うるさい! 狛助。ヨダレを垂らすな」
「神様、わたしも腹ペコだよ」
わたしと狛助が神様の咥えているお札をじっと見て文句をブーブー言った。
「狛子、狛助うるさい! お前達は毎日ここで何をしておるのじゃ。お嬢さんの願いでも叶えてあげるのじゃ~」
わたしと狛助は神様からそう言われ神社の外へ追い出された。
「神様って自分勝手だよね。目を吊り上げてお前達は毎日ここで何をしておるのじゃ~なんて言って怖い顔をするんだもんね」
わたしは指で目尻を引っ張り目を吊り上げ怒っている神様の顔真似をしてみせる。
「狛子ちゃん、その顔神様にそっくりだよ」
「にひひ。やった~似てるでしょ。神様こそ神社に人間が参拝してもグーグー呑気に寝ているしそれにお賽銭を咥えたり舐めたりするくせに偉そうだよね」
わたしはぷりぷり怒る。
「神様ってぐうたらで食いしん坊だよね。お金ってどんな味がするのかな?」
「うん、そうだね。お金の味なんて知らないよ。って、あ、ちょっと狛助!」
「ん? 狛子ちゃんどうしたの?」
狛助は不思議そうに首を傾げる。その手にはお菓子を持っているのだ。
「どうしてお菓子を食べているのよ? そのお菓子わたしが先に見つけたんだからね」
「落っこちていたからだよ~早い者勝ちだもんね。あ、まだクッキーが落ちているよ」
狛助は言いながらクッキーに手を伸ばし拾おうとした。今度はわたしが食べるんだから負けないぞ。わたしもクッキーに手を伸ばし狛助の手を払いのけてクッキーをゲットした。
「わ~い、勝った~」
「あ、狛子ちゃんずるいよ」
「早い者勝ちなんだもんね~だ!」
「……そんな~負けた。悔しいぞ」
なんて、わたし達が言い合いをしていると、目の前を歩いているポニーテールの女の子が背負っているリュックのファスナーが全開で中身が丸見えになっているのが目に入った。
「美味しい食べ物がたくさん食べられますように。わたしの夢が叶いますように。神様どうぞよろしくお願いします」
髪の毛を高い位置でポニーテールに結わえた女の子が神社の拝殿に向かってお祈りをしている。
「あの子の声大きいよね」
「そうだよね。お祈りは心の中でするものだと思うんだけどね」
「あ、いけない。お賽銭を入れるの忘れていた~」
女の子は賽銭箱にお賽銭を入れて二度お辞儀をする。それからパンパンと柏手を激しく二回打った。
「柏手を打つ音もめちゃくちゃ大きいよね」
「あれじゃあ神様もびっくりしちゃうよね」
「うふふ、これで良し。完璧だね」女の子は自信ありげに歩き出した。
鳥居をくぐり神社の外へ出たポニーテールの女の子は神社に向き直りぺこりとお辞儀をしそれから再び歩き出した。
わたしは、女の子のさらさらと風に揺れるポニーテールをじっと眺めた。あ、それと、あれは! と思ったその時……。風がヒューヒューと強く吹いた。
「ホホッ~。なかなか良いお嬢さんじゃないか。まあ、ちょっと騒がしいけどな。狛子
に狛助よ。見習わないとな」
「あ、神様」
「あ、神様だ~」
そうなのだ。神様がわたし達の目の前に厳かな空気に包まれ姿を現したのだった。
神様は二十代後半くらいの男性の姿をしている。肌が透き通るように白くて切れ長の目に鼻が高く鼻筋は通っている。どちらかというと美形だ。髪の色は金髪と白髪の中間色のプラチナブロンド。神様本人ご自慢の長髪だ。
神様だけあるからしてこの世のものとは思えない雰囲気が漂っているのだけど、口にお札を咥えている。
この神様はお金が好きなのだ。
「あ、神様だじゃないぞ。狛子に狛助よ。うん? 狛子どうして俺の顔を見ているのだ?」
「だって、神様ってば口にお札を美味しそうに咥えているんだもん」
わたしは、神様の口元を指差した。
「おっ、このお札かい。これは先程のお嬢さんがお賽銭でくれたぞ」
神様は美味しそうにお札を舐めている。いつも思うんだけどこんな神様で果たしていいのかなと。
「あの女の子リッチなのかな? いいな」
「違うぞ、狛子。お嬢さんは奮発してお札を入れてくれたのだ~」
「ふ~ん、それを神様は美味しそうに舐めているんだ。僕もお腹が空いたよ」
「うるさい! 狛助。ヨダレを垂らすな」
「神様、わたしも腹ペコだよ」
わたしと狛助が神様の咥えているお札をじっと見て文句をブーブー言った。
「狛子、狛助うるさい! お前達は毎日ここで何をしておるのじゃ。お嬢さんの願いでも叶えてあげるのじゃ~」
わたしと狛助は神様からそう言われ神社の外へ追い出された。
「神様って自分勝手だよね。目を吊り上げてお前達は毎日ここで何をしておるのじゃ~なんて言って怖い顔をするんだもんね」
わたしは指で目尻を引っ張り目を吊り上げ怒っている神様の顔真似をしてみせる。
「狛子ちゃん、その顔神様にそっくりだよ」
「にひひ。やった~似てるでしょ。神様こそ神社に人間が参拝してもグーグー呑気に寝ているしそれにお賽銭を咥えたり舐めたりするくせに偉そうだよね」
わたしはぷりぷり怒る。
「神様ってぐうたらで食いしん坊だよね。お金ってどんな味がするのかな?」
「うん、そうだね。お金の味なんて知らないよ。って、あ、ちょっと狛助!」
「ん? 狛子ちゃんどうしたの?」
狛助は不思議そうに首を傾げる。その手にはお菓子を持っているのだ。
「どうしてお菓子を食べているのよ? そのお菓子わたしが先に見つけたんだからね」
「落っこちていたからだよ~早い者勝ちだもんね。あ、まだクッキーが落ちているよ」
狛助は言いながらクッキーに手を伸ばし拾おうとした。今度はわたしが食べるんだから負けないぞ。わたしもクッキーに手を伸ばし狛助の手を払いのけてクッキーをゲットした。
「わ~い、勝った~」
「あ、狛子ちゃんずるいよ」
「早い者勝ちなんだもんね~だ!」
「……そんな~負けた。悔しいぞ」
なんて、わたし達が言い合いをしていると、目の前を歩いているポニーテールの女の子が背負っているリュックのファスナーが全開で中身が丸見えになっているのが目に入った。
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