上 下
67 / 97
みんなで食べるご飯は美味しい

嬉しくて

しおりを挟む
「ありがとう。もう奈夜ちゃんは泣き虫だね~」

「えへへ、わたしってばもう中学二年生なのにね。でも、今度は嬉しくて泣いちゃったよ」

「奈夜ちゃんは素直なんだね。そこがまた良いところだとわたしは思うよ」

「そっかな?」

「うん、わたしも奈夜ちゃんみたいに素直になりたいよ。わたし奈夜ちゃんと一緒に居ると本当の自分らしくいられるような気がするんだ」

  華夜ちゃんはそう言ってにっこりと笑った。華夜ちゃんの笑顔と言葉を聞きわたしはこのままの自分でも無理をしなくてもいいのかな?  と思った。

「華夜ちゃ~ん、奈夜ちゃ~ん、神様~ご飯だよ~」
「楽しい、楽しいご飯の時間だよ~」

  元気な声と共に狛子と狛助がパタパタと部屋にやって来た。

 その声に振り返ると狛子と狛助は手にお玉を持っていた。


  そして、視線を狛子と狛助に向けるとその可愛らしい顔にトマトソースらしきものがくっついていた。

「狛子ちゃんに狛助君、お顔にトマトソースがくっついているよ。おばあちゃんのお手伝いをしたのかな?」

 わたしはお玉を振り回す狛子と狛助を指差して尋ねた。

「うん、お手伝いしたよ~今日のご飯はトマトスープにハンバーグだよ」
「お手伝い楽しかったよ~」

  狛子と狛助はにっこりと笑い答えた。顔にくっつけているトマトソースは気にならないようだ。

「わたしお腹が空いたよ~」
「僕も腹ぺこだよ~」

「俺も腹ぺこじゃ~」

  そう言いながら汚れた顔を気にしない腹ぺこの狛犬達とこれまた腹ぺこの神様はパタパタと食事の間に向かった。

「神様達行っちゃったね」
「うん、そうだね。わたし達もご飯を食べに行こうか」

  わたしと華夜ちゃんも食事の間に向かった。

 
  テーブルの上にはトマトスープにハンバーグ、サラダ、ご飯に奈良漬が並べられていた。

「華夜ちゃん、我が家の夕飯にようこそ~」

  おばあちゃんが両手を大きく広げにこやかな笑みを浮かべている。

「奈夜ちゃんのおばあちゃん、夕飯に招待してくれてありがとうございます」

  華夜ちゃんは礼儀正しく挨拶をした。

「うふふ、座って、座って奈夜ちゃんの隣がいいわね」

「は~い!」

  わたしの隣に華夜ちゃんが腰を下ろした。

  神様に狛子と狛助もニコニコと笑い華夜ちゃんのことを歓迎している。と言っても神様達もお客さん(う~ん住み着いているのかな?)だけどね。

  そして、おばあちゃんの隣にちょこりんと座っているおじいちゃんも柔らかいお日さまみたいなあたたかい笑みを浮かべている。

「あれ?  奈夜ちゃんのおじいちゃんも居るの?  こんばんは」

  華夜ちゃんがおじいちゃんを見て言った。それってまさか、華夜ちゃんにもおじいちゃんが見えているのかな?  って、え~見えているんだよね!!

  華夜ちゃんはニコニコ笑っているおじいちゃんの顔とわたしの顔を交互に見た。

「あ、えっと……」

  なんて答えていいかわからず言葉に詰まっていると、おばあちゃんがわたしの代わりに、

「そうよ、奈夜ちゃんのおじいちゃんだよ」と答えた。

「あ、やっぱり奈夜ちゃんのおじいちゃんなんですね。奈夜ちゃんのおじいちゃんこんばんは」

  華夜ちゃんはおじいちゃんに挨拶をした。
しおりを挟む

処理中です...