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〜11. エピローグ〜
白い結婚の約束
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「父上が婚約破棄を仕組んだことを、殿下もご存じだったのですか?」
「いや、サイラスは何も知らない」
「え…?」
「言わなくても、サイラスならお前を迎えに来るだろうと思っていた」
そう言いながら、父上が殿下に視線を移す。
「ずっと喉から手が出るほど、ロザリアが欲しかったんだろう?」
「─…っ!」
「初めてロザリアを見たときから、お前はベタ惚れだったからな」
笑いを堪えるようにそう言った父上の言葉に、殿下が顔を赤くする。
「やはり、気付いていたんですね…」
「まぁな。女に一切興味がなかったお前が、腑抜けた顔でロザリアに見惚れていた姿は、今でもはっきり思い出せる」
クレディア公爵家の屋敷で私を見初めてくれた頃の殿下を私は知らない。だけど、それから何年もの年月、殿下が秘かに私を想い続けていたことを、父上だけは知っていたのだ。
「あの時、二人が並ぶ未来は、驚くほど自然に想像ができた」
「……」
「今日、笑い合うお前たちを見て、俺は間違っていなかったと再認識できたよ」
そう言って微笑む父上の眼差しは、優しさに溢れていた。
◇
「ところで、サイラス。一つだけ聞きたいことがあるんだが…」
父上が少し言いづらそうに口を開く。
「なんですか?」
「あの約束は守っているんだろうな?」
約束…? 何のことだろう…? 隣に立つ殿下を見上げると、殿下が父上に向かって微笑んだ。
「さて、なんのことでしょう」
「とぼけるな。白い結婚のことだ。ロザリアには手を出さない約束だっただろう?」
父上の言葉に驚く。
「ち、父上…っ! 殿下になんてことを聞くのです…!」
「ロザリアは黙っていろ。で、サイラス、どうなんだ?」
「そんなの、婚儀の日にとっくに済ませたに決まってるじゃないですか」
「─…っ!? で、殿下…!」
しれっと答えた殿下に声を上げる。夫婦の閨事情を、なぜ父上に明かす必要があるのか。
「そもそも白い結婚だなんて約束、なんのためだったんですか…」
「お前がその重い愛で力任せに迫ったら、ロザリアの身が危ないだろう!」
父上が真剣な顔で殿下にそう答える。確かに、それは心当たりがあるというか…、足腰が立たなくなるほど抱かれたことも数回ある…
「お前の気持ちは分かっていたが、ロザリアにとっては、ほとんど何も知らない男だからな」
「……」
「それを婚儀の日にって…。早過ぎるぞ、サイラス…」
「…遅過ぎるぐらいですよ。僕がどれだけ待ったと思っているんですか」
そう続けた殿下の言葉に、父上は瞳を丸くすると、そのまま苦笑した。
「いや、サイラスは何も知らない」
「え…?」
「言わなくても、サイラスならお前を迎えに来るだろうと思っていた」
そう言いながら、父上が殿下に視線を移す。
「ずっと喉から手が出るほど、ロザリアが欲しかったんだろう?」
「─…っ!」
「初めてロザリアを見たときから、お前はベタ惚れだったからな」
笑いを堪えるようにそう言った父上の言葉に、殿下が顔を赤くする。
「やはり、気付いていたんですね…」
「まぁな。女に一切興味がなかったお前が、腑抜けた顔でロザリアに見惚れていた姿は、今でもはっきり思い出せる」
クレディア公爵家の屋敷で私を見初めてくれた頃の殿下を私は知らない。だけど、それから何年もの年月、殿下が秘かに私を想い続けていたことを、父上だけは知っていたのだ。
「あの時、二人が並ぶ未来は、驚くほど自然に想像ができた」
「……」
「今日、笑い合うお前たちを見て、俺は間違っていなかったと再認識できたよ」
そう言って微笑む父上の眼差しは、優しさに溢れていた。
◇
「ところで、サイラス。一つだけ聞きたいことがあるんだが…」
父上が少し言いづらそうに口を開く。
「なんですか?」
「あの約束は守っているんだろうな?」
約束…? 何のことだろう…? 隣に立つ殿下を見上げると、殿下が父上に向かって微笑んだ。
「さて、なんのことでしょう」
「とぼけるな。白い結婚のことだ。ロザリアには手を出さない約束だっただろう?」
父上の言葉に驚く。
「ち、父上…っ! 殿下になんてことを聞くのです…!」
「ロザリアは黙っていろ。で、サイラス、どうなんだ?」
「そんなの、婚儀の日にとっくに済ませたに決まってるじゃないですか」
「─…っ!? で、殿下…!」
しれっと答えた殿下に声を上げる。夫婦の閨事情を、なぜ父上に明かす必要があるのか。
「そもそも白い結婚だなんて約束、なんのためだったんですか…」
「お前がその重い愛で力任せに迫ったら、ロザリアの身が危ないだろう!」
父上が真剣な顔で殿下にそう答える。確かに、それは心当たりがあるというか…、足腰が立たなくなるほど抱かれたことも数回ある…
「お前の気持ちは分かっていたが、ロザリアにとっては、ほとんど何も知らない男だからな」
「……」
「それを婚儀の日にって…。早過ぎるぞ、サイラス…」
「…遅過ぎるぐらいですよ。僕がどれだけ待ったと思っているんですか」
そう続けた殿下の言葉に、父上は瞳を丸くすると、そのまま苦笑した。
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