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〜8. それぞれの思惑〜
夜明け
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「ロザリア…」
そう名を呼ばれて、目を覚ます。頬に触れられる感触がして瞼を開けると、すでに仕度を整えたサイラス殿下がベッドサイドに腰掛け、私を見ていた。
「殿…下…?」
「朝早くに起こしてすまない」
「いえ…、痛…っ!」
身体を起こした瞬間、痛みが走り、その場にうずくまる。そんな私を見て、殿下が苦笑した。
「昨夜、あんな格好で抱いてしまったからな。腰と脚に来ているだろう」
「─…っ!」
その言葉に、昨夜の閨を思い出す。なんだかとても端ない格好で抱かれた気が…。しかも、いつもよりも感じてしまったような…
「さ、昨夜のことは、忘れてください…」
そう言いながら顔を隠す。急に恥ずかしくなってきた。
「ロザリア」
優しい声でそう言いながら、殿下が私の手をやんわりと退ける。目が合った殿下は、柔らかく微笑んでいた。
「そんな赤い顔を見せられると、次はもっと辱めたくなるな」
「─…っ!?」
「はは。冗談だ。でも、昨夜の貴女はとても可愛らしかった」
噛みしめるようにそう言った殿下は、私の額に優しく口吻をした。
◇
「どこかへ行かれるのですか…?」
窓の外はまだ薄暗い。おそらくまだ陽が出る前だろう。
「あぁ。相手方と急に約束が取れてな。貴女に言い忘れていたのだが、今日から一週間ほど留守にする」
「そう…なのですね」
よく見れば、殿下は随分と賢まった服装をしている。有力な貴族にでも会いに行くのだろうか…?
「悪いが、もう出なくてはいけないんだ」
「あ、では、私も自室に…」
「部屋まで送る」
「え…? きゃ…っ!」
殿下はシーツで私を包むと、そのまま逞しい腕で抱き上げた。
「で、殿下…っ!?」
「その身体で歩くのは辛いだろう?」
「で、ですが、重いですから…!」
「重いものか。妻一人持ち上げられないような軟弱者では困る」
そう笑った殿下はそのまま私を軽々と自室まで運び、王城を後にした。
そう名を呼ばれて、目を覚ます。頬に触れられる感触がして瞼を開けると、すでに仕度を整えたサイラス殿下がベッドサイドに腰掛け、私を見ていた。
「殿…下…?」
「朝早くに起こしてすまない」
「いえ…、痛…っ!」
身体を起こした瞬間、痛みが走り、その場にうずくまる。そんな私を見て、殿下が苦笑した。
「昨夜、あんな格好で抱いてしまったからな。腰と脚に来ているだろう」
「─…っ!」
その言葉に、昨夜の閨を思い出す。なんだかとても端ない格好で抱かれた気が…。しかも、いつもよりも感じてしまったような…
「さ、昨夜のことは、忘れてください…」
そう言いながら顔を隠す。急に恥ずかしくなってきた。
「ロザリア」
優しい声でそう言いながら、殿下が私の手をやんわりと退ける。目が合った殿下は、柔らかく微笑んでいた。
「そんな赤い顔を見せられると、次はもっと辱めたくなるな」
「─…っ!?」
「はは。冗談だ。でも、昨夜の貴女はとても可愛らしかった」
噛みしめるようにそう言った殿下は、私の額に優しく口吻をした。
◇
「どこかへ行かれるのですか…?」
窓の外はまだ薄暗い。おそらくまだ陽が出る前だろう。
「あぁ。相手方と急に約束が取れてな。貴女に言い忘れていたのだが、今日から一週間ほど留守にする」
「そう…なのですね」
よく見れば、殿下は随分と賢まった服装をしている。有力な貴族にでも会いに行くのだろうか…?
「悪いが、もう出なくてはいけないんだ」
「あ、では、私も自室に…」
「部屋まで送る」
「え…? きゃ…っ!」
殿下はシーツで私を包むと、そのまま逞しい腕で抱き上げた。
「で、殿下…っ!?」
「その身体で歩くのは辛いだろう?」
「で、ですが、重いですから…!」
「重いものか。妻一人持ち上げられないような軟弱者では困る」
そう笑った殿下はそのまま私を軽々と自室まで運び、王城を後にした。
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