お前の不敬には愛想が尽きた!と婚約破棄されましたが、これ幸い!

ちゃっぴー

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王城の会議室。そこは重苦しい空気と、埃を被ったような古い伝統が支配する場所だった。

私の目の前には、眉間に深い皺を刻んだ老人たちがずらりと並んでいる。王宮の「典礼儀礼省」の重鎮たちだ。

「バレンシア伯爵。王位継承の準備として、まずは三ヶ月に及ぶ『断食浄化の儀』と、毎日六時間の『古式典礼講習』を受けていただきますぞ」

筆頭魔術師の老人が、カサカサの指で分厚い教本を叩いた。

私は隣に座るセシル様の顔を盗み見る。心なしか、その美しい肌が絶望でくすんで見えた。

「お待ちになって。そんな時代遅れのメニュー、即刻却下ですわ」

私は扇で机を叩き、老人たちの言葉を遮った。

「な、なんだと!? アスタール公爵令嬢、これは数百年続く神聖な伝統なのだぞ!」

「三行で却下理由を説明しますわね」

私は優雅に立ち上がり、教本を一瞥した。

「一つ、断食は肌のハリを失わせ、セシル様の『至宝の美貌』に致命的なダメージを与えます」

「二つ、六時間の講習などは集中力の欠如を招き、姿勢を悪くするだけの無駄な時間ですわ」

「三つ、そもそも、その教本の装丁がひどく古臭くて、セシル様の指先に触れさせるのも忍びないんですの。……全部やり直しですわね」

老人たちは絶句し、顔を真っ赤にしたり青くしたりと忙しい。

「伝統を……伝統を何だと思っているのだ! 見た目ばかりを優先して、王の威厳が保てるはずがなかろう!」

「威厳? あら、勘違いしないでくださいませ。セシル様がそこに立っているだけで、民衆はひれ伏しますわよ。なぜなら、彼は『美しい』から。古臭い知識でガチガチに固まった、偏屈な王様なんて誰も求めていませんわ」

私はセシル様の肩に手を置き、その完璧な姿勢をアピールした。

「セシル様。あなたが王になるために必要なのは、カビの生えた教本ではなく、現代の政治を把握するための『効率的な対話』と、その美しさを維持するための『適度な休息』ですわ」

「……ノノカ。私は、この老人たちを説得しろと言ったのだが、喧嘩を売れとは言っていないぞ」

セシル様が困ったように、けれど少しだけ嬉しそうに呟いた。

「喧嘩ではありませんわ。これは『リフォーム』です。王宮のルールがあまりに非効率で美しくないから、私が磨き上げて差し上げているだけですわ」

私は老人たちに向き直り、不敵な笑みを浮かべた。

「これからは、王宮内のドレスコードも私の監修で変更しますわ。重すぎる冠や、肩が凝るだけの無駄な勲章は廃止。軽やかで機能的、かつセシル様の脚の長さを強調するデザインを導入しますの」

「そ、そんな勝手なことが許されるわけ……」

「許されますわ。陛下はすでに、セシル様の教育方針を私に一任すると仰っていますもの。……文句がある方は、私の父に直接仰ってくださいな。あ、父は今、殿下の不正調査でかなり機嫌が悪いですけれど」

公爵家の名前を出した瞬間、老人たちは一斉に沈黙した。

「セシル様。まずは、この淀んだ空気を入れ替えるところから始めましょう。窓を全開に! そして最高級のアロマを用意して。美しい政治は、良い香りの中から生まれるものですわ」

「……ノノカ。貴様が王宮を支配する日も、そう遠くなさそうだな」

セシル様が観念したように、ふっと微笑んだ。

その笑顔があまりに神々しくて、反対していた老人たちの中からも、思わず感嘆の声が漏れた。

「ほら、見てください。あなたの笑顔一つで、この頑固な方々も毒気を抜かれましたわ。……美しさは、最高の外交手段ですわね」

私は勝利を確信し、セシル様と共に、新しい「王宮」の創造に向けて一歩を踏み出した。
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