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ごちそうさまでした。それとトマトパスタ

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  今日の夕食は楽しかった。こんなに楽しくご飯を食べることができたのは久しぶりだった。

  いつものわたしは、薄暗い部屋の中で一人ぽつりんとご飯を食べていた。そんな毎日だった。

  それが今日は可愛らしいもふもふの動物達やそれから口も目付きも悪いけれど本当はいい奴なのかもねと思うケンと楽しくて幸せな時間を過ごせて嬉しくてたまらなかった。

「ごちそうさまでした」と挨拶をして部屋に戻ろうと廊下を歩いていたその時。


「満里奈ちゃん」

  肩を叩かれ振り向くとケンが立っていた。

「俺の作ったトマトパスタ美味しかったかな?」

  ケンはそう言って苦虫を噛み潰したような顔をした。なんでそんな表情をしているのかさっぱり分からない。不思議に思い首を傾げてしまう。

「あ、うん、トマトパスタ美味しかったよ。あのトマトパスタケン君が作ったんだね」

   わたしは、笑顔で答えた。

「そうだよ、俺が作ったんだよ。そのわりに満里奈ちゃんはミネストローネスープやトマトサラダばかり美味しそうな顔をして食べていたよな」

  ケンは唇を尖らせている。

  わたしは、そんなケンの顔をじっと見てそうなのかと思った。

「ケン君ってば拗ねているんだね。わたしがトマトパスタよりミネストローネスープやトマトサラダを先に食べたから」

「す、拗ねてなんかいないよ」

  ケンはそう言ってぷくりと頬を膨らませた。

「あはは、やっぱり拗ねているね。トマトパスタも美味しかったんだよ」

  なんて、わたしとケンが言い合っていると、

「にゃはにゃはにゃん、ケン君ってば拗ねているんだにゃ~ん!」

  ミケにゃんがにゃはにゃはと笑いながらこちらにやって来た。

「ミケにゃん、何を言ってるんだよ。俺は拗ねてなんかいないよ」

  ミケにゃんはケンの周りをぐるぐる回り「本当かなにゃん」と言ってケンの顔を見上げた。

「ミケにゃん、俺の周りをぐるぐる回るなよ」

  ケンは、ぷんぷん怒っている。

「でも、ミケにゃんはトマトパスタ美味しく食べたにゃん」

  ミケにゃんはそう言って太陽みたいな笑顔を浮かべた。

  そういえばミケにゃんはトマトパスタを手掴みで食べ口の周りをトマトソースで真っ赤かに汚していたことを思い出した。

「……それは、ありがとう」

  ケンは照れたように笑った。

「ミケにゃん、トマトパスタ大好きだよ~」

  無邪気ににゃぱにゃぱと笑うミケにゃんの笑顔はとても可愛らしかった。

「まあな、俺のトマトパスタ最高だからな」

 「ケン君、良かったね」

  わたしは、ケン君とミケにゃんのやり取りを眺め微笑ましくなりうふふと口元に手を当てて笑った。

  今日はおもいっきり笑い楽しい一日だった。こんなに笑ったのは久しぶりだった。
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