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沖縄で働きます

本日は朝食係

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 朝目覚めると身体中が痛い。

 今までの会社では座り仕事が主だった。

 昨日は短時間勤務とはいえ掃除などの肉体労働をすると慣れない体にはかなり堪える。

 目覚まし時計の音がけたたましく鳴り続けている。起きようと思うのに体がいうことをきいてくれない。

 ああ、まだ寝ていたいよ~

 目覚まし時計はまだけたたましく、ジリジリジリーンと鳴り続けている。

 起きないと!

 今日はなんと朝の五時起きなのだ。

 仕事内容をまずは一通り覚えてもらいますよと、荒橋さんに言われたのだ。

 今日の仕事はホテルの朝食係の仕事だ。朝、六時三十分から開始する。

 わたしはベランダの窓を開けた。朝の空気が部屋に流れ込んできた。

  ベランダに出て常夏の沖縄の朝の風を体を伸ばして胸いっぱいに吸い込む。朝早くの空気と風は気持ちよい。  
 
 この時間はまださほど暑くはない。むしろ心地よい。だけど、これから気温はどんどん上昇していき今日も暑くなるのだろう。

 そんな予感。

 それから案の定ぐーぐー眠っている真理子を叩き起こして、更衣室に行く。

 昨日渡された朝食係用のセットアップスーツに着がえる。色はベストとスカートは上下黒色。それから白いブラウスに黒色のローファー。

 本日も真理子とお互いに似合っていると褒めあった。

 暫くするとコンコンとドアがノックされた。

   入って来たのは眼鏡をかけて、髪の毛を後ろで束ねている三十代くらいの女性だった。

 「並木さんと梅木さんね」と確認してから女性は「前中里奈子まえなかりなこです」と名乗った。

 その前中さんに連れられてわたし達は朝食会場の調理場に裏口から入った。

 調理場といってもバイキング形式の朝食なので調理というよりも、お客様が食べた料理が少なくなったら補充をするといった仕事が主だと前中さんから説明があった。

 「はい、エプロンをつけてください」と言われてエプロンを渡された。

 エプロンをつけて髪の毛を束ねていると、

 「おはようございま~す」と女性の明るい声が聞こえてきた。

 聞き覚えがある声だなと思ったら、初日に食堂で会った永石南さんだった。

  永石さんはわたし達に気がつき、

 「あ~あなた達、え~と並木さんと梅木さんでしたよね~」と言って人懐っこい笑顔をみせた。

 「そうですよ。永石さんも今日は朝食係なんですか?」

 「そうですよ~あ、永石さんじゃなくて南って呼んでくださーい!」

 「はい、じゃあ南ちゃんと呼びますね。わたしも、みどりと呼んでください」

 「南ちゃん~わたしは、真理子でーす」

 「じゃあ、みどりちゃんに真理子ちゃんって呼びますね~」

 「あら、南ちゃんのことは既にご存知なのね」

 と前中さんは言った。

 「はい。そうなんです。寮の食堂で会ったんです」

 「そうなのね。南ちゃんはベテランさんだから、分からないことがあれば南ちゃんにも聞いてくださいね」

 「はーい」とわたしと真理子は元気よく返事をした。

 「じゃあ、仕事の流れを説明しますね」

 「よろしくお願いします」とわたし達は頭を軽く下げた。

 南ちゃんと一緒なので楽しい朝食係としてのスタートがきれると思い嬉しくなった。

 だけど、そうは問屋が卸さない! 

 だって、あの真理子と一緒なのだから。
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