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3 わたしときらりちゃん
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わたしの目の前に取り皿に分けてもらった豆腐チャンプルーがある。
「あ、ありがとう。きらりちゃん」
「どういたしまして~」
きらりちゃんは得意げに笑い豆腐チャンプルーを食べた。
「うん、美味しいよ。愛可も食べたら」
「あ、うん。いただきます」
小学生に豆腐チャンプルーを分けてもらった自分がなんだか情けないけれど、でも目の前の豆腐チャンプルーに罪はなくてしかも美味しそうなのだ。
わたしは豆腐チャンプルーに箸を伸ばし口に運んだ。
おばぁの豆腐チャンプルーは島豆腐にたくさんのポーク、キャベツ、人参、もやしが入っていてポークの旨味が出ていてとても美味しかった。
「うん、美味しいよ。幸せ~」
わたしは口の中に美味しい幸せがじわっと広がる。
「愛可は本当に幸せそうな顔して食事をするね」
気がつくときらりちゃんがわたしの顔をじっと見ていた。
「えっ! そんなに幸せそうな顔していた?」
「うん、それはもう幸せですって顔をしているよ」
「だって、ご飯を食べると元気になれるし嫌なことも忘れることができるんだもん」
わたしはそう答え豆腐チャンプルーをもう一口食べた。
うん、やっぱり美味しくて幸せな気持ちになれた。
「愛可は幸せそうでいいね……」
きらりちゃんが伏し目がちになりポツリと呟いた。
「そうかな? わたしそんなに幸せじゃないよ。でもね、ご飯を食べている時は嫌なことを忘れて幸せな気持ちになれるかな」
「ふーん、そうなんだね」
「きらりちゃんはそうじゃないのかな? それにきらりちゃんの家は食堂でしょ。お母さんに美味しい料理を作ってもらえて幸せだよね」
わたしは、斎川さんの料理を思い浮かべうふふと笑ったのだけど、きらりちゃんの沈んだ顔を見てしまったと思った。
「お母さんの料理なんて美味しくないよ。さっきも言ったよね」
「……あ、そうだったね。ごめんね」
そうだった。お母さんの料理なんて美味しくないと聞いたばかりだったのに……わたしは余計なことを言ってしまった。そんな気が利かない自分が情けない。
でもどうしてきらりちゃんはお母さんの料理が好きじゃないのかな?
きらりちゃんは俯き唇を噛んでいる。
「あの……きらりちゃん。おばぁの豆腐チャンプルー美味しいね。分けてくれてありがとうね」
わたしは俯き唇をぎゅっと噛んでいるきらりちゃんに微笑みかけた。
だけど、きらりちゃんは笑ってくれないし俯いたままだ。一体どうしたらいいのだろうかと困っていると、
「愛可は自分のお母さんの料理好きだった?」と聞いてきた。
「え? お母さんの料理」
「うん、お母さんの料理だよ」
「お母さんの料理か。わたしのお母さんは料理をしない人だったんだよ」
わたしは、テーブルの上にずらずらと並べられたスーパーのお惣菜やお弁当を思い出した。お皿に移し替えることもなく惣菜パックのまま目の前に置かれなんだか悲しかった。
「え? 愛可のお母さんは料理をしなかったの?」
きらりちゃんは目を丸くした。
「うん、そうだよ。だからきらりちゃんが羨ましいんだよ。でも、きらりちゃんはお母さんの料理が好きじゃないんだよね。余計なことを言ってごめんね」
きっと、きらりちゃんもお母さんの料理が好きじゃない理由があるのだろう。
「……うんうん」
きらりちゃんはそんなことないよとブンブンと首を横に振った。
「あ、ありがとう。きらりちゃん」
「どういたしまして~」
きらりちゃんは得意げに笑い豆腐チャンプルーを食べた。
「うん、美味しいよ。愛可も食べたら」
「あ、うん。いただきます」
小学生に豆腐チャンプルーを分けてもらった自分がなんだか情けないけれど、でも目の前の豆腐チャンプルーに罪はなくてしかも美味しそうなのだ。
わたしは豆腐チャンプルーに箸を伸ばし口に運んだ。
おばぁの豆腐チャンプルーは島豆腐にたくさんのポーク、キャベツ、人参、もやしが入っていてポークの旨味が出ていてとても美味しかった。
「うん、美味しいよ。幸せ~」
わたしは口の中に美味しい幸せがじわっと広がる。
「愛可は本当に幸せそうな顔して食事をするね」
気がつくときらりちゃんがわたしの顔をじっと見ていた。
「えっ! そんなに幸せそうな顔していた?」
「うん、それはもう幸せですって顔をしているよ」
「だって、ご飯を食べると元気になれるし嫌なことも忘れることができるんだもん」
わたしはそう答え豆腐チャンプルーをもう一口食べた。
うん、やっぱり美味しくて幸せな気持ちになれた。
「愛可は幸せそうでいいね……」
きらりちゃんが伏し目がちになりポツリと呟いた。
「そうかな? わたしそんなに幸せじゃないよ。でもね、ご飯を食べている時は嫌なことを忘れて幸せな気持ちになれるかな」
「ふーん、そうなんだね」
「きらりちゃんはそうじゃないのかな? それにきらりちゃんの家は食堂でしょ。お母さんに美味しい料理を作ってもらえて幸せだよね」
わたしは、斎川さんの料理を思い浮かべうふふと笑ったのだけど、きらりちゃんの沈んだ顔を見てしまったと思った。
「お母さんの料理なんて美味しくないよ。さっきも言ったよね」
「……あ、そうだったね。ごめんね」
そうだった。お母さんの料理なんて美味しくないと聞いたばかりだったのに……わたしは余計なことを言ってしまった。そんな気が利かない自分が情けない。
でもどうしてきらりちゃんはお母さんの料理が好きじゃないのかな?
きらりちゃんは俯き唇を噛んでいる。
「あの……きらりちゃん。おばぁの豆腐チャンプルー美味しいね。分けてくれてありがとうね」
わたしは俯き唇をぎゅっと噛んでいるきらりちゃんに微笑みかけた。
だけど、きらりちゃんは笑ってくれないし俯いたままだ。一体どうしたらいいのだろうかと困っていると、
「愛可は自分のお母さんの料理好きだった?」と聞いてきた。
「え? お母さんの料理」
「うん、お母さんの料理だよ」
「お母さんの料理か。わたしのお母さんは料理をしない人だったんだよ」
わたしは、テーブルの上にずらずらと並べられたスーパーのお惣菜やお弁当を思い出した。お皿に移し替えることもなく惣菜パックのまま目の前に置かれなんだか悲しかった。
「え? 愛可のお母さんは料理をしなかったの?」
きらりちゃんは目を丸くした。
「うん、そうだよ。だからきらりちゃんが羨ましいんだよ。でも、きらりちゃんはお母さんの料理が好きじゃないんだよね。余計なことを言ってごめんね」
きっと、きらりちゃんもお母さんの料理が好きじゃない理由があるのだろう。
「……うんうん」
きらりちゃんはそんなことないよとブンブンと首を横に振った。
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