仮面肉便姫

ぬるでば

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第36話 マスクを壊せ

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 たまきの車を降りた美月が36ホールの入口に手を掛けた。
「なんか賑やかじゃない?」
 ドアを開ける前から中の喧噪が外まで聞こえてくる。
 美月みづきは、そっとドアを開けて中を覗き込んだ。
「おーっ! 美月ちゃんだ!」
 中には今まで見たこともないほどの数の男たちが立ち話をしていた。
 美月がドアの隙間から顔を出したのに気づいた男たちが一斉に雄叫びを上げる。
「あ、ども」
 美月はボディサインで軽く挨拶を交わした。
 36ホールは入口で靴を脱ぎ、フロント前にある下足用ロッカーに預けることになっている。
 浅草店は、女装が許されている。
 女装をする人の下足用ロッカーは、別になっているのだが、その日はそちらまで非女装者の靴で埋まっていた。
「今日はすごいなあ」
 数少ない空きロッカーに靴をしまった美月は、フロントで料金を支払う。
「今日は美月ちゃん目当てのお客さんで満員だよ」
 顔なじみのフロント係員が嬉しそうに話しかけてくれた。
「てへっ」
 美月は肩をすくめて照れくささを表現した。
「はい」
「ありがとう」
 フロントから差し出されたビニールバッグに入ったタオルとガウンを受け取る。
 美月は、フロントの横に回り込み、従業員用の通路からフロントの中にキャリーケースとポーチを預けた。
 今日は、もう準備が整っているので、ここで預けてしまっても問題ない。
 明日の朝、ここに鍵を取りに来るまで、美月は犯され続けることになるという合図でもあった。

 増築を重ねた建物らしい曲がりくねった廊下を奥に進み、ロッカールームに入る。
 美月のあとをたくさんの男たちが着いて歩く。
「そんなに慌てなくても、ボクは逃げないよ」
 美月がボディサインで男たちに告げる。
「みんな、美月ちゃんが逃げるとは思ってないんだよ。一番に指名されたくてくっついて歩いてるんだ」
 一人の男が笑いながら理由を告白した。
 美月は吹き出してしまった。
「1 、2、3……」
 美月がその場にいる男の数を数える。
 ロッカールームには5人の男が入ってきていた。
「内緒だよ。静かにやってね」
 美月は、ワークパンツを脱ぎ、ロッカーに手を着いてお尻を突き出した。
「おーっ! 着いてきた甲斐があるぜ」
 男達が狂喜した。
「最初にきちんと説明してくれたお兄さん。一番に入れていいよ」
 美月が男を手招きした。
「やった! いただきます!」
 男のペニスは、すでに天を衝く勢いで勃起していた。
「んあっ」
 美月が顎を上げて喘いだ。
 男のペニスがアナルを割って入ったのだ。
「いきなりすぎだよ。気持ちいいけど」
 マスクの中で瑞希が喜んでいる。
 最初の男は、興奮しすぎたのだろう。
 あっという間に果てた。
「よし、次は俺が」
 がっちりとした筋肉質の男が美月の腰をつかんだ。
「すご……たくましい」
 腰をつかむ手のごつさと力強さに瑞希がうっとりした。
 筋肉質の男は、身体の見た目に反してソフトなセックスだった。
 もっと荒々しいレイプするようなセックスをされるのかと期待していた瑞希だったが、少し期待外れでしょんぼりした。
 3人目くらいになってくると、美月もよく分からなくなってくる。
 呼吸が荒くなり、酸素が足りなくなってくるからだ。
 美月としては、酸欠になってからがお楽しみなのだ。
 さすがに美月の後を着いてくるくらいせっかちな男たちだ。
 揃いも揃ってみんな早漏だった。
 相田みつをもびっくりである。
「みんなありがとう」
 美月は、5人にぺこりと頭を下げ、バスルームに駆け込んだ。
 美月としては駆け込んだつもりでも、視界が狭いから壁に手を着きながらゆっくり歩くしかない。
 バスルームのシャワーでアナル周りの精液を洗い流した。
 アナルに指を入れてみたところ、まだ拡がってはいない。
 括約筋がきゅっと締まっている。
「ボクのお尻の穴、優秀」
 美月は自画自賛した。
 バスルームは、湿気で更にマスクの通気性が悪くなる。
 長時間いるのは危ない。
 美月は、さっさと精液を洗い流してバスルームを出ることにした。

 バスルームを出ると、さっきの5人はいなくなっていた。
 それに代わって別の男たちが遠巻きに美月を見ている。
「ボクは野獣かなにかですか」
 美月はおかしくなった。
 壁に手を着いて迷路のような廊下を進み、エレベーターに乗る。
 何人かの男が一緒に乗り込んできた。
 美月が「5」のボタンを押す。
 エレベーターのドアが閉まると、それが合図であったかのように男たちの手が美月に迫った。
「え、こんなところで?」
 旧型のエレベーターはゆっくり上昇する。
 それでも5階までそれほど長い時間はかからない。
 そんな短時間なのに自分に触りたいのか。
 男たちの手は、美月の乳首やペニスを弄んだ。
 美月は身体をよじって喘ぐことしかできない。
 エレベーターが5階に着いた音が箱の中に響く。
 男たちの手が一斉に退いた。
「別に触っててもいいのに」
 意外とナイーブな男が多いことを知り、なぜか愛おしく思った。
「わっ、美月ちゃんが来た!」
 美月を見つけた男が騒いだ。
 その声を聞いた男達の視線が美月に集まる。
 その視線だけで美月はぞくぞくするような快感が全身を走り抜けた。
 5階は、まさに立錐の余地もないほどの混雑振りだ。
 美月は、男たちの間を縫うように歩き、ミックスルームを目指す。
 ミックスルームに着くまでの間、何人の男にペニスを触られただろう。
「もっと触って」
 美月は楽しみにしたが、みんなさらっと撫でたり軽くつまむ程度で終わってしまった。
「ほんとにみんなかわいいんだから」
 そこにいる男がみんなかわいく思えて仕方ない。
 美月が進む後から男たちがぞろぞろと着いてくる。
 まるで美月の身体に磁力があるかのようだ。
 美月はもみくちゃにされながら、なんとかミックスルームにたどり着いた。
 真っ暗な中に仄かな赤い照明だけしかないミックスルームが異様な興奮に包まれている。
 ミックスルームの中央に斜め座りになり扇情的なポーズをとる美月を大勢の男が取り囲んでいる。
 もはや人数は数え切れないほどだ。
 野獣のような目をした男たちが、美月の合図を今か今かと待っている。
 美月は、ガウンを肩からするりと落とし、ストッキングだけの全裸になった。
 ゆっくりと四つん這いになり、背中を反らせてアナルを男たちに見せつける。
 男たちが生唾を飲む。
 美月が両手でアナルを直腸内まで見えるくらいまで拡げ、自分の指を挿入した。
「ん……」
 マスクの中から軽い吐息が漏れる。
 美月は、アナルの中をかき回し、準備ができたことを確かめた。
「きて……」
 アナルから指を抜いた美月が男たちに手招きをした。
 輪姦開始の合図だ。
「うおっ!」
 ミックスルームにオスの雄叫びが轟く。
 この段階で、美月はもう酸欠で意識が飛びそうになっている。
 なんとかつなぎ止めてはいるが、いつ意識を失うか自分でも分からない状態だ。
 今日は、失神しても犯されることになっている。
 初めての経験だ。
 失神している間に犯されたらどうなるのか。
 まったく想像つかない。
 もし、危険な状態になったら環が助けてくれる。
「そういえば環はもう入ったのかな?」
 後から来ると言ったものの、この混雑ぶりではミックスルームの中で瑞希を見張れる位置を確保するのが難しそうだ。
「たぶんお兄ちゃんはあてにならないよね」
 瑞希は環の助けを諦めた。
 環のことを考えている間にも、美月のアナルは男たちの便器として使われている。
 すでに直腸は精液で満たされ、溢れた精液がシーツをどろどろに汚している。
 瑞希みずきは、快感に悶え苦しむ美月の肉体と、環のことを考えている意識の自分が乖離し始めたのを感じた。
 すでに何人の男の射精を受け止めたのか分からなくなった。
 どんどん呼吸は苦しくなり、それと比例して快感の波も大きく打ち寄せる。
 美月は、ほとんど空気を吸えていない状態だ。
 何人目の男に犯されているときだろう。
 美月に異変が起きた。
 手足が細かく痙攣し始めたのだ。
 美月を傍観していた瑞希の意識が急速に肉体に収斂してブラックアウトした。
 そのあとは精神だけがなにもない闇の中を漂った。
 美月の変化に気づいた男が美月を呼ぶが応答がない。
 わずかに呼吸はしているし、脈もある。
 美月は、一時的に気を失っているだけのようだ。
「おい、失神しちゃったぞ」
「大丈夫なのか?」
「少し休ませてやれよ」
 美月が失神したのを知っていながら、美月のアナルにペニスを突き立てている男は抽挿をやめようとしない。
「いや、本人が失神しても続けてくれって言ってたからよ」
 その男は美月の煽りを見ていたようだ。
「ああ、確かに言ってた」
 美月を取り囲んだ男の中からも声が上がった。
「だから続けようぜ」
「おう」
 失神している美月に男たちが次々と襲いかかる。
 美月は、ぐったりと横たわり、アナルを晒す肉の塊と化した。

「そういえば、美月って高校生っていう話だったよな」
「いや、それは噂だけで、誰も顔を見た奴はいないってよ」
「じゃあ、いまなら見られるんじゃねえか?」
「そうだな。気を失っている間にマスクを外しちゃえば顔が分かるな」
「よし、やろう」
 男たちのよからぬ相談がまとまってしまった。
 美月は、ぴくりともしない。
 一人の男がマスクに手を掛ける。
「ん、これ、どうなってるんだ? 頭が全部すっぽり覆われてるんだな」
「あ、この両脇にあるやつで留めてるのか。でも、これ鍵がかかってるぞ」
「誰か、鍵持ってるやついないのか?」
「いるわけないだろ」
 男たちが口々に言い合っている。
「まずい」
 大勢の客が押し寄せているため、なかなかミックスルームに近づけなかった環が、ようやく美月の姿をみつけた。
 環が見つけた美月は、ミックスルームの中央でぐったりと横たわり、数人の男にマスクを外されそうになっているではないか。
「でも、鍵がかかってるから、そう簡単には外せないはず」
 環は鍵をかけておいてよかったと思った。
 美月を取り囲んでいる男たちは、マスクが意外と頑丈なことに苛立ち始めた。
「くそっ、なんなんだこのマスクは。びくともしないじゃねえか」
「この鍵が開かなきゃ取れやしない」
「見たところFRPっぽいから、力ずくで壊せないか?」
「この金具のところだけ壊せればいいんだよな」
「そうだ、そうだ」
「美月の顔を見られるチャンスなんてめったにないからな」
 男たちの暴走が始まった。
 美月の側頭部に付いている鍵をがちゃがちゃと力任せにねじったり引っ張ったりしている。
「これはもうダメだ」
 環は自分が割って入って止めることを決心した。
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