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教えてください
しおりを挟む前世でのお母さんの眉根を寄せた辛そうな顔を思い出すと胸がギュッとなる。俺はどうしたらいいのだろうかと唇を噛んだ。
その時……。
「店員さん、お願いです。猫太にその人間の女の子のことを詳しく教えてあげてください」
あんぱんを幸せそうな表情で食べていたはずの猫助が真面目な顔つきでベレー帽を被ったアメリカンショートヘアの店員さんの顔を真っ直ぐ見つめて言った。
「わたしからもお願いします。店員さんの不安な気持ちも分かりますが、猫太君は人間のことが知りたいんです」
にゃんぴも言ってくれた。
俺のことを思ってくれている友達に感謝だ。猫助もにゃんぴもなんていい奴なんだよ。嬉しくて涙が出そうになった。
「……お気持ちはよく分かりますが……」
ベレー帽を被ったアメリカンショートヘアの店員さんは手元に目を落とした状態のままぽつりと言った。
「も、もう少しだけでも何か情報を教えてください。お願いします」
俺は言って頭を下げた。
せっかく猫助とにゃんぴも言ってくれているのだからそれも無駄にしたくない。
俺は顔を上げるとベレー帽を被ったアメリカンショートヘアの店員さんの顔を真っ直ぐ見つめた。
「……そう言われても」
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