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みんなで食べるご飯は美味しい

賑やかな食卓

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「あれ~?  奈夜ちゃんどうして笑っているの?」
「あ、本当だ~どうして笑っているの?  あ~華夜ちゃんも笑っているよ」

   狛子と狛助はそう言いながら首を横に傾げきょとん顔になっている。

「だって、狛子ちゃんと狛助君の可愛らしいお手伝い姿が目に浮かぶんだもん」

「わたしも玉ねぎの皮を剥いて目が痛い~ってわんわん泣いてる狛子ちゃんとその姿を眺めている狛助君が目に浮かんだよ~」

   わたしと華夜ちゃんはきょとん顔の狛子と狛助の顔をじっと見てそれからお互いの顔に視線を移し笑った。

「わたし達笑われてるね~」
「うん、そうだね。けど、可愛らしいだって~」
「わ~い、可愛らしいなんて嬉しいね」
「うん、狛子ちゃん。僕達ってばやっぱり可愛いんだね~」

   なんて、顔にトマトソースをくっつけた二人(二匹)はやったーと言って立ち上がりぴょんぴょんと飛び跳ねた。

「おい、お前達、静かに座って食事をしろよ」

   神様が奈良漬をパリパリと食べながら注意をする。

「は~い、神様」と狛子と狛助は声を合わせて素直に返事をし座った。


  この後も楽しい時間が続いた。

  ハンバーグも和風で美味しかった。じゅわーっと溢れ出す肉汁が口の中に広がりそして大根おろしが添えられソースはポン酢であっさりしていた。

「うん、美味しいよ~」

  わたしは、またまたほくほくな気持ちになりにっこりと笑った。

  隣を見ると華夜ちゃんも満面の笑みを浮かべている。

  そんな華夜ちゃんの笑顔とわたしの笑顔をおばあちゃんとそれからおじいちゃんも目を細めて眺めているのだった。

「奈夜ちゃんのお家はおじいちゃんとおばあちゃんが居ていいな」

「あ、うん。二人とも優しいけど……」

  このけどの後におじいちゃんは本当は居ないというか幽霊なんだけどねと言いそうになった。

「ん?  奈夜ちゃんどうかしたの?」

  華夜ちゃんはこちらを見て小首を傾げた。

「ううん、大丈夫だよ。おじいちゃんもおばあちゃんも優しいよ」

  わたしは、そう言って笑ってみせた。

「わたしも久しぶりに田舎のおじいちゃんとおばあちゃんに会いたくなったな~」

  華夜ちゃんはそう言ってハンバーグをぱくっと口に放り込み食べた。

「おばあちゃんの料理が懐かしいな」

  華夜ちゃんのその目は懐かしいな風景を思い浮かべているように見えた。


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