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じいちゃんと猫助勘弁してくれよ

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「猫太君も食べるかね?  イチゴ味でめちゃくちゃ美味しいぞ」

  じいちゃんはそれはもう幸せそうに舌鼓を打っているではないか。だから、じいちゃん違うってば。

「猫助、お前のじいちゃんになんか言ってくれよ」

  俺は猫助のチョコレートがべったりくっついている顔を見て言った。

「分かったよ」

「おぅ、猫助頼んだぞ!」

「……じいちゃん」

  猫助は幸せそうにイチゴの飴を堪能しているじいちゃんの顔をじっと眺めた。

  そして。

「じいちゃん、俺にもイチゴの飴をちょうだい」

  猫助はそう言ったかと思うと、肉球のある可愛らしい手を差し出した。見ると、猫助はじゅるじゅるとヨダレまで垂らしているではないか。

  だから、違うんだってば。猫助なんかに頼んだこの俺が間違っていたんだ。俺ってバカだよ、マヌケだよと自分の頭をぽんすかぽんぽんと殴りたくなるよ。

  しかも猫助はじいちゃんから飴を貰い幸せそうに飴を舐めているではないか。もう、呆れたよの一言だよ。

  駄目だ。この二人(二匹)は同じ顔して並んで飴を舐めている。もちろんその顔は幸せそうで顔中にチョコレートがくっついているのだ。

  俺は、ふぅーふぅーとそれはもう大きな溜め息をついた。

  そんな俺ににゃんぴが、

「猫太君大丈夫?」と言いながら俺の肩に肉球のある可愛らしい手を置いた。

「……ありがとう、にゃんぴ。でも、大丈夫じゃないかもしれないよ」

  俺はにゃんぴの優しい手に癒やされながらも深い溜め息をついた。
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